Bulletin of the JSME
日本機械学会論文集
Vol.81, No.823, 2015
Transactions of the JSME (in Japanese)
界面固化を伴うジェットブレイクアップ挙動
岩澤 譲*1,阿部 豊*2,松尾 英治*3,小山 和也*4
Jet breakup behavior with surface solidification
Yuzuru IWASAWA*1, Yutaka ABE*2, Eiji MATSUO*3 and Kazuya KOYAMA*4
*1,*2
University of Tsukuba, Graduate School of Systems and Information Engineering
1-1-1 Tennoudai, Tsukuba-shi, Ibaraki 305-8573, Japan
*3
Mitsubishi Heavy Industries, LTD.
1-1-1 Wadasaki-Cho, Hyogo-Ku, Kobe 652-8585, Japan
*4
Mitsubishi FBR Systems, Inc.
2-34-17 Jingumae, Shibuya-ku, Tokyo 150-0001, Japan
Received 11 September 2014
Abstract
For the safety design of a Sodium-cooled Fast Reactor, it is strongly required that the molten material which is released from
a core region has to be solidified and cooled down in a reactor vessel by breaking up in the sodium coolant during a Core
Disruptive Accident in terms of Post Accident Heat Removal. In this paper, in order to investigate the effects of the surface
solidification on the jet breakup, the experimental results using a low melting point alloy and water are reported. The jet
breakup behavior is observed with a high speed video camera, the front position of the jet and the jet breakup length are
estimated with the visual observation results. In the high injection velocity conditions, it is found that the jet breakup is
dominated by fragmentation induced by the surface instability due to the relative velocity even in the surface solidification
condition. In addition, it is also found that the tendency of the jet breakup length is close to Epstein’s correlation.
Key words : Sodium-cooled fast reactor (SFR), Core disruptive accident (CDA), Post accident heat removal (PAHR), Jet
breakup, Surface solidification
1. 緒
言
次世代ナトリウム冷却高速炉(SFR: Sodium-cooled Fast Reactor)の安全設計では,炉心損傷事象(CDA: Core
Disruptive Accident)が発生した場合に,即発臨界による急激なエネルギー放出を抑制し,原子炉容器内収束を目
指す設計が提案されている(Tobita, et al., 2008, Sato, et al., 2011)
.しかし,即発臨界による急激なエネルギー放出
が抑制された場合においても多量の炉心燃料が溶融し,ジェット状に射出される可能性がある.このことから,
炉心領域から排出された溶融ジェットが分断され小さくなること(以降,微粒化と称す)なく構造材と衝突した
場合の影響が問題となる.よって,溶融ジェットがすべて微粒化により消失する(以降,ジェットブレイクアッ
プと称す)までの侵入距離であるジェットブレイクアップ長さを評価することが必要不可欠である.
既存の研究において,Moriyama ら(Moriyama, et al., 2006)及び Pohlner ら(Pohlner, et al., 2006)は,ジェット
ブレイクアップ長さの相関式を得ている.Bürger(Bürger, 2006)は,それらの相関式と PREMIX(Kaiser, et al., 2001)
ならびに FARO(Magallon, 2006)の実験結果を比較し,ジェットブレイクアップ長さには,溶融ジェット界面近
傍における速度境界層の発達による相対速度の減少と,界面不安定に関係する剥ぎ取りの係数が重要であると指
摘している.また,Abe ら(Abe, et al., 2006)は,ジェット先端での微粒化は Rayleigh-Taylor 不安定性,ジェット
側面での微粒化は Kelvin-Helmholtz 不安定性に関係する可能性を指摘している.更に Matsuo ら(Matsuo, et al.,
No.14-00460 [DOI:10.1299/transjsme.14-00460], J-STAGE Advance Publication date : 18 February, 2015
*1
正員,筑波大学 システム情報工学研究科(〒305-8573 茨城県つくば市天王台 1-1-1)
,
(独)日本学術振興会特別研究員 DC
*2
正員,フェロー,筑波大学 システム情報工学研究科
*3
正員,三菱重工業(株)
(〒652-8585 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町 1-1-1)
,
(現 三菱 FBR システムズ(株)
)
*4
三菱 FBR システムズ(株)
(〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-34-17)
E-mail of corresponding author:
[email protected]
[DOI: 10.1299/transjsme.14-00460]
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1
Iwasawa, Abe, Matsuo and Koyama, Transactions of the JSME (in Japanese), Vol.81, No.823 (2015)
2008)は,微粒化物径の計測結果から,微粒化が Kelvin-Helmholtz 不安定性に支配されること,また,ジェット
ブレイクアップ長さの計測結果が,ジェット側面での微粒化が支配的となる考えに基づく Epstein の相関式
(Epstein and Fauske, 2001)に従うことを報告している.
