突然、深海に消えた漁船の「謎」 この記事では、声を大にして言いたい。 それは、日本における漁師の地位は低すぎるのではないかという点だ。 4月15日、岸田総理の演説の直前に爆発物が投げ込まれた事件。自らの危険もかえりみず、真っ先に犯人に立ち向かい、さらなる被害を未然に防いだのは漁師の方々だった。卑劣なテロから日本を救ったヒーローとして、彼らは大きな話題となった。 だが、皮肉なことに日本の行政当局は、そのような漁師たちの人命を軽んじているフシがある。後述するように日本では、仮に船の事故が起こった場合、漁師の命は、旅行客はおろか、漁船以外の船員よりも「軽視されてしまう」可能性があるのだ。 具体例を挙げてみる。 2008年、太平洋上で碇泊中の中型漁船が突如として沈没、17名もの犠牲者を出した大きな事故が発生した。この船が沈んだ原因はいまもよくわかっていない。沈んだ船の名前をとって「第58寿和丸沈没