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車仔麺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
車仔麺の例
並べられている具材

車仔麺(チェーチャイミン、cart Noodles)は、香港の代表的な屋台料理[1]。「香港独特の食文化」とも言われる[2]

概要

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いろいろなスープ、麺、具材を任意に組み合わせて自分好みの1杯を作って食する[1]。50種類の具材を用意する店もある[1]

全ての店で用意してあるわけではないが、どの麺、スープ、具材を選ぶか悩む客のために「お任せメニュー」が用意されていることがある[2]。「大什」は約10種類の具材が入っており、「小什」は約8種類の具材が入る[2]。各具材を1つずつ注文するよりも値段が安くなるため、どの店でも人気がある[1]

歴史と名称

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1960年代に車仔(手押し車、リヤカー)で販売していたことから、名づけられている[2][3]。調味料や塩で味付けしたスープに入れた麺の上に、くず野菜や肉を載せて売ったことが始まりといわれている[2]。この麺r料理は労働者を中心に人気を集め、以降、車仔麺を売る屋台が多く出現するようになって、香港を代表する食文化のひとつとなった[2]。 

香港は移民の街であり、さまざまな地方から人々が集まってきている[2]。それぞれの地方では料理の味付けも異なり、味覚の嗜好も異なる[2]。そういった人々の味覚をそれぞれ満足させるため、麺と具材の種類をそろえて、客自らに選択させるようになったのではないかと推測されている[2]

組み合わせの例

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7種類から8種類の麺を用意している店が多い[2]

以下に例示する[2]

  • 油麺 - かん水が入った中華麺で、麺は太く、丸く、ストレート。
  • 幼麺 - かん水が入った中華麺で、麺は細く、やや縮れている。
  • 粗麺 - 粗引きの小麦粉にかん水を入れた中華麺。麺は平たい。

具材

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潮州料理の鹵味(甘辛いしょうゆ味のたれで肉、野菜、ゆで卵を煮込んだ物)が多い[2]

以下に例示する[2]

  • 牛腩 - 牛ばら肉の醤油煮
  • 鹵水腩肉 - 豚ばら肉の醤油煮
  • 猪腸 - 豚の大腸の醤油煮
  • 鹵水蛋 - ゆで卵のしょうゆ煮
  • 雞‬脚 - ニワトリの脚の醤油ゆ煮
  • 牛脷 - 牛タンの醤油煮
  • 牛柏葉 - 牛の胃袋の醤油煮
  • 牛丸 - 牛肉のミートボール
  • 貢丸 - 豚肉のミートボール
  • 猪扒 - ポークステーキ
  • 炸魚片 - 魚のフライ
  • 魷魚 -イカ
  • 墨魚丸 - イカのつみれ
  • 鮮蝦丸 - エビのつみれ
  • 猪腰 - 豚の腎臓
  • 龍蝦球 - 伊勢エビのつみれ
  • 魚餃 - 魚のすり身のワンタン
  • 炸雲呑 - 揚げワンタン
  • 炸菜肉絲 - ザーサイと細切り豚肉の炒め
  • 雪菜肉砕 - 高菜と豚ひき肉の炒め
  • 雪菜雞絲 - 高菜と細切り鳥肉の炒め
  • 火腿 - 中華ハム
  • 芝士腸 - チーズ入りソーセージ
  • 蟹柳 - カニカマ

スープ

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  • 辣汁 - スパイシーなスープ
  • 鹵水汁 - 甘辛い醤油味
  • 清湯
  • 牛腩汁 - 牛ばら肉を煮込んだスープ

なお、スープを一日中煮込んでいる店が多いため、閉店間際のほうがスープは濃厚になる傾向がある[2]

出典

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  1. ^ a b c d 「太安樓で食べ歩き」『D09 地球の歩き方香港マカオ深セン 2024~2025』地球の歩き方、2023年、245頁。ISBN 978-4059216834 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 香港の庶民の味 車仔麺”. 香港ポスト (2012年10月19日). 2024年11月24日閲覧。
  3. ^ 『現代の香港を知るキーワード888』三修社、2007年、298頁。ISBN 978-4384011982 

外部リンク

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