幅広い役柄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 14:19 UTC 版)
「實川延若 (2代目)」の記事における「幅広い役柄」の解説
役の幅は広く、前述の五右衛門のほか、『渡雁恋玉章』(雁のたより)の三二五郎七、『積情雪乳貰』(乳もらい)の狩野四郎五郎、『戀飛脚大和往來・封印切』の忠兵衛、『心中天網島・時雨の炬燵』の治兵衛、『鐘鳴今朝噂』(いろは新助)の新助など父譲りの和事。丸本物では『仮名手本忠臣蔵』(忠臣蔵)の寺岡平右衛門・高師直・早野勘平・大星由良助・戸無瀬・与市兵衛・斧定九郎を演じた記録がある。ほか『夏祭浪花鑑・鳥居前・三婦内・泥場』の團七、『鎌倉三代記・絹川村』の佐々木高綱、『義経千本櫻・大物浦知盛、『同・すしや』の権太、『伽羅先代萩』の仁木弾正、『本朝廿四孝・景勝下駄・勘助住家』の横蔵、『近江源氏先陣館』(盛綱陣屋)の佐々木盛綱、『敵討襤褸錦・大晏寺堤』の春藤次郎右衛門、『神霊矢口渡』の頓兵衛、『彦山権現誓助剣』の毛谷村六助など。世話物では『怪談乳房榎』の菱川重信・正介・三次の三役早変わりをはじめ『謎帯一寸徳兵衛』の大島団七、『樟紀流花見幕張』(慶安太平記)の丸橋忠弥、『青砥稿花彩絵画』の南郷力丸など江戸の生世話物も見事にこなした。さらに女形も得意とし、『西郷と豚姫』の仲居お玉、『伽羅先代萩』の政岡などが当り役だった。口跡に優れ、時代がかった口調から急に世話にくだける間が絶品であった。
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