以上から,ジェットブレイクアップ挙動に対して,界面不安定に起因する微粒化が重要な役割を果たすと考え
られる.一方,実機では溶融ジェットの界面固化が発生するために,界面不安定に対する界面固化の影響につい
て検討する必要がある.UO2 及びナトリウムを用いて比較的実機に近い条件で実施された実験は多数あり,例え
ば FARO/TERMOS の実験結果(Magallon, et al., 1992)では,堆積物が微粒化物として観測され,ジェットブレイ
クアップ長さは Epstein の相関式を上限としていた
(松尾他, 2015)
.
しかし,
なぜこのような結果が得られたのか,
界面固化の影響も含めて明らかになっておらず,様々な事故シナリオを想定した場合においても同様の傾向を示
すのか判断できない状態である.また,これまでの研究において,Sugiyama ら(Sugiyama, et al., 1999)や西村ら
(西村他, 2005)により界面固化に関する研究が実施されているが,ジェットブレイクアップ長さへの界面固化の
影響に着目した研究は少ない.
本研究では,界面固化がジェットブレイクアップ挙動に与える影響を調べることを目的とし,低融点金属を使
用した溶融ジェット射出実験を実施した.低融点金属と冷却材としてそれぞれ Bi-Sn の低融点金属と水を使用し,
冷却材中における溶融ジェット挙動を,高速度カメラを用いて可視観測した.本実験では,溶融ジェットの初期
接触界面温度をパラメータとすることで,界面固化の影響を調べた.また,二流体間の相対速度の違いは,界面
不安定に大きく影響を与えることが知られていることから,溶融ジェットが冷却材へ侵入する速度(ジェット侵
入速度)もパラメータとし,溶融ジェットと冷却材間の相対速度を変化させた.両者の影響を考察することによ
り,界面固化が発生する条件においても界面不安定に起因する微粒化によりジェットブレイクアップに至り得る
かを調べると共に,その場合におけるジェットブレイクアップ挙動が,界面固化が発生しない条件におけるジェ
ットブレイクアップ挙動と差異がみられるか評価した.
2. 実験装置および実験条件
2・1 実験装置
図 1(a)に実験装置の概念図を示す.実験装置は大別すると,低融点金属を溶融させテスト部へジェット状に
射出する射出装置,冷却材中に溶融ジェットが流入するテスト部水槽,可視観測する計測系から成る.射出装置
内部では電気炉で低融点金属を加熱溶融し,所定の温度に保つ.図 1(b)にノズルの形状と主要な寸法を示す.
加熱時に円形の射出口はステンレス製のプラグによって塞がれており,プラグを上部に引き抜くことで溶融ジェ
ットを射出している.射出径は 20 mm とした.本研究では,同一の実験条件において溶融ジェット挙動が再現さ
れることを確認している.このことから,プラグの引き抜きによる再現性への影響はないものと判断した.テス
ト部は,幅 20 cm,高さ 1.5 m の一枚ガラスを三面に取り付け,残りの一面はステンレス製の壁面となっており,
熱電対を設置することで冷却材の温度を測定する.また,側面にあるヒーターで,冷却材の温度の調節が可能で
ある.冷却材中における溶融ジェット挙動は高速度カメラ(Photoron 社製 FASTCAM-MAX 120K)を用いて可視
観測する.可視観測する際には半透明のフィルムを通したバックライト照明(Photoron 社製メタルハライドラン
プ HVC-SL)を用いることで,観測部分に均一かつ高輝度の照明を当てる.
