CPU
「CPU」とは・「CPU」の意味
「CPU」とは「Central Processing Unit」の略で、中央処理装置または中央演算処理装置を指す。CPUは別名で「プロセッサ(processor)」とも呼ばれている。CPUはコンピューターの演算処理で中心的な役割を果たす。CPUは記憶装置上にある命令文(プログラム)を読み込み、それらに演算処理を加えて解釈して実行する機能を持つ。演算処理する際、コンピューター内における補助記憶装置・表示装置・通信装置とのデータのやり取りは、数段階に別れた入出力回路を経由して行う。これがコンピューターの基本的な動作である。CPUは演算によってコンピューターの基本的な動作をつかさどる。いわば「コンピューターの頭脳」であるといえるだろう。
CPUのほとんどが「二値論理方式」を採用している。一部に例外はあるものの、現在でもそれは変わることがない。これは命題が真か偽かの二値(バイナリー)しか持たないとする論理的思考を電子回路で再現したものだ。その表現方法として二進法が演算に用いられている。
二進法の1桁を1ビットという。そして、CPUが一度のデータパスで扱うビット数を「ビット幅」「データバス幅」と呼ぶ。例えばビット幅が4ビットであるなら、そのCPUは1度のデータパスで、4桁の2進数を扱っている。そのため、4ビットCPUと呼ぶ。マイナス値を持たない整数である場合、4ビットCPUが1度に表現できる範囲は「2の4乗-1」だ。0を含めて、0から15までの16通りの整数を表現できる。仮に、ビット幅が16ビットであるなら、表現できるのは0から65,535までの整数となる。
なお、現在のCPUの多くは「マイクロプロセッサ(microprocessor)」だ。これは「MPU(Micro Processing Unit)」あるいは「超小型演算処理装置」と呼ばれる場合もある。マイクロプロセッサは1970年代前半に初めて登場した、多数のIC(集積回路)を搭載したCPUだ。マイクロプロセッサの登場によって、汎用プロセッサのビット数やクロック数の向上、マルチコアCPUの採用といったことが可能になった。マイクロプロセッサの使用例は多く、ゲーム機器・スマートフォン(スマホ)・パソコン(pc)など、多機能な機器に一般的に使われている。
マイクロプロセッサからは、新たなCPUの形式が派生した。例えば「DSP(デジタルシグナルプロセッサ、digital signal processor)」は、マイクロプロセッサにデータ専用バスを持つアーキテクチャを持たせ、デジタル信号処理に特化したものだ。「マイクロコントローラ(マイコン、microcontroller)」は、組み込みシステムに必要なCPU・メモリ・タイマー・入出力端子をまとめたものだ。マイクロプロセッサの登場以降、CPUの開発競争が一気に加速する。マイクロプロセッサとして実装されたCPUの生産の歴史は以下のとおりである。最初に開発者たちが着目したのは、CPUのビット幅だった。
・1970年 Garrett AiResearchが「F14戦闘機」専用に「Garrett CADC」を開発。
・1971年 インテル(Intel Corporation)が世界初の商用マイクロプロセッサ「4004」を発表。
・1971年 テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments Inc.)が「TMS1050」の出荷をスタート。電卓用として流通する。
・1972年4月 インテルは8ビットCPU「8008」発表。通称名「TVタイプライター」。
・1974年4月 コンピューター用途を目的にした8ビットCPU「8080」がインテルより発表される。世界初のpcである「Altair」に搭載される。
・1976年6月 テキサス・インスツルメンツが16ビットCPU「TMS9900」を発表。
・1978年6月 インテルは16ビットCPU「8086」を発表。日本電気株式会(NEC)が生産したPC-9801などに広く用いられた。
・1984年 モトローラ(Motorola, Inc.)は32ビットCPU「MC68020」を発表。
・1985年10月 インテルは32ビットCPU「80386」を発表。
・1991年 ミップス・テクノロジーズ(MIPS Technologies, Inc.)は初の64ビットCPU「R4000」を発表。この後、各CPU開発会社で64ビットCPUの生産が始まる。
