嫡出の法理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 09:39 UTC 版)
歴史的には、子が社会的にその存在を公認されるためには、婚姻関係にある男女から生まれることが重要な意味を持つとされた(嫡出の法理)。嫡出子とは婚姻関係にある男女間に生まれた子をいい、非嫡出子とは婚姻関係にない男女間に生まれた子をいう 1942年以前の日本の民法(明治民法)は、養子でない子を『嫡出子』、『庶子』(婚姻外で生まれ父が認知した子)、『私生子』(婚姻外で生まれ父の認知を受けない子)の三つに分け、私生子より庶子を優遇し、庶子より嫡出子を優遇していた。この年2月12日の改正で私生子と庶子を併せて「嫡出ニ非サル子」という表現に改めた。現行の条文で嫡出子の語は残るが非嫡出子はなく、「嫡出でない子」と表現される。 これらの区別は法律婚を重んじる趣旨とされるが、親も選べず、生まれの流派も選べない子供の立場を擁護する観点からは厭わしいと見て問題点も指摘されている。歴史的に見ると、西洋では、非嫡出子は"nobody's child"(何人の子にもあらざる子)や"illegitimate child"(庶出の子供、規則違反の子供)と呼ばれてたりしてきたが、近年では子供を尊重する立場から"illegitimate"という語は廃れ、"extramarital"(結婚外)という語が使用されている。 日本では、家制度との関係においては比較的優遇されてきたとされる。しかし、日本でも婚外子は「私生児」として軽蔑され差別されてきた。そして、「私生児」という語が廃れた現在でも、全出生児に対する婚姻外出生児の割合は低い。 現代の欧米諸国では、非嫡出子も嫡出子とほとんど同じ法律上の地位が認められるに至っている。しかし日本においては、現行の日本民法の民法第900条第4号の法定相続分の規定などに差別があるとして議論されてきた。民法900条第4号については、2013年9月4日に最高裁判所がこの規定が違憲であるとの判断を下した。そして、この最高裁決定を受けて、平成25年12月11日法律第94号により民法900条4号は改正されている。
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