「増田さんはよくあの人の自慢話聞いていられるよね。」
はて?と、思った。
あの人と言うのは、休憩時間によくお喋りをしている職場のパートさんのことである。話す内容といえば昔働いていた職場は儲かっていたとか、息子さんに旅行に連れて行ってもらったとか。私はお菓子を食べながら、そのような話を「へぇ〜、いいですね!」と聞いている。
冒頭、私にそう言ってきたのはあの人と同世代の女性だ。あの人との付き合いは私よりも長く、あの人の話にも聞き飽きているらしい。(確かにあの人は何度も同じ話をするのは事実で、私も既に5回程聞いたことがある話はある。)
聞き飽きる、のと、自慢話に嫌気がさす、というのは違うよな?と思った。え?そもそもあの人が話していることって自慢話なの?自慢話ってつまり何?
まず、自慢話には「ネガティブな自慢話」と「ポジティブな自慢話」があるように思える。内容がではなく、感じ方がネガティブかポジティブか。
「ネガティブな自慢話」からまず思い浮かんだのはスネ夫。「スネ夫が自慢話をする時のBGM」があるくらいだ。スネ夫の自慢話といえば、…グアムに行ったとかスポーツカーに乗せてもらったとか?それを今の私が聞いたらどう思うだろう?おそらく、「へー!すごいな!いいねぇ!」だ。のび太のようにドラえもんに愚痴ることもない。でも、私がスネ夫やのび太と同世代だったら?あの人と同世代の女性のように、近い年齢だと自分と相手を比べてガッカリしたり羨ましい気持ちになることが「ネガティブな自慢話」になるんだろうか。
次に「ポジティブな自慢話」。スネ夫のようにこれといった例はないが、なんとなく思い浮かべるシチュエーションとしては、あなたの自慢を教えてくださいと聞かれる、といったもの。聞かれた人はきっとそれぞれの自慢話をするだろう。有名人に会ったことがあります、財産がこれだけあります、とか。もっとささやかな自慢もあるだろう。それに対して、聞いた人は「ハ?自慢話してんじゃねーよ」とは思わないはず。だって自分で聞きたくて聞いてるんだもん。チャンネル登録しているYouTuberが海外旅行に行ったブイログを見て、自慢かよクソと思う人は少ないだろう。だって見たくて見てるんだもん。
いろいろごちゃごちゃ考えたが、自慢話とは聴く側の人間の立ち位置や、状況によって変わるものだと思った。同じ人から同じ話を聞いても、聴く側が変わればそれは自慢話すんなクソにも、へー!いいじゃん!にもなり得るのかな。
うわー自慢話されたー最悪ー!と人生で思ったこともあったかもしれないが、大体はへー!いいじゃん!と思う私にとって自慢話っていろいろ考えたけど…あんまりピンとこないなと思った。それと同時に、じゃあ私が過去に話したことも人によっては自慢話すんなクソだったのかな…と思うとなんだか憂鬱になってしまったのだった。
自慢話、奥が深いぜ。