伏線
伏線
伏線とは、伏線の意味
伏線とは、物語の解決方法を事前にほのめかしておくことである。英語では伏線を hint と表現する。作り手が劇中に伏線を忍ばせる行為を「伏線を張る」と呼ぶ。なお、目的達成のために準備を進めることを「伏線」と称する場合があるものの、これは勘違いである。伏線とは受け手に気づかれにくいよう結末をほのめかすという意味であり、情報が露骨に明示されているケースは該当しない。伏線回収は、劇中に張り巡らされた伏線を踏まえながら、作り手が謎や問題を解決していく手法のことである。伏線回収は「伏線回収に成功している」などの使い方をすることが多く、おおむね好意的な評価だといえる。小説や戯曲が伏線にこだわる理由は、受け手に驚きと感動を与えるためである。まったく情報を与えられていない状態で物語の解決を見せられても、受け手は感情を揺さぶられない。しかし、伏線があれば、物語のさまざまな場面をつなぎ合わせて、結末に納得することが可能となる。
伏線回収が大きな意味を持つ物語のジャンルとして、ミステリーやサスペンスが挙げられる。これらのジャンルは受け手が物語理解に必要な情報を受け取らなければならない。しかし、作り手が情報をあからまさに与えすぎると受け手に結末を悟られてしまう。いかにさりげなく伏線を張るかは、作り手の技術の見せ所となる。
ふく‐せん【伏線】
伏線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/16 06:02 UTC 版)

伏線(ふくせん)とは、物語や作劇上の技術のひとつで、進行上の将来に起こる(知らされる)重要な内容について、因果関係(線)を伏せて事前に示唆しておく手法である[1]。読者や聴衆の失望を回避するため、あるいは感興を引き起こすために用いられる[2][3]。時には登場人物によるはっきりした予言といった形をとることもある[4]。
ミスリードとなるように企まれた伏線はレッドへリング(燻製ニシンの虚偽)と呼ばれる。また伏線と似た物語上の技術にフラッシュフォワードと呼ばれるものがある。伏線が暗示やほのめかしにとどまるのに対して、フラッシュフォワードは物語上において後で描かれる場面の一部を、読者・観衆に前もって明示的に描出する手法である[5][6]。
米国の文芸評論家ゲイリー・モアソンは、「伏線」(foreshadowing) のアナロジーで、その逆を意味する“sideshadowing”という概念を提示している[7]。これはトルストイやドストエフスキーの長編小説に顕著にみられるもので、物語上で描かれるある場面が、後で振り返ると物語の主筋とは何の関係もなかったことが分かるというものである。モアソンによれば、こうした方法はフィクションの真実らしさの度合いを高めるのに役立つ。なぜなら、読者は現実の生活が小説のように首尾一貫したものではないことを知っているからである。そしてこうした方法によってもたらされる構成欠如の感覚は、読者に現に起こる出来事の意味を問い、解釈させることを促す[8]。
出典
- ^ Mogensen (2009). Along Literary Lines. Gyldendal. p. 55. ISBN 8702056178
- ^ Author's Craft - "Narrative Elements - Foreshadowing" Retrieved 2013-07-18
- ^ Nicola Onyett (30 November 2012). Philip Allan Literature Guide (for A-Level): A Streetcar Named Desire. Hodder Education. p. 50. ISBN 978-1-4441-5376-7 18 July 2013閲覧。
- ^ Philip Martin, The Writer's Guide to Fantasy Literature: From Dragon's Lair to Hero's Quest, p 146, ISBN 0-87116-195-8
- ^ Ulrike Spierling; Nicolas Szilas (3 December 2008). Interactive Storytelling: First Joint International Conference on Interactive Digital Storytelling, ICIDS 2008 Erfurt, Germany, November 26-29, 2008, Proceedings. Springer. p. 156. ISBN 978-3-540-89424-7
- ^ flash-forward - definition of flash-forward by the Free Online Dictionary, Thesaurus and Encyclopedia
- ^ Morson, Gary Saul (Autumn 1998). “Sideshadowing and Tempics”. New Literary History 29 (4): 599-624 .
- ^ Calixto, Joshua (3 August 2015). “LET’S TALK ABOUT ROSA VAR ATTRE, THE IMPOSSIBLE ROMANCE OF THE WITCHER 3”. Kill Screen 3 August 2015閲覧。
関連項目
伏線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/14 03:11 UTC 版)
伏石での小作争議は、小作農民側が1922年(大正11年)夏に日農伏石支部を結成し、小作料を恒久的に30パーセント減額するよう地主に要求して、小作米の70パーセントから80パーセントのみを納入したことに端を発する。 これに対し地主側も団体を結成し減額を拒否するとともに、未納分の小作米の納入を求める訴訟を起こしている。
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