米ドル紙幣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 14:56 UTC 版)
基軸通貨として、世界で流通するアメリカ合衆国ドルは、偽札作りの標的にされている。 日本国内にもしばしば持ち込まれ日本円に換金される事件が発生した。当初は偽10ドル紙幣や偽20ドル紙幣が、1968年からは同一番号の偽100ドル紙幣が使われ始め1971年までに20枚ほど見つかっている。1972年には東南アジア系の男が都内の百貨店で20枚の偽100ドル紙幣が使用された。 1980年代末から1990年代後半にかけて頻繁に使われた「スーパーK」など、現行発行の最高紙幣である偽100ドル紙幣が発見されている。またやはり偽100ドル札「スーパーX」は、紙やインクに真券と同一のものが使われ、国によっては真券としてまかり通るほど精巧に作られており、確実な証拠がないことから真偽は不明ながら、この製造には北朝鮮政府が関与しているとする説がある。その説によれば、目的として 精巧に作られた偽100ドル紙幣を大量に製造・流通させることで、米ドルの通貨としての信用を毀損する 米ドルの通貨価値を暴落させる 偽札本来の目的、即ち真券として行使し、物資やサービスの購入に充てる などの狙いがあるものと推測されている。「スーパーZ」という精巧な偽ドル札も登場しており、これも北朝鮮ルートではないかといわれている。さらにはもっと精巧な「スーパーノート」なる偽札が2005年末現在多数流通しているという。 北朝鮮による日本人拉致問題との関連においては、特定失踪者問題調査会が調査した、拉致されたもしくは拉致された疑いが濃い、拉致された可能性がある失踪者が集中している職種に「印刷工」「機械技術者」などがおり、偽札偽造を目的とした技術者の拉致が行われた可能性が指摘されているが、松村テクノロジー社長の松村喜秀は「偽札つくりは高度な忠誠心が必要であり、一人でも裏切り者が出たら(偽札製造は)台無しになる。洗脳でもされていない限り、外国人に偽札づくりを担当させないから、それは有り得ない」と断言している。 1996年、よど号グループの田中義三を含む6名がタイ・パタヤで北朝鮮製偽ドルを使用したとして現地で逮捕起訴され、1999年6月にこのうち2名に対して有罪判決が下された(田中義三は無罪)。 2006年10月25日にアメリカ財務省が発表した報告書は、スーパーノートと言われる偽ドルは「北朝鮮政府の完全な同意と管理の下で」製造され流通された、と判定している。しかし康宗憲・韓国問題研究所代表は以上の「北朝鮮政府の関与」指摘に“アメリカからは主張のみで証拠が一切提示されていない”と異論を唱えている。また2007年1月6日にはフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングが、北朝鮮の現在の技術では絶対に不可能な事を理由に挙げ(自国の紙幣の製造『北朝鮮ウォン』まで外国に発注している有り様だという)、“スーパーノート製造にCIAが関与か”と、また2008年1月にはアメリカの「マクラッチー」紙が“スーパーノートは真券の疑い”と報じた。 2017年10月、東京都の両替商で、偽札の米100ドル紙幣数十枚が見つかった。極めて精巧に偽造されているため、プロフェッショナルの犯行と見られている。
※この「米ドル紙幣」の解説は、「偽札」の解説の一部です。
「米ドル紙幣」を含む「偽札」の記事については、「偽札」の概要を参照ください。
- 米ドル紙幣のページへのリンク