バーイード
バーイード | ||||||||||||||||||||||||
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第65回ムーラン・ド・ロンシャン賞勝利後のバーイード(2021年9月5日、パリロンシャン競馬場) | ||||||||||||||||||||||||
欧字表記 | Baaeed | |||||||||||||||||||||||
品種 | サラブレッド | |||||||||||||||||||||||
性別 | 牡 | |||||||||||||||||||||||
毛色 | 鹿毛 | |||||||||||||||||||||||
生誕 | 2018年4月8日(6歳) | |||||||||||||||||||||||
父 | Sea the Stars | |||||||||||||||||||||||
母 | Aghareed | |||||||||||||||||||||||
母の父 | Kingmambo | |||||||||||||||||||||||
生国 | イギリス | |||||||||||||||||||||||
生産者 | Shadwell Estate | |||||||||||||||||||||||
馬主 | Shadwell Estate | |||||||||||||||||||||||
調教師 | William Haggas(イギリス) | |||||||||||||||||||||||
競走成績 | ||||||||||||||||||||||||
タイトル |
カルティエ賞年度代表馬(2022年) カルティエ賞最優秀古馬(2022年) | |||||||||||||||||||||||
生涯成績 | 11戦10勝 | |||||||||||||||||||||||
獲得賞金 | 2,622,282ポンド | |||||||||||||||||||||||
WTRR |
M125 / 2021年[1] I135 - M130 / 2022年[2] | |||||||||||||||||||||||
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バーイード(Baaeed、2018年4月8日 - )は、イギリスで生産・調教されていた競走馬。馬名の由来はアラビア語の形容詞بعيد(ba‘īd,バイード)で意味は「遠い、遠く離れた」「遥かなる」。
主な勝ち鞍は2021年ムーランドロンシャン賞、クイーンエリザベス2世ステークス、2022年ロッキンジステークス、クイーンアンステークス、サセックスステークス、インターナショナルステークス。
戦績
[編集]3歳(2021年)
[編集]デビューは遅く、3歳となった2021年6月7日レスター競馬場の未勝利戦(芝1マイル53ヤード)でデーン・オニール騎乗のもとデビューし初勝利を挙げる。続く一般戦とサーヘンリーセシルステークス(リステッド競走)を共に圧勝。重賞初挑戦となった7月30日のサラブレッドステークス (G3) では後方追走から脚を伸ばして先頭に立つと最後は6馬身半差をつけ重賞初制覇を果たす[3]。
9月5日のムーラン・ド・ロンシャン賞では好位でレースを進め、直線で逃げるノーベンバ (Novemba) をかわして先頭に躍り出るとオーダーオブオーストラリアに1馬身1⁄4差をつけG1初制覇を飾る[4]。10月16日のクイーンエリザベス2世ステークスではパレスピアをマークする形で追走すると、残り2ハロンでパレスピアとともに抜け出して一騎打ちとなり、最後はクビ差でパレスピアをかわしてG1競走2連勝となった[5]。
4歳(2022年)
[編集]明けて4歳となり2022年、5月14日のロッキンジステークス (G1) で約8か月ぶりに復帰。2着のリアルワールド (Real World) に3馬身1⁄4の差をつけ圧勝、デビューからの連勝記録を7に伸ばした[6]。
6月14日、クイーンアンステークス (G1) に出走。道中を2番手につけたバーイードは残り600メートルからスパートをかけると、一度もムチを振るうことなく2馬身差で勝利し、連勝記録を8とした[7]。 7月27日、サセックスステークス (G1) に出走。このレースには日本馬のバスラットレオンも参戦した[8]。レースでは後方2番手につけ、残り1ハロン地点で逃げ粘るバスラットレオンを外から交わし2着モダンゲームズに1馬身3⁄4差をつけ勝利。デビューからの連勝を9に伸ばした[9]。
レース後、バーイード陣営は次走として初の中距離戦となるインターナショナルステークス (G1) に出走することを決定。結果次第でチャンピオンステークスか連覇のかかるクイーンエリザベス2世ステークスへ向かうとした[10]。