ビット幅が64ビットに到達した1990年代、CPUの開発競争はクロック周波数争いへと移行した。二値理論式で動くCPUは、電気信号によってオンとオフを繰り返す。この切り替えが素早いほど演算処理速度が早くなる。この速度のことをクロック周波数、あるいはクロック数と呼ぶ。クロック周波数の単位はHz(ヘルツ)である。これは1秒あたりに何度の振動があったかを示す単位だ。クロック周波数ではこの単位によって、CPUが1秒間にオンとオフを繰り返した回数を示す。例えば1秒当たり1回のオン・オフ切り替えがあった場合は1Hzとなる。1000回なら1KHz、100万回なら1MHz、10億回なら1GHz、1兆回なら1THzとなる。
2000年代に入ると、クロック周波数の競争も区切りを見せた。なぜなら、クロック周波数は高くなるほど、消費電力が多くなり、CPUの発熱量が看過できないものになるからである。クロック周波数に代わりに、CPU開発競争は「マルチコア(multi-core)」の開発に移行した。マルチコアとは複数のCPUコアを単一のICチップに搭載したタイプのCPUを指す。「マルチコア・プロセッサ(multi-core processor)」ともいう。複数のCPUで並列に演算処理するため、従来のCPUに比べて格段に高い処理能力が可能になった。
しかし、マルチコアの開発が進んでも、消費電力と熱量対策の問題は解決しなかった。それどころか多数のコアを並列に高出力で動かすには、またもや消費電力量と発熱の問題に向き合う必要が生まれる。それゆえに、マルチコアの開発がある程度進んでから以降は、「SIMD(single instruction, multiple data)」化や「SoC(System-on-a-chip)」化へと、CPU開発競争の場を移すことになった。
CPUを性能比較する際、性能の情報は型番から見分ける必要がある。以下ではインテル製のCPUから「Intel Core i9-7980XE 2.60GHz」を例に挙げ、型番の見方を解説する。最初に記された「Intel」は製造したメーカー名を表す。なお、CPUのシェアのほとんどはインテルおよびAMD(Advanced Micro Devices, Inc.)が占めている。「Core」はCPUのブランド名である。Coreはインテルの主力製品(2022年の時点)を指す。Core以外では、Core M・Pentium・Celeron・Atomなどがある。
「i9」はCPUのシリーズ名で、i9以外にi3・i5・i7がある。「7980」はプロセッサー・ナンバー。インテルが製品ごとに付与している番号だ。「XE」は記号。これによってCPUのタイプを示す。記号の一覧は以下の通りである。型番がないものは通常モデルを指す。
記号 意味
K オーバークロック。クロック周波数の上向への変更ができる。
M ノートPCやタブレットなどのモバイル用CPUの意味。
U ウルトラブック用CPU。
X Extream Edition。最上位モデルのCPUを指す。
XM モバイル用の最上位モデルのCPUを指す。
Q 4(クアッド)コアのマルチコア。
QM 4コアのモバイル用。
S 低電圧版のデスクトップ用。
T 超低電圧版のデスクトップ用。
LM 低電圧版のモバイル用。
UM 超低電圧版のモバイル用。
G GPU(グラフィックコントローラ)を搭載したモデル。
P GPU(グラフィックコントローラ)がないモデル。
最後に記された「2.60GHz」はCPUのクロック周波数である。2.60GHzのCPUなら1秒間に26億回の切り替えをする。
「CPU」の熟語・言い回し
CPU性能とは
CPU性能とは、CPUがどれだけの演算能力を持っているかを示す言葉だ。主にクロック周波数とコア数に左右される。
クロック周波数は高くなるほどに、CPU性能は高くなる。なぜなら、演算処理の速度が上がるためだ。また、コア数が増えるほどに、並列処理できるデータ量が増えるため、性能が上がっていく。例えば、4つのコアを持つマルチコアのCPUであるなら、4つの演算処理を同時に行える。しかし、かつては発熱や消費電力量の問題があったため、マルチコアに使われる1つ1つのCPUの性能を抑えていることがあった。そのため、必ずしもマルチコアのCPUが高性能であるとは言えなかった。だが、現在ではその問題の多くは解消されつつある。コア数が多いCPUは高性能であると言っても差支えないだろう。
CPU交換とは
CPU交換はパソコンのカスタマイズ方法の1つ。交換することによって、より高性能なパソコンにアップグレードできる。しかし、常に好きなCPUが使えるわけではない。マザーボードに対応するCPUは決まっているからだ。そのため、CPU交換するときには、事前にマザーボードのメーカーや型番を調べておく必要がある。
8コアCPUとは
8コアCPUとは、8個のCPUコアを単一のパッケージにまとめたマルチコアCPUのこと。「オクタコア」あるいは「エイトコア」と読む。なお、マルチコアCPUはコアの数によって呼び名が変わる。
コア数 呼び名
1 シングルコア
