「プッチンプリン」をはじめとする江崎グリコのチルド食品が店頭から姿を消した。2024年4月3日に実施した基幹システムの切り替えでトラブルが発生。同社が物流・販売を請け負っていた他社製品を含め、一部商品を出荷できなくなった。同月18日に出荷を一部再開したものの、トラブルは終息せずに再び出荷を停止。システム障害の影響で、当初業績予想より売上高を200億円程度押し下げるとみる。
「スーパーにもコンビニにも『プッチンプリン』が見当たらない」「『カフェオーレ』を長年愛して飲んでいるが、どこの店舗も販売休止中だ」――。2024年4月中旬、X(旧Twitter)で、このような投稿が相次いだ。
江崎グリコの看板商品が店頭から姿を消した理由は、システムトラブルによるものである。同社は2024年4月3日、基幹システムの切り替えを実施した。旧システムを独SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「SAP S/4HANA」に刷新する内容だ。
ところがシステム更改をトリガーに障害が発生。乳製品、洋生菓子、果汁、清涼飲料といった「チルド食品」について、受発注や出荷業務に影響を及ぼした。その結果、看板商品であるカフェオーレやプッチンプリンなどが出荷できない状態に陥ったわけだ。
業績面への影響も深刻だ。江崎グリコは2024年5月8日に同年12月期第1四半期決算を発表したが、今回のシステム障害による影響について、システム改修が順調に進んだ場合でも前回の業績予想より通期売上高を約200億円、営業利益を約60億円押し下げると見込む。この見通しについて江崎グリコは「現時点で入手可能な情報に基づいたものであり、追加的な経費の発生も含めて、連結財務諸表への影響は現在精査中」としている。
結果、業績予想は大幅な下方修正を余儀なくされた。2024年12月期の連結業績予想は、売上高が前回予想を150億円下回る3360億円。営業利益は140億円、純利益は110億円と、従来予想からそれぞれ50億円、40億円下方修正した。