8月17日、予定通りインターナショナルステークスに出走。ここにはジョッケクルブ賞・サウジカップ・ドバイシーマクラシック等を制した前年覇者ミシュリフやアイリッシュ2000ギニーを制したネイティヴトレイルが参戦[11]。レースでは前走と同じく後方2番手に控え、ヨーク競馬場の5ハロンにも及ぶ長い直線に入り持ったままで徐々に進出、残り300メートル付近で鞍上のジム・クローリーが軽く促すと鋭く加速し、ラスト1ハロン地点でミシュリフを交わし差を広げ、最後には6馬身半差をつけ優勝。デビューからの連勝を10と伸ばし[12]、父シーザスターズとの父子制覇も達成した。
レース後、陣営は更なる距離延長となる凱旋門賞は避けて10月に開催されるチャンピオンステークスに向かい、そのレースをラストランとすると発表した[13]。この発表を受けて、ブックメーカー各社はバーイードを断然の一番人気とし、イギリスのウィリアムヒルは単勝1.4倍、アイルランドのパディパワーは単勝1.5倍のオッズをつけた[14]。
最終的に凱旋門賞には出走せず、当初の予定通り正式にイギリスチャンピオンステークスに向かうことを表明した[15][16]。
10月15日、引退レースとなる英チャンピオンステークスに出走。前年の欧州2冠馬アダイヤーや、この年1990mのGIで好走中のベイブリッジなどのメンバーが揃う中、単勝オッズ1.2倍の圧倒的1番人気に推される。最内枠からの出走となったレースでは、スタートで出遅れるもいつも通り中段やや後ろで前を追走し、最後の直線で外に出した。しかし、いつものような伸びがなく、前を行く勝ち馬ベイブリッジなどを捉えきれずまさかの4着。生涯初黒星を喫し、連勝記録は10でストップ。ゴール後鞍上のジム・クローリーは敗因に馬場状態を挙げながらも、「私たちの旅は信じられないほど素晴らしいものだ。彼は私にとって今でも特別な馬だ。」と悔しさを滲ませながらも労いの言葉を述べた[17]。この敗戦はイギリスを中心に波紋を広げ、歴史的名馬に値するかどうかの議論が過熱した[18]。
カルティエ賞の年度代表馬および最優秀古馬に選出される[19]。
競走馬引退後の2023年よりシャドウェルスタッドで種牡馬入りする[20]。
競走成績
[編集]以下の内容は英国競馬統括機構[21]とフランスギャロ[22]、およびレーシング・ポスト[23]、JRA-VAN Ver.World[24]による。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 馬場・距離 (馬場状態) |
頭数 | 着順 | タイム | 着差 | 騎手 | 斤量 | 1着馬(2着馬) |
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2021年6月7日 | レスター | 未勝利戦 | 芝 1mi53yds (GF) | 14 | 1着 | 1:43.60 | 1+1⁄4馬身 | D.オニール | 9st.3lb. | (Tamaamm) | |
6月19日 | ニューマーケット | 条件戦 | 芝 1mi (GS) | 10 | 1着 | 1:38.72 | 7+1⁄2馬身 | D.オニール | 9st.8lb | (Komachi) | |
7月8日 | ニューマーケット | サーヘンリーセシルS | L | 芝 1mi (GF) | 5 | 1着 | 1:36.95 | 4馬身 | J.クローリー | 9st.3lb. | (Maximal) |
7月30日 | グッドウッド | サラブレッドS | G3 | 芝 1mi (GS) | 7 | 1着 | 1:41.20 | 6+1⁄2馬身 | J.クローリー | 9st.1lb. | (El Drama) |
9月5日 | パリロンシャン | ムーランドロンシャン賞 | G1 | 芝 1600m (BS) | 6 | 1着 | 1:39.13 | 1+1⁄4馬身 | J.クローリー | 57kg | (Order of Australia) |
10月16日 | アスコット | クイーンエリザベス2世S | G1 | 芝 1mi (GS) | 10 | 1着 | 1:42.57 | クビ | J.クローリー | 9st.1lb. | (Palace Pier) |
2022年5月14日 | ニューベリー | ロッキンジS | G1 | 芝 1mi (Gd) | 9 | 1着 | 1:35.71 | 3+1⁄4馬身 | J.クローリー | 9st. | (Real World) |
6月14日 | アスコット | クイーンアンS | G1 | 芝 1mi (GF) | 7 | 1着 | 1:37.76 | 1+3⁄4馬身 | J.クローリー | 9st.2lb. | (Real World) |
7月27日 | グッドウッド | サセックスS | G1 | 芝 1mi (GF) | 7 | 1着 | 1:37.74 | 1+3⁄4馬身 | J.クローリー | 9st.10lb. | (Modern Games) |
8月17日 | ヨーク | インターナショナルS | G1 | 芝 1mi2f56yds (Gd) | 6 | 1着 | 2:09.30 | 6+1⁄2馬身 | J.クローリー | 9st.8lb. | (Mishriff) |