実験を実施する際には,テスト部水槽内に水を充填し,冷却材の温度を所定の温度に調節する.また,低融点
金属を射出装置内に入れて加熱溶融し,所定の温度に調整する.その後テスト部水槽上部のスライドゲートを開
放し,射出プラグを引き抜くことで,溶融ジェットを自由落下で冷却材中に射出する.このときのテスト部水槽
内における溶融ジェット挙動を高速度カメラにより可視観測する.
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(a) Overview of the experimental apparatus
(b) Configuration of the nozzle
Fig. 1 Schematic diagram of the experimental apparatus.
2・2 実験条件
本実験では,MOX 燃料の模擬に Bi-Sn の低融点金属(融点 138˚C)
,ナトリウム冷却材の模擬に水を使用した.
本実験と実機の物性比較を表 1 に示す.溶融ジェットと冷却材の密度比は本実験と実機で近い値となっている.
また,表面張力係数や粘性係数も本実験と実機で近い値となっている.
実験条件を表 2 に示す.本研究では,Abe ら(Abe, et al., 2004)の既存研究と同様に,溶融ジェットと冷却材の
温度条件を図 2 に基づき設定することとした.図 2 の横軸は溶融ジェットの初期温度,縦軸は冷却材の初期温度
であり,図中の橙色の実線,灰色の実線および赤色の実線は,それぞれ下記の式(1)から求められる初期接触界
1973)が冷却材の沸点 Tboil,低融点金属の融点 Tmelt,冷却材の均質核生成温度 Thn(Lienhard, 1976)
面温度 T(Fauske,
i
となる境界を示している.初期接触界面温度とは,溶融ジェットと冷却材が接触した直後における溶融ジェット
界面の温度であり,初期接触界面温度が低融点金属の融点を下回る場合においては,溶融ジェット界面は冷却材
と接触した直後に固化するとされている.
Ti
T j Tc
1
Tc
ただし,
C
C
p
c
p
j
(1)
加えて,図中の青色の実線および黒色の実線は,それぞれ Kondo らによる冷却材の最小膜沸騰温度 Tmin(Kondo,
et al., 1995)の境界ならびに溶融ジェットの初期温度 Tj が低融点金属の融点となる境界を示したものである.ナ
トリウム冷却材は低圧高沸点であることから,安定な蒸気膜が溶融ジェットの周囲を覆うことは考えにくい.従
って本実験では,冷却材の最小膜沸騰温度以下となる温度条件で実験を実施した.
実機では,初期接触界面温度がナトリウム冷却材の均質核生成温度を下回る温度条件である(Fauske,et al., 2002)
ことから,本実験においても同様に,初期接触界面温度が冷却材の均質核生成温度を下回る温度条件で実験を実
施した.更に実機では,初期接触界面温度が MOX 燃料の融点を下回る温度条件であることから,界面固化がジ
ェットブレイクアップ挙動に与える影響を調べることとした.本研究においては,初期接触界面温度が低融点金
属の融点を上回り,溶融ジェット界面が冷却材と接触した直後に固化しないとされている温度条件を「界面固化
が発生しない条件」とし,初期接触界面温度が低融点金属の融点を下回り,溶融ジェットの界面が冷却材と接触
した直後に固化するとされている温度条件を「界面固化が発生する条件」として,両温度条件における実験を実
施し,その結果を比較することとした.図 2 中で,赤丸は界面固化が発生しない条件で実験を実施した温度条件,
青丸は界面固化が発生する条件で実験を実施した温度条件をそれぞれ示す.
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Table 1 Comparison of the physical properties between the experimental system and the actual system.
Simulant material (Bi-Sn alloy)
MOX fuel
8560(200˚C)
8646(3300˚C)
Density j [kg/m ]
3
Surface tension [N/m]
0.494(UO2)*2
*1
0.410(200˚C)
Viscosity [mPa·s]
2.4(200˚C)
4.0(UO2)
Water
Sodium
981(65˚C)
859(395˚C)
0.434(65˚C)
0.282(395˚C)
Density c [kg/m ]
3
Viscosity [mPa·s]
*1: The value of the surface tension is measured in the air.
*2: The value of the surface tension is an average of several values reported by Chawla, et al. (1981).
Table 2 Experimental conditions.
