この2年間、IBM、グーグル、マイクロソフト、インテルなど各社が主催する教育セミナーや個別説明会を通じて、この技術に関する理解を深めてきた。その過程で、量子コンピューティングがヘルスケアや金融、科学研究などあらゆる分野を一変させる可能性を秘めていること、そしてそれが今後のコンピューティング分野でどのような役割を果たし得るかが、より明確になった。ただし、これまで量子コンピューティングが主流になれなかったのは、大規模化によって生じるエラーや実用性の確保といった深刻な課題が立ちはだかっていたためだ。 米国時間12月9日に、グーグルが最新の量子プロセッサ「Willow(ウィロー)」を発表したことは、この分野における大きな飛躍を示している。そのスペックや機能から判断するに、Willowは量子コンピューティングを単なる技術的好奇心の対象から、実用的なツールへと押し上げる可能性を持つブレークスルーだ。