現代社会の生きづらさ 若者の自殺という社会問題に、多くの人が関心を寄せている。大学で学生に興味のある社会問題を尋ねてみると、一定数の学生がやはりこの問題を身近に感じているという。15歳から39歳の死亡原因の一位は自殺である(厚生労働省「令和3年版自殺対策白書」)。 なぜ将来のある若者たちが、自ら命を絶つのか。 この問題は十把一絡げに原因を特定したり、一面的な対策を講じたりすることによって、一挙に解決が期待できるようなものではない。若者を自殺に至らせている原因は多くの場合、個人的かつ複合的なものだと考えられるからだ。 将来への不安や家族との関係、金銭問題、いじめ、病気、社会不信、行政サービスについての無知や孤立など、原因は個々の状況に根を持ちつつ多岐にわたり、かつそれらが複雑に絡み合う。 この問題には、現代社会の生きづらさが顕著に表れているように思う。わたしたちは社会生活を送っていく間に、解