Condition
Molten material temperature Tj [˚C]
350, 300, 250, 200, 150
Coolant temperature Tc [˚C]
70, 60, 40, 20
Falling height h [mm]
200, 500, 800
Injection velocity uj0 [m/s]
1.69 ~ 3.23
Nozzle diameter Dj0 [mm]
20
Injection mass m [g]
400
Fig. 2 Interfacial conditions for determining the temperature of the molten material and the coolant.
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3. 実験結果
3・1 冷却材中における溶融ジェット挙動
3・1・1 溶融ジェット挙動に及ぼす初期接触界面温度の影響
ここでは,ジェット侵入速度を一定とした場合に,界面固化がジェットブレイクアップ挙動にどのような影響
を与えるのかを調べた.実験条件を表 3 に示す.落下高さを 800 mm に固定することでジェット侵入速度をほぼ
一定に保ち,
溶融ジェットの初期温度と冷却材の初期温度を変化させることで,
初期接触界面温度の影響を見た.
ケース(1)では図 2 より,界面固化が発生しない条件であるが,ケース(2)およびケース(3)では界面固化が
発生する条件である.ケース(3)における冷却材の温度はケース(2)より低い条件となっており,ケース(2)
よりもケース(3)の方が,初期接触界面温度が低く,溶融ジェット界面がより固化し易い条件となっている.
ケース(1)
,
(2)
,
(3)の溶融ジェット挙動を図 3 の(a)
,
(b)
,
(c)にそれぞれ示す.本実験においては,ノ
ズルの形状や射出する溶融ジェットの質量は一定であることから,溶融ジェット挙動は,実験条件である溶融ジ
ェットや冷却材の初期温度とジェット侵入速度により決定されると考えられる.実際に,表 2 に示す実験条件に
おいて,溶融ジェット挙動の再現性を確認している.本研究では,テスト部水槽の背後から照明を当てているた
め,可視化画像において,影となり均一に暗くなっている部分は溶融ジェットであることが確認できる.一方,
時刻が進むにつれて,可視化画像における先端部分が比較的明るくなっていることが確認できる.これは,溶融
ジェットがすべて微粒化物となり消失したため,テスト部水槽の背後から当てた照明が透過し易くなったことが
原因であると考えられる.よって,可視化画像の明暗に着目して溶融ジェットがブレイクアップに至ったかを確
認することとした.界面固化が発生しない条件である図 3(a)では,時刻 t = 0.100 s において,溶融ジェット界
面において微粒化は発生しているが,溶融ジェットは維持されているものと確認できる.一方,時刻 t = 0.250 s
では,溶融ジェットがすべて微粒化物となり消失することで,ジェットブレイクアップに至ったものと確認でき
る.初期接触界面温度が低融点金属の融点を下回り界面固化が発生する条件であるものの,冷却材の初期温度が
高い条件である図 3(b)では,図 3(a)と同様に時刻 t = 0.100 s において,溶融ジェット界面において微粒化は
発生しているが,溶融ジェットが維持されているものと確認できる.一方,時刻 t = 0.250 s では,溶融ジェット
がすべて微粒化物となり消失することで,ジェットブレイクアップに至ったものと確認できる.
初期接触界面温度が低融点金属の融点を下回り界面固化が発生する条件であり,冷却材の初期温度が低い条件
である図 3(c)では,時刻 t = 0.100 s において,溶融ジェット界面において微粒化がほとんど発生せず,溶融ジ
ェットが維持されているものと確認できる.時刻 t = 0.250 s においても,溶融ジェットが維持されたまま棒状の
固化物となり冷却材中を落下している様子から,ジェットブレイクアップに至らなかったものと確認できる.す
なわち,初期接触界面温度が低融点金属の融点を下回り界面固化が発生する条件において,冷却材の初期温度が
低いために溶融ジェット界面が固化し易い条件では,溶融ジェット界面において微粒化がほとんど発生せずにジ
ェットブレイクアップに至らない結果となっている.これに対して,初期接触界面温度が低融点金属の融点を下
回り界面固化が発生する条件においても,冷却材の初期温度が高いために初期接触界面温度と低融点金属の融点
の差が小さい条件では,界面固化が発生しない条件と同様に,溶融ジェット界面において微粒化が発生しジェッ
トブレイクアップに至ることが示された.