10月15日 | アスコット | チャンピオンS | G1 | 芝 1m1f212yds(GS) | 9 | 4着 | 2:09.82 | 1+3⁄4馬身 | J.クローリー | 9st.7lb. | Bay Bridge |
- 競走名のSはステークスの略。
- 距離はイギリスはヤード・ポンド法(mi: マイル、f: ハロン、yd: ヤード)、フランスはメートル法(m: メートル)。
- イギリスの馬場状態はGFがGood to Firm、GdがGood、GSがGood to Softの、フランスの馬場状態はBSがBon Soupleの略。これらはJRAの翻訳基準ではGFとGdが「良」、GSとBSは「稍重」に相当する[25][26]。馬場状態#芝馬場も参照。
- 負担重量(斤量)はイギリスはヤード・ポンド法(st.: ストーン、lb.: ポンド)、フランスはメートル法(kg: キログラム)。
血統表
[編集]Baaeedの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | ダンジグ系 |
[§ 2] | ||
父 Sea the Stars 2006 鹿毛 |
父の父 Cape Cross 1994 黒鹿毛 |
Green Desert | Danzig | |
Foreign Courier | ||||
Park Appeal | Ahonoora | |||
Balidaress | ||||
父の母 Urban Sea 1989 栗毛 |
Miswaki | Mr. Prospector | ||
Hopespringseternal | ||||
Allegretta | Lombard | |||
Anatevka | ||||
母 Aghareed 2009 鹿毛 |
Kingmambo 1990 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native | |
Gold Digger | ||||
Miesque | Nureyev | |||
Pasadoble | ||||
母の母 Lahudood 2003 鹿毛 |
Singspiel | In The Wings | ||
Glorious Song | ||||
Rahayeb | *アラジ | |||
Bashayer | ||||
母系(F-No.) | 2号族(FN:2-f) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Mr. Prospector M3×S4×M5、Northern Dancer S5×M5 | [§ 4] | ||
出典 |
- 1歳上の全兄にコロネーションカップ、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを制したフクムがいる。
- 祖母ラフドゥードは米G1・BCフィリー&メアターフ、フラワーボウルS優勝馬。
- 牝系はディープインパクトやレイデオロと同じハイクレア系に属する。
脚注
[編集]- ^ “The LONGINES World's Best Racehorse Rankings For 3yos and upwards which raced in 2021” (英語). ifhaonline.org. 国際競馬統括機関連盟. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “The LONGINES World's Best Racehorse Rankings For 3yos and upwards which raced in 2022”. IFHA. 2023年1月18日閲覧。
- ^ “バーイードが無傷の4連勝、英G3サラブレッドSを圧勝”. JRA-VAN Ver.World. JRAシステムサービス株式会社 (2021年7月31日). 2021年10月18日閲覧。
- ^ “バーイードが無敗継続、仏G1ムーランドロンシャン賞も快勝”. JRA-VAN Ver.World. JRAシステムサービス株式会社 (2021年9月6日). 2021年10月18日閲覧。
- ^ “英G1クイーンエリザベス2世S、バーイードがパレスピアとの一騎打ち制して無敗守る”. JRA-VAN Ver.World. JRAシステムサービス株式会社 (2021年10月17日). 2021年10月18日閲覧。
- ^ “バーイードが英G1ロッキンジSで無傷7連勝、2着のリアルワールド陣営は白旗”. JRA-VAN Ver.World. JRAシステムサービス株式会社 (2022年5月15日). 2022年5月15日閲覧。
