伏線とは? わかりやすく解説

伏線

伏線(ふくせん)とは、物語初期段階提示され後の展開に繋がる情報要素を指す言葉である。これらの情報要素は、物語の結末クライマックス重要な役割を果たすことが多い。伏線は、読者視聴者物語予測し理解を深める手がかりとなる。 伏線には、登場人物台詞や行動、物語背景道具など、さまざまな形提示される例えば、登場人物特定の台詞言ったり、特定の行動をしたりすることで、その後物語の展開予測させることがあるまた、物語背景道具後の展開影響与えることもある。 伏線は、映画ドラマ小説など物語作品だけでなく、漫画アニメゲームなどでもよく用いられる手法である。物語の結末予測する楽しみを提供するだけでなく、物語深層理解するための重要な要素となる。

伏線

読み方:ふくせん

伏線とは、伏線の意味

伏線とは、物語の解決方法事前にほのめかしておくことである。英語では伏線を hint表現する作り手劇中に伏線を忍ばせる行為を「伏線を張る」と呼ぶ。なお、目的達成のために準備進めることを「伏線」と称する場合があるものの、これは勘違いである。伏線とは受け手に気づかれにくいよう結末ほのめかすという意味であり、情報露骨に明示されているケース該当しない

伏線回収は、劇中張り巡らされた伏線を踏まえながら、作り手が謎や問題解決していく手法のことである。伏線回収は「伏線回収成功している」などの使い方をすることが多くおおむね好意的な評価といえる小説戯曲が伏線にこだわる理由は、受け手驚き感動与えるためである。まったく情報与えられていない状態で物語の解決見せられても、受け手感情揺さぶられない。しかし、伏線があれば、物語さまざまな場面をつなぎ合わせて結末納得することが可能となる。

伏線回収大きな意味を持つ物語ジャンルとして、ミステリーサスペンス挙げられる。これらのジャンル受け手物語理解必要な情報受け取なければならない。しかし、作り手情報をあからまさに与えすぎると受け手結末悟られてしまう。いかにさりげなく伏線を張るかは、作り手技術見せ所となる。

ふく‐せん【伏線】

読み方:ふくせん

小説戯曲などで、のちの展開備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくこと。また、その事柄。「主人公行動に—を敷く」

とのことがうまくゆくように、前もってそれとなく用意しておくこと。また、そのもの。「断られたときのために—を張る


伏線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/16 06:02 UTC 版)

ワーグナーニーベルングの指環』より。ラインの乙女英語版たちがジークフリートに与える警告は、のちに起こる「神々の黄昏」への伏線となる(アーサー・ラッカム画)

伏線(ふくせん)とは、物語や作劇上の技術のひとつで、進行上の将来に起こる(知らされる)重要な内容について、因果関係(線)を伏せて事前に示唆しておく手法である[1]。読者や聴衆の失望を回避するため、あるいは感興を引き起こすために用いられる[2][3]。時には登場人物によるはっきりした予言といった形をとることもある[4]

ミスリードとなるように企まれた伏線はレッドへリング(燻製ニシンの虚偽)と呼ばれる。また伏線と似た物語上の技術にフラッシュフォワードと呼ばれるものがある。伏線が暗示やほのめかしにとどまるのに対して、フラッシュフォワードは物語上において後で描かれる場面の一部を、読者・観衆に前もって明示的に描出する手法である[5][6]

米国の文芸評論家ゲイリー・モアソン英語版は、「伏線」(foreshadowing) のアナロジーで、その逆を意味する“sideshadowing”という概念を提示している[7]。これはトルストイドストエフスキーの長編小説に顕著にみられるもので、物語上で描かれるある場面が、後で振り返ると物語の主筋とは何の関係もなかったことが分かるというものである。モアソンによれば、こうした方法はフィクションの真実らしさの度合いを高めるのに役立つ。なぜなら、読者は現実の生活が小説のように首尾一貫したものではないことを知っているからである。そしてこうした方法によってもたらされる構成欠如の感覚は、読者に現に起こる出来事の意味を問い、解釈させることを促す[8]

出典

  1. ^ Mogensen (2009). Along Literary Lines. Gyldendal. p. 55. ISBN 8702056178 
  2. ^ Author's Craft - "Narrative Elements - Foreshadowing" Retrieved 2013-07-18
  3. ^ Nicola Onyett (30 November 2012). Philip Allan Literature Guide (for A-Level): A Streetcar Named Desire. Hodder Education. p. 50. ISBN 978-1-4441-5376-7. https://books.google.co.jp/books?id=JKMGBfzfuAAC&pg=PT50&redir_esc=y&hl=ja 18 July 2013閲覧。 
  4. ^ Philip Martin, The Writer's Guide to Fantasy Literature: From Dragon's Lair to Hero's Quest, p 146, ISBN 0-87116-195-8
  5. ^ Ulrike Spierling; Nicolas Szilas (3 December 2008). Interactive Storytelling: First Joint International Conference on Interactive Digital Storytelling, ICIDS 2008 Erfurt, Germany, November 26-29, 2008, Proceedings. Springer. p. 156. ISBN 978-3-540-89424-7. https://books.google.co.jp/books?id=vIkhA9zuvSUC&pg=PA156&redir_esc=y&hl=ja 
  6. ^ flash-forward - definition of flash-forward by the Free Online Dictionary, Thesaurus and Encyclopedia
  7. ^ Morson, Gary Saul (Autumn 1998). “Sideshadowing and Tempics”. New Literary History 29 (4): 599-624. http://www.jstor.org/stable/20057502. 
  8. ^ Calixto, Joshua (3 August 2015). “LET’S TALK ABOUT ROSA VAR ATTRE, THE IMPOSSIBLE ROMANCE OF THE WITCHER 3”. Kill Screen. http://killscreendaily.com/articles/lets-talk-about-rosa-var-attre-impossible-romance-witcher-3/ 3 August 2015閲覧。 

関連項目


伏線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/14 03:11 UTC 版)

伏石事件」の記事における「伏線」の解説

伏石での小作争議は、小作農民側が1922年大正11年)夏に日農伏石支部結成し小作料恒久的に30パーセント減額するよう地主要求して小作米70パーセントから80パーセントのみを納入したことに端を発する。 これに対し地主側も団体結成し減額拒否するとともに未納分の小作米納入求め訴訟起こしている。

※この「伏線」の解説は、「伏石事件」の解説の一部です。
「伏線」を含む「伏石事件」の記事については、「伏石事件」の概要を参照ください。

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伏線

出典:『Wiktionary』 (2021/08/20 13:19 UTC 版)

名詞

ふくせん

  1. 小説戯曲などで後の展開必要事柄あらかじめ仄めかしておくこと。
  2. 後後進展備えてあらかじめそれとなく用意しておくこと。また、その物

発音(?)

ふ↗くせん

「伏線」の例文・使い方・用例・文例

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