また,図 3 の(a)
,
(b)のジェットブレイクアップ挙動に大きな差異がみられないことから,界面固化が発生
する条件においても,界面不安定に起因する微粒化によりジェットブレイクアップに至っていると考えられる.
そこで次節では,界面不安定に支配的なジェット侵入速度を変えることで,界面固化が発生する条件においてジ
ェット侵入速度がジェットブレイクアップ挙動に及ぼす影響を調べることとした.
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Table 3 Experimental conditions for examining the effects of the surface solidification on the jet breakup behavior.
Case
(1)
(2)
(3)
(4)
Molten material temperature Tj [˚C]
250
150
150
150
Coolant temperature Tc [˚C]
60
60
20
60
Initial interfacial temperature Ti [˚C]
207
130
120
130
Falling height h [mm]
800
800
800
200
Injection velocity uj0 [m/s]
3.06
3.02
3.23
1.69
(a) Jet behavior in the case that the jet breakup occurred under the non-surface solidification condition (case: (1))
(Tj = 250˚C, Tc = 60˚C, Ti = 207˚C, h = 800 mm, uj0 = 3.06 m/s).
(b) Jet behavior in the case that the jet breakup occurred under the surface solidification condition (case: (2))
(Tj = 150˚C, Tc = 60˚C, Ti = 130˚C, h = 800 mm, uj0 = 3.02 m/s).
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(c) Jet behavior in the case that the jet breakup does not occur under the surface solidification condition (case: (3))
(Tj = 150˚C, Tc = 20˚C, Ti = 120˚C, h = 800 mm, uj0 = 3.23 m/s).
Fig. 3 The effects of the surface solidification on the jet breakup behavior.
3・1・2 溶融ジェット挙動に及ぼすジェット侵入速度の影響
ここでは,ジェット侵入速度がジェットブレイクアップ挙動にどのような影響を与えるのかを調べた.実験条
件は,表 3 のケース(4)であり,図 3(b)に示す界面固化が発生する条件においてもジェットブレイクアップ
に至った表 3 のケース(2)から温度条件を変えずに落下高さを低くすることで,ジェット侵入速度のみを遅くし
た.
実験結果を図 4 に示す.時刻 t = 0.100 s において,溶融ジェット界面において微粒化がほとんど発生せず,溶
融ジェットは維持されているものと確認できる.時刻 t = 0.250 s においても,溶融ジェットが維持されたまま棒
状の固化物となり冷却材中を落下している様子から,
ジェットブレイクアップに至らなかったものと確認できる.
すなわち,このことは,界面固化が発生する条件においても,ジェット侵入速度の差異によって,微粒化により
ジェットブレイクアップに至るか至らないかの結果に差異が生じることを示していると考えられる.
相対速度を伴う二流体間の界面は,相対速度が大きくなるとより不安定になりやすく,逆に相対速度が小さく
なるとより不安定になりにくくなることが知られている(日本機械学会編, 1995)
.図 4 は,図 3(b)に対して,
ジェット侵入速度のみを遅くしている.よって,図 4 においてジェットブレイクアップに至らなかった支配要因
の一つは,ジェット侵入速度が遅くなることで溶融ジェットと冷却材間の相対速度が小さくなったために,溶融
ジェット界面が不安定になり難くなり,溶融ジェット界面において微粒化が発生し難くなったことであると考え
られる.微粒化に影響を与える他の要因としては,溶融ジェットと冷却材間に働くせん断力や,溶融ジェットと
冷却材間の熱伝達などの寄与が考えられるものの,その影響については更に検討を要する.
以上のことから,界面固化が発生する条件においても,ジェット侵入速度が速く,相対速度が大きい条件では,
界面固化の状態により,界面固化が発生しない条件と同様に,微粒化によりジェットブレイクアップに至ること
が示された.
そこで次節では,界面固化が発生する条件においてもジェットブレイクアップに至った図 3(b)に示す溶融ジ
ェットの界面挙動をより詳細に評価し,界面固化が発生する条件においても界面不安定が発生するかどうかを調
べるとともに,微粒化との関係性も調べることとした.
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Fig. 4 The effects of the injection velocity on the jet breakup behavior (case: (4))
(Tj = 150˚C, Tc = 60˚C, Ti = 130˚C, h = 200 mm, uj0 = 1.69 m/s).
