富山で無花粉スギの苗出荷へ 花粉症防止に期待も
富山県が開発した花粉を出さない良質な林業用のスギの苗5千本が今秋、出荷される。全国で初めて種子から大量生産された無花粉スギで、愛称は県の名所、立山を冠した「立山 森の輝き」。国民病とも言われる花粉症を防ぐ決め手になることを期待しながら、関係者は苗の成長を見守っている。
県森林研究所(富山県立山町)によると、無花粉スギは1992年に富山県内で初めて発見。材質が優れ病気にもなりにくいスギ「精英樹」と人工交配し、2009年、双方の特長を併せ持つ優良無花粉スギを種子から大量生産する技術を確立した。
今後は14年に1万本、15、16年はそれぞれ3万本ずつを、県内のスギの伐採跡地に順次植える予定。「森の輝き」を買いたいとの申し出は都市部を中心に多いが、育成に時間がかかるため「供給が追いつかない」(県森林政策課)という。
無花粉スギと花粉が出る精英樹を掛け合わせるため、半分は花粉を出すスギとなってしまい、コストが掛かるのも課題。森林研究所は今後、挿し木で無花粉スギだけを増やせるよう親木を育成したり、材質がさらに優れたものを開発したりして、普及に弾みをつけたい考えだ。〔共同〕