5月30日、アメリカのトランプ大統領は不法移民の流入に伴う安全保障上の脅威を理由に、6月10日以降、メキシコからの全輸入品に5%の追加関税を課す意向を示した。メキシコ側が適切な対策をとるまで関税の引き上げを段階的に続けるという。 今回の措置については、トランプ政権の保護主義の象徴とも言えるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が反対した上、ムニューシン財務長官も金融市場の動揺を懸念し静止を試みたとされる。 あくまで「移民問題であって貿易問題ではない」(マルバニー大統領首席補佐官代行)とのことだが、そもそも「関税引き上げ」と「移民流入」の間に何の関係があるのか理解が難しく、対中貿易交渉と同様、着地点が見えづらい。 移民を理由にするくらいならば、世界で2番目に大きいメキシコの対米貿易黒字を(それでも今さらだが)批判した方が分かりやすかっただろう。 中国に加え、通商合意が半ば成立していたはず