3・2 界面固化が発生する条件における界面挙動の詳細観測
本節では,界面固化が発生する条件においてもジェットブレイクアップに至った図 3(b)に示す溶融ジェット
の界面挙動をより詳細に評価し,界面固化が発生する条件においても界面不安定が発生するかどうかを調べると
ともに,微粒化との関係性も調べることとした.
図 5 に,図 3(b)に示す溶融ジェットの界面挙動をより詳細に観測した結果を示す.図中の目盛は,冷却材の
水面位置からの冷却材の深さを示す.本研究では,テスト部水槽の背後から照明を当てているため,可視化画像
中において溶融ジェットに相当する部分は影となり均一に暗くなっていることが確認できる.
時刻 t =0.090 ~0.110
s にかけて,図中の矢印 A に示す部分は溶融ジェットとともに下流へ移動せず,ほぼ同じ位置に留まるが,図中
の矢印 A に示す部分は影となっていた.また,この部分において冷却材に侵入した溶融ジェット界面が波立ち,
成長していることから,界面不安定の発生が確認できる.一方,時刻 t = 0.130 ~ 0.170 s にかけて,図中の矢印 A
に示す部分は溶融ジェットとともに下流へ移動せず,ほぼ同じ位置に留まるとともに,図中の矢印 A に示す部分
において明るい領域が増加していた.このことから,時刻 t = 0.130 ~ 0.170 s では,矢印 A に示す部分は溶融ジェ
ットの落下から取り残されており,空隙が生じていたことから,微粒化が発生したと確認できる.また,時刻 t =
0.090 ~ 0.170 s かけて,図中の矢印 B に示す部分においても,溶融ジェット界面が波立ち,成長していることか
ら,界面不安定の発生が確認できる.
この結果は,界面固化が発生する条件においても溶融ジェット界面における微粒化が観測されるとともに,微
粒化の原因と考えられる界面不安定が発生していることを示すものと考えられる.すなわち,界面固化が発生す
る条件においても,ジェット侵入速度が速く,相対速度が大きい条件では,界面固化による抑制効果を上回るこ
とで,界面不安定に起因する微粒化によりジェットブレイクアップに至る可能性が高い.
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Fig. 5 The occurrence and growth of the surface instability lead to the fragmentation at the molten jet surface
in the case that the jet breakup occurred under the surface solidification condition(case: (2)).
(Tj = 150˚C, Tc = 60˚C, Ti = 130˚C, h = 800 mm, uj0 = 3.02 m/s).
4. ジェットブレイクアップ長さの評価
これまでの結果から,界面固化が発生する条件においても,ジェット侵入速度が速く,相対速度が大きい条件
では,界面固化による抑制効果を上回ることで,界面不安定に起因する微粒化によりジェットブレイクアップに
至る可能性が高いことが分かった.そこで本章では,界面固化条件においてもジェットブレイクアップに至った
場合を対象に,可視化画像よりジェットブレイクアップ長さの評価を行い,既存のジェットブレイクアップ長さ
の予測相関式と比較することとした.
ジェットブレイクアップ長さの評価では,まず可視化画像よりジェット先端位置を評価する.界面固化が発生
しない条件においてジェットブレイクアップに至った表 3 のケース(1)と,界面固化が発生する条件においても
ジェットブレイクアップに至った表 3 のケース(2)を対象に,ジェット先端位置を評価した結果を図 6 に示す.
図 6 中における赤いプロットはケース(1)
,青いプロットはケース(2)の結果である.図 6 に示すジェット先端
位置は,冷却材侵入後から加速しながら進み,途中で加速が止まると同時に速度が減速し,一定速度で落下して
いた.一方,図 3(a)
(b)に示した溶融ジェット挙動から,溶融ジェットが消失し,全て微粒化物となっている
ことが確認できた.図 6 に示すジェット先端の加速が止まり,速度が減少する時刻と,図 3(a)
(b)に示した溶
融ジェット挙動が消失し,全て微粒化物となる時刻は一致していた.このことから,ジェット先端速度は加速領
域と一定となる領域に分けることができ,加速領域におけるジェット先端位置は溶融ジェットの先端を示し,速
度が一定となる領域における先端位置は落下する微粒化物の最下端を示していると考えられる.本研究では,溶
融ジェットがすべて微粒化物となり消失することをジェットブレイクアップと定義していることから,図 6 に示
す加速領域と一定となる領域の境がジェットブレイクアップ位置となる.図 6 に示すように,図 3(b)の界面固
化が発生する条件においても,ジェット先端速度は加速領域と速度が一定となる領域に分けることができ,図 3
(a)の界面固化が発生しない条件と同様にジェットブレイクアップに至ることが分かった.