- ^ “現役世界最強馬、ムチなし楽勝で8戦8勝&G1を4連勝 海外衝撃「フランケル以来最強だ」”. THE ANSWER. 株式会社Creative2 (2022年6月15日). 2022年6月15日閲覧。
- ^ “【サセックスS】(英G1)出馬表確定 バスラットレオンが出走 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ (2022年7月26日). 2022年8月17日閲覧。
- ^ “英G1サセックスS、バスラットレオンは逃げて4着 バーイードが無敗継続”. JRA-VAN Ver.World. JRAシステムサービス株式会社 (2022年7月28日). 2022年8月19日閲覧。
- ^ “マイルG1を5連勝のバーイードがいよいよ中距離挑戦へ、凱旋門賞参戦は否定”. JRA-VAN Ver.World. JRAシステムサービス株式会社 (2022年7月28日). 2022年8月17日閲覧。
- ^ “【英G1・インターナショナルS出馬表】 9戦無敗バーイード、昨年6馬身圧勝のミシュリフなど | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ (2022年8月17日). 2022年8月17日閲覧。
- ^ “【英・インターナショナルS】世界最強マイラー・バーイードが6馬身半差圧勝! これで通算10戦10勝/海外競馬レース結果 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ (2022年8月18日). 2022年8月18日閲覧。
- ^ “【インターナショナルS】バーイードが6馬身半差の圧勝 10月の英チャンピオンSで引退へ”. サンスポZBAT!. 株式会社産経デジタル (2022年8月18日). 2022年8月18日閲覧。
- ^ “【海外競馬】10戦無敗のバーイードは英G1・チャンピオンSへ 単勝オッズは各社1倍台に | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ (2022年8月18日). 2022年8月18日閲覧。
- ^ “Baaeed to bow out in Champion Stakes at Ascot”. Racing TV. (2022年9月14日) 2022年9月14日閲覧。
- ^ “10戦無敗のバーイードが凱旋門賞を回避 英チャンピオンSでラストランへ”. netkeiba.com. (2022年9月15日) 2022年9月15日閲覧。
- ^ “Baaeed beaten, as Bay Bridge takes Champion Stakes” (英語). At The Races. 2022年10月16日閲覧。
- ^ “怪物バーイード引退レースでまさかの敗戦に「彼は歴史的名馬か?」と論争勃発”. 東スポ競馬 (2022年10月17日). 2024年7月21日閲覧。
- ^ “バーイードが欧州年度代表馬に! 最優秀3歳牡馬は仏ダービー馬のヴァデニ | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2022年11月10日閲覧。
- ^ 引退のバーイード、シャドウェルスタッドでの種牡馬入りが正式発表JRA-VAN world、2022年10月22日閲覧
- ^ “Baaeed (GB) - Horse Profile - The British Horseracing Authority” (英語). britishhorseracing.com. 英国競馬統括機構. 2022年8月19日閲覧。
- ^ “BAAEED GB | France Galop” (フランス語). france-galop.com. フランスギャロ. 2022年8月19日閲覧。
- ^ “Baaeed | Race Record & Form | Racing Post” (英語). racingpost.com. レーシング・ポスト. 2022年8月19日閲覧。
- ^ “バーイード(Baaeed) | 競馬データベース”. JRA-VAN Ver.World. JRAシステムサービス株式会社. 2022年8月19日閲覧。
- ^ “イギリス競馬のルール”. jra.jp. 日本中央競馬会. 2022年8月19日閲覧。
- ^ “フランス競馬のルール”. jra.jp. 日本中央競馬会. 2022年8月19日閲覧。
- ^ a b c “血統情報:5代血統表|Baaeed(GB)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2021年10月21日閲覧。
- ^ a b c d “Baaeedの血統表 | 競走馬データ”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2021年10月21日閲覧。
外部リンク
[編集]- 競走馬成績と情報 netkeiba、JBISサーチ、Racing Post