2 デュアルコア
3 トリプルコア
4 クアッドコア
6 ヘキサコア
8 オクタコア
10 デカコア
シー‐ピー‐ユー【CPU】
読み方:しーぴーゆー
《central processing unit》コンピューターの中央処理装置。コンピューターの中枢部分に当たり、さまざまなプログラムを実行する。→マイクロプロセッサー
CPU
読み方:シーピーユー
別名:中央処理装置,中央演算装置,中央演算処理装置
CPUとは、コンピュータの中でデータの演算処理を行う装置のことである。中央演算処理装置とも呼ばれる。ノイマン型コンピュータにおける五大要素のひとつに当たる。
ノイマン型コンピュータの五大要素とは「制御装置」「演算装置」「主記憶装置」「入力装置」「出力装置」である。
CPUはコンピュータにおけるあらゆる入力装置からデータを受け取り、演算処理を行い、出力して返す。データは2進数(0と1の数値)で表現される。一度に扱うことのできるデータの単位容量が決まっており、この量と伝送頻度(単位はHz)によってコンピュータの処理性能がほぼ決定される。Intelの8088など、1980年代から1990年代のCPUは8ビット単位で処理されていた。最近では32ビット単位が主流となっており、64ビット単位で処理するCPUも登場し始めている。
最近のコンピュータには、CPUは集積された大規模集積回路(LSI)として搭載されている。CPUを指してマイクロプロセッサと呼ぶことも多い。CPUの設計や製造においては最初期の段階からIntelが市場のリーダーとして君臨している。特にPC向けのCPUは、過去から現在にかけて、Intelのx86シリーズのアーキテクチャが主流となっている。PentiumやCeleronなどの製品がx86の代表的製品といえる。また他方、AMDは、Intelのx86と互換性を持つ互換CPUを市場に投入して勢力を伸ばし、最近ではAthlonシリーズなど独自の展開を見せている。
CPU: | オーバーヘッド オクタコア オクタコアプロセッサ CPU CPUクーラー Cell Broadband Engine Clovertown |
CPU
中央処理装置。コンピューターの頭脳部分で、計算などのデータ処理を行う演算装置と、コンピューターの操作の手順をコントロールする制御装置、および主記憶装置をまとめたものをいう。
炭化プルトニウム
CPU(しーぴーゆー)
コンピュータ用語。“central processing unit”の略で中央処理装置のこと。パチンコ・パチスロの基板に必ず付いており、液晶やランプなどの各パーツに指令を出す。人間で言うと脳にあたる。 |
CPU
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/28 01:44 UTC 版)
CPU(シーピーユー、英: Central Processing Unit)、中央処理装置(ちゅうおうしょりそうち)または中央演算処理装置(ちゅうおうえんざんしょりそうち)は、コンピュータの主要な構成要素で、データの演算やコンピュータ内の装置の制御などを行う装置[1]。コンピュータにおける中心的な処理装置(プロセッサ)[2]。
- 1 CPUとは
- 2 CPUの概要
C.P.U !?
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/12 01:28 UTC 版)
「C.P.U !?」(シー・ピー・ユー !?)は、Cheeky Paradeの2枚目のシングル。2013年4月10日にiDOL Streetから発売された。
- 1 C.P.U !?とは
- 2 C.P.U !?の概要
CPU (SoC)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 19:49 UTC 版)
「Samsung Galaxy S22」の記事における「CPU (SoC)」の解説
S22シリーズは、さまざまなハードウェア仕様の3モデルで構成されている。S22の海外モデルはExynos 2200を、米国、オーストラリア、カナダ、中国、インド、東南アジアのモデルはQualcomm Snapdragon 8 Gen 1を採用している。日本モデルのCPU (SoC)については不明。
※この「CPU (SoC)」の解説は、「Samsung Galaxy S22」の解説の一部です。
「CPU (SoC)」を含む「Samsung Galaxy S22」の記事については、「Samsung Galaxy S22」の概要を参照ください。
「CPU」の例文・使い方・用例・文例
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