図 7(a)に示すように,加速領域におけるジェット先端位置(図中の赤いプロットの領域)は二次曲線により
近似することができる.図 7(a)中の曲線は最小二乗法近似により得たものである.このときのジェット先端速
度を図 7(b)に示す.図 7(b)の時刻 t = 0.15 s 以前において,ジェット先端速度は 3 ~ 4 m/s 程度であったが,
この時刻以降 0.5 m/s 程度まで急減少し,一定となった.図 7(b)に示すジェット先端速度が急減少を開始する
時刻は,図 7(a)のジェット先端位置が二次曲線から離脱を開始する時刻に一致していた.このとき,ジェット
先端位置が二次曲線から離脱し,速度が減少を開始する際には,ジェット先端速度は 20 %程度減少していた.本
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研究においては,このジェット先端位置が二次曲線から離脱し,速度が減少を開始する直前の時刻におけるジェ
ット先端位置をジェットブレイクアップ位置とし,ジェットブレイクアップ長さを水面からジェットブレイクア
ップ位置までの距離とした.
界面固化が発生する条件においても,ジェットブレイクアップに至った場合にはジェット先端速度に明確な変
化が認められ,界面固化が発生しない条件と同様の定義を用いてジェットブレイクアップ長さを評価することが
できた.このことから,界面固化が発生する条件においても,ジェット侵入速度が速く,相対速度が大きい条件
では,界面固化が発生しない条件と同様に,界面不安定に起因する微粒化によりジェットブレイクアップに至る
と考えられる.
図 8 に,界面固化が発生しない条件においてジェットブレイクアップに至った場合と,界面固化が発生する条
件においてもジェットブレイクアップに至った場合を対象に,ジェットブレイクアップ長さに対する初期接触界
面温度の影響を示す.図 8 において,初期接触界面温度が 200℃程度となる条件におけるジェットブレイクアッ
プ長さの測定値は,溶融ジェットの初期温度が 250℃,冷却材の初期温度が 40℃と 60℃,落下高さが 500 mm と
800 mm の条件における実験結果のものである.図 8 に示すジェットブレイクアップ長さのばらつきは,これら
の条件設定の違いによるものと考えられる.本研究の先行研究として Matsuo ら(Matsuo, et al., 2008)や Abe ら
(Abe, et al., 2006)の実験がある.これら実験でも,本研究における実験結果と同程度のジェットブレイクアッ
プ長さのばらつきが生じており,初期接触界面温度で整理した場合,今回得られた程度のジェットブレイクアッ
プ長さのばらつきが生じるものと考えられる.図 8 より,ジェットブレイクアップに至った場合のジェットブレ
イクアップ長さに対しては,初期接触界面温度はほとんど影響を与えないことが示された.このことは,界面固
化が発生する条件においても,ジェットブレイクアップに至った場合に,界面固化はジェットブレイクアップ長
さに対してはほとんど影響を与えないことを示している.
同様に図 9 に,ジェットブレイクアップ長さに対する Froude 数の影響を示す.図 9 中の実線は Saito の相関式
(Saito, et al., 1988)
,点線は Epstein の相関式をそれぞれ示している.図 9 において,同程度の Froude 数において
も,溶融ジェットや冷却材の初期温度ならびにジェット侵入速度の条件設定が異なることで,ジェットブレイク
アップ長さがばらついたものと考えられる.これらのばらつきを考慮した上で,ジェットブレイクアップ長さは
Froude 数に対する依存性が認められず,定量的に Saito の相関式と異なる値となっていた.一方,ジェットブレ
イクアップ長さは,Epstein and Fauske が提唱している E0 = 0.05 ~ 0.10 の値を用いた Epstein の相関式に近い傾向を
示すと認められた.この結果は,Matsuo ら(Matsuo, et al., 2008)や Abe ら(Abe, et al., 2007)の界面固化が発生
しない条件の実験結果と同様であり,このことからも,界面固化が発生する条件においても,ジェット侵入速度
が速く,相対速度が大きい条件では,界面固化が発生しない条件と同様に,界面不安定に起因する微粒化により
ジェットブレイクアップに至ると考えられる.
