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Petrogenesis of high-Mg volcanics in the Mikabu Belt

2012

みかぶ帯 みかぶ帯の Mg に富む火山岩の 火山岩の成因について 成因について 市山祐司(海洋研究開発機構) ・石渡 明(東北大) ・ 木村純一・仙田量子(海洋研究開発機構) ・宮本 毅(東北大) ! "# $ %!% & & みかぶ帯は主として苦鉄質・超苦鉄質の火山岩・深成岩から構成されるオフィオ ライト・メランジュ帯で,関東山地から四国西部にかけて分布するが、マントルか んらん岩を欠く.みかぶ帯を構成する火山岩はジュラ紀の玄武岩質溶岩やハイアロ クラスタイトを主体とするが,これらの起源としては,中央海嶺,海洋島,海台な どが提唱されてきた.特に磯崎・丸山 '((' )'* は同時代の空知・蝦夷帯とともに 巨大な海台が付加したものと見なした.これとは別に,みかぶ帯の火山岩の特徴と して に富むことが以前より知られており, 例えば ! % '(+, )-* のオフィオ ライトのレビューでは,みかぶ帯の火山岩の & 量が他に比べて高いことを述べ ている." . '(+' )/* や吉田ほか '(01 )1* 及び大貫ほか '(00 ),* は,みかぶ 帯の初生マグマがピクライト質あるいはコマチアイト質であるとした.また,小澤 ほか '((( )2* は,四国東部の に富む“無斑晶”火山岩を分析し,軽希土類元素 ( )に枯渇したパターンが 3 島の白亜紀コマチアイトに類似することを 見出している.このように に富む火山岩はみかぶ帯の起源にとって重要な意味 を持つと考えられるが,その詳細については未だ不明である.本講演では,みかぶ 帯の に富む火山岩の岩石学的,地球化学的特徴を示し,みかぶ帯の に富む 火山岩の成因を考察する. 試料は中部地方(静岡県観音山岩体,富幕山岩体)と関東山地(埼玉県堂平山周 辺)から採取し,ピクライト , 個,ピクライト質玄武岩 , 個,かんらん石玄武岩 個の分析を行った.産状が明瞭な試料はハイアロクラスタイト中の数 '4 . 大のブ ロックであるが,その他は産状が不明瞭であるか,沢の転石である.ピクライトは, かんらん石斑晶(残晶が存在)に著しく富み,斜長石斑晶を一切含まない.かんら ん石斑晶('.. 程度)は自形で,キンクバンド等の変形組織は見られない.針状 や骸晶状の急冷結晶の仮像も存在する. スピネルはかんらん石に包有されるか微 斑晶として含まれる.単斜輝石は骸晶状や燕尾状の斑晶や樹枝状の急冷結晶である. ピクライト質玄武岩は,基本的にはかんらん石(仮像)斑晶量が異なるのみで,ピ クライトと類似した特徴を示す.かんらん石玄武岩には斜長石斑晶が含まれる. ピクライト中のかんらん石斑晶は 5 0+0 (/,." &=4 /- 4 11 67 8であり,マント ルかんらん石と同様 と " に富む組成を示す. & 量は94 -,67 8で,通常のマ ントルかんらん石よりも有意に高い.ピクライト中の スピネルは, : (; <) = >*);4 ,/ 4 2+ で中央海嶺玄武岩( & ?)と同程度かそれよりも高い. 全岩化学組成では & は各元素に対してかんらん石分別線を形成する. >-&/ は,同じ & 量で比較すると未分化な & ? よりも有意に低く,溶け残り相とし てざくろ石を含むことを示唆する.特にピクライトは &=-+ /167 8, >-&/= , 2 2 ,67 8で始生代後期に形成されたコマチアイトに類似する. パターンは, 全体的な傾斜は多様であるが,軽 と重 に枯渇したパターンを示す点で共 通している(図) . の特徴も溶け残りにざくろ石を含むこと示しており,様々 な溶融程度で形成されたことを示す. みかぶ帯のピクライトは最大で 5 (/, のかんらん石斑晶を含み,ピクライトの全 岩組成から見積もられる, このかんらん石と平衡なマグマの & 量は -2 ,67 8で, マントルポテンシャル温度は,約 '2(4℃と推定される.また, @ AB@ -440 )+* のC $ %. 6 D - で計算させたマントルポテンシャル温度も '211 '+40℃とか んらん石斑晶からの見積もりと矛盾はない.この高温のマントルポテンシャル温度 は,始生代コマチアイトから見積もられる温度と同程度で,みかぶ帯の に富む 火山岩は高温のマントルプルームの溶融によって形成された超苦鉄質マグマであ ることを示している.最近, ! . @7 > -4'- )0* は空知・蝦夷帯のジュラ紀ピク ライトが同様に高温のマントルプルームから形成された超苦鉄質マグマであるこ とを明らかにした.みかぶ帯と空知・蝦夷帯はジュラ紀の太平洋において高温のマ ントルプルームから形成された海 台が白亜紀に衝突・付加したものと 考えられ,磯崎・丸山 '((' の巨 大海台説を支持している. 【文献】)'*E 地学雑, '44 2(+ )-*E 3@ > 0/ -1( )/*E 5 ! @ '0 ' )1*E 核理研報告 '+ '0- ),*E 月刊地球 '4 /(0 )2*E 地質学論集 ,- -'+ )+*E 3@ @. 3@ F !% 3@ %!% 0 $ E'4'4-(3 44-4,+ )0*E 3@ > ! 14 図 みかぶ帯の に富む火山岩の パターン. 1''