日経の記事利用サービスについて 企業での記事共有や会議資料への転載・複製、注文印刷などをご希望の方は、リンク先をご覧ください。 詳しくはこちら 中国の新疆生産建設兵団(XPCC、通称『兵団』)ほど、英国の小説家ジョージ・オーウェルが「1984年」で描いた「監視管理体制」を地で行く複合企業は他にないだろう。 兵団は中国西部を拠点とし、300万人近い団員を抱える準軍事組織だ。設立は54年。当時イスラム教徒のウイグル族が圧倒的多数を占めた地域(55年に新疆ウイグル自治区となる)に、中国人口の9割強を占める漢民族の復員兵を大量に入植させる目的で設立された。兵団が今も抱える10万人の民兵は過激思想の取り締まりに当たるだけでなく、他の従業員と共に多くの製品を世界に供給している。綿花栽培事業では約40万人に上る農作業員が中国産綿花全体の3分の1に当たる量を収穫し、ほかにもトマトの輸出など幅広い事業を営む