いま、旅行者のなかで船旅が静かなブームをよんでいる。 船旅といってもいわゆるクルーズ船ではなく、日本の沿岸を航行する長距離フェリーのことだ。揺れる・酔う・雑魚寝といったイメージは路線によってはすでに過去のものとなりつつある。 今回は2023年10月に筆者が利用した名門大洋フェリーの船旅を中心に、現代の船旅について改めて考えてみたい。 夜行フェリーでホテル代を浮かせて快適に移動 筆者が利用した「名門大洋フェリー」は、大阪南港と北九州市の新門司港を結んでいる夜行フェリー。1日につき2往復の便が運航している。名門とは、いわゆる名門校などでつかわれる名門ではなく、前身のフェリー会社が名古屋と門司を結んでいたことによるものだ。 船旅が注目を集めている理由の一つがその価格の安さである。定期航路の多くは長い間、大幅な割引に積極的ではなかったが、LCCの普及など環境の変化にともない、インパクトのある低価格