本論文で得られた知見より,界面固化が発生する条件においても,ジェット侵入速度が速く,相対速度が大き
い条件では,ジェットブレイクアップに至り,ジェットブレイクアップ長さも Epstein の相関式に近い傾向を示し
た.界面固化が発生する条件である実機においても,ジェット侵入速度が速い条件では,界面不安定に起因する
微粒化がジェットブレイクアップの要因となると考えられる.
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Fig. 6 Front position in the case that the jet breakup occurred.
(a) The jet breakup position indicated by front position.
(b) The jet breakup position indicated by front velocity.
Fig. 7 Estimation method of the jet breakup length.
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Fig. 8 Jet breakup length against initial interfacial temperature.
5. 結
Fig. 9 Jet breakup length against Froude number.
言
界面固化がジェットブレイクアップ挙動に与える影響を調べることを目的とし,低融点金属と水を用いた溶融
ジェット射出実験を実施した.その結果以下の結論を得た:
(1) 界面固化が発生する条件においても,冷却材の初期温度が高いために初期接触界面温度と低融点合金の
融点の差が小さい条件では,界面固化が発生しない条件と同様に,溶融ジェット界面において微粒化が
発生しジェットブレイクアップに至ることが示された.
(2)
界面固化が発生する条件において,ジェット侵入速度が遅く,溶融ジェットと冷却材間の相対速度が小
さい条件では,溶融ジェット界面において微粒化が発生し難くなり,ジェットブレイクアップに至らな
いことが示された.
(3)
界面固化が発生する条件においても,ジェット侵入速度が速く,溶融ジェットと冷却材間の相対速度が
大きい条件では,界面固化が発生しない条件と同様に,界面不安定に起因する微粒化によりジェットブ
レイクアップに至ることが示唆された.
(4)
界面固化が発生する条件においても,ジェットブレイクアップに至った場合には,ジェット先端速度に
明確な変化が認められ,界面固化が発生しない条件と同様の定義を用いてジェットブレイクアップ長さ
を評価することができた.
(5)
界面固化は界面不安定を抑制する効果があるが,ジェットブレイクアップに至る場合におけるジェット
ブレイクアップ長さに対しては,ほとんど影響を与えず,その時のジェットブレイクアップ長さは,界
面固化が生じない条件と同様に,Epstein の相関式に近い傾向を示した.
Nomenclature
Cp
specific heat
[J/(kg·K)]
Dj0
nozzle diameter
[mm]
E0
Fr
entrainment coefficient
Froude number
[-]
[-]
g
gravitational acceleration
[m/s2]
h
falling height
[mm]
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Lbrk
jet breakup length
[m]
m
injection mass
[g]
t
time
[ºC]
T
Tboil
temperature
boiling temperature of coolant
[ºC]
[ºC]
Ti
initial interfacial temperature
[ºC]
Thn
Tmelt
homogeneous nucleation temperature
melting point of low melting point alloy
[ºC]
[ºC]
Tmin
minimum film boiling temperature
[ºC]
u
front velocity
[m/s]
uj0
injection velocity
[m/s]
z
front position
[m]
Greek Letters
thermal conductivity
[W/(m·K)]
viscosity
[mPa·s]
density
[kg/m3]
surface tension
[N/m]
Subscripts
j
jet
c
coolant
謝
辞
本研究は,筑波大学の金子暁子准教授,金川哲也助教,成合英樹名誉教授,兵庫県立大学の伊藤和宏准教授,
三菱重工業株式会社の坂場弘氏,佐藤裕之氏の支援を受け実施したものである.ここに感謝の意を表す.また本
研究は,JSPS 科研費 261960 の助成を受け実施したものである.あわせて感謝の意を表す.
文
献
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