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コミュニティの洞察/2018年報告書

From Meta, a Wikimedia project coordination wiki
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Community Engagement Insights 2018 Report: Support & Safety

この報告書の プレゼンテーションを視聴してください! 動画は英語版です。

アジア交流会に参加したウィキメディアンの皆さん(2018年ウィキマニア)

コミュニティ参加の洞察2018年: 学習補助によってウィキメディア・コミュニティの支持を高める

ウィキメディア財団が掲げた2017–2018年度の3つの戦略分野のひとつがコミュニティです。[1] この戦略分野は「プログラムや体験とリソースの改善と ボランティアの定着率と貢献を高める」ことを目標に据えています。年次計画の立案と承認は昨年度に行われ、以来、財団は目標達成に向けてさまざまなプログラムに取り組んできました。昨年度はコミュニティの健全性の大きな課題で引き続き重要です。リソースの面でWMFはウィキメディアのコミュニティをサポートし提供する目標に取り組み、中でもウィキメディアの新興コミュニティに注目しました。

財団の業務の成果を把握しようとしても、ウィキメディアのように社会と技術両面の運動である場合は容易ではありません。コミュニティ参加洞察は、財団の複数のチームが毎年、年度の目標に基づいて設問を設計するアンケート調査です。このアンケートはウィキメディアのコミュニティ像を描き、またウィキメディア財団の掲げる目標の達成に関わる情報を提示する助けになります。

このページでは2016–17年度に実施した回答者4千人超のアンケート調査の結果を集約し、年度目標に焦点を当てた170問の結果をまとめます。目標は複数のテーマにまたがります。

  • ウィキメディアのコミュニティにおける多様性とは
  • 健全度においてウィキメディアのコミュニティの現状は? その関連で、ウィキメディアのコミュニティは多様性を受け入れているでしょうか?
  • ウィキメディアのコミュニティを支えるWMFのプログラムには、どんな成果や紹介したいエピソードがありますか?

アンケート調査の実施の詳細は、調査の設計を扱ったsurvey designのページをご参照ください(英語)。

ウィキメディアのコミュニティにおける多様性の進捗

ウィキメディアのプロジェクト群には引き続き、多様な貢献者が集まっています。

  • 性別に関しては2017年から2018年にわたり、ウィキメディアの貢献者の統計上、特筆べき変化は見られませんでした。 新興のコミュニティでは、性別の多様性が狭まった点に気づきましたが、果たしてそれが標本取得戦略の変更に起因するものかどうか、確定に至っていません。昨年、母語による編集活動に加えて英語版ウィキペディアでも編集に参加するという特定の貢献者グループを対象に標本データを取りました。今年の統計ではそのグループを対象から除外したことにより、標本の見え方が変わったのではないかと考えられます。もしそうであれば、どんな影響が出たか検証が必要です。
  • 貢献者の年齢標準は35歳から44歳で、2017年時点より微増しています。 年齢の指標として中央値がよく使われるところ、平均値の増加が目に付きます。年列別に7分類し、その平均値は 3.97 (2017年) から 4.0 (2018年) に増加、45歳–54歳群で最も緊密でした。 [2]
  • 貢献者は圧倒的にグローバルな北の出身(81%)。 新興国の貢献者が減少したことと、統計戦略の変更が重なりました。そのため地域間の割合の変化が見られたと推察しますが、正確なところは次回、2019年4月のアンケート実施まで不明です。
  • 貢献者のうち、大学進学以上の学歴がある人の割合は高いです。 貢献者の85%はpost-secondary education訳注:高等教育)を修了しています。 CE(コミュニティ参加)洞察で教育程度を査定したのは本年度が初めてであり、例年と比較した推移はわかりません。

コミュニティの観衆層と多様性

  • ジェンダーについて。 2017年データを検証すると、プログラム主催者も提携団体主催者も、ウィキメディアの貢献者やボランティア開発者の場合と比較して、女性の貢献者率が増えたと報告しています。 主催者においては、プログラム主催者の36%、提携団体主催者の26%が女性と報告されました。ボランティア開発者のうち女性は12%とされています。 去年と対照すると、今年の標本群ではプログラム主催者で10%増、提携団体では2%減と見られます。
  • 年齢: 観衆全体の平均年齢は変わらず35-44歳でした。 アジア・インド系諸語のウィキペディア[3] 、中東ならびにアフリカのウィキペディア,[4] 、さらにボランティア開発者は平均年齢が低めでした。これら集団の平均年齢は25-34歳です。. これら3つの観衆の回答者は、35歳未満がその70%以上を占めました。 英語版ならびに西ヨーロッパ諸語のウィキペディアでは[5] 平均年齢は高めです。しかしながら編集者では、英語版ウィキペディアの53%、西ヨーロッパ諸語のウィキペディア群の46%は35歳未満と自己申告しています。
  • 教育程度: 各コミュニティの観衆は、平均学歴が大学1年次終了でした。プログラム主催者ならびにウィキメディア提携組織の平均学歴はそれをやや上回り、およそ9割が大学1年次以上と自己申告しています。 中東とアフリカ地域のボランティア開発者と編集者[4] ならびにアジア・インド諸語ウィキペディア群[3] では他の集団より学歴が短いと申告しています。 どちらも大学1年次もしくはそれ以上の学歴を申告した人は7割未満でした。これら3集団は年齢順で最も若く、それが最終学歴に反映しているとも推察されます。
  • 地理的分布。 この標本戦略を層別化、つまり特定のプロジェクトの特定の言語版をターゲットにしてあります。地理的に見ると、標本の決め方が大きく影響しています。 前年同様、提携団体やプログラム主催者ならびに開発者に見る地理的な分布は、編集者よりも多岐にわたりました。[6]

ウィキメディアコミュニティの健全性の現状。これを語るとき、ウィキメディアのコミュニティ群は取りこぼしがないかどうか。

協働作業や関与の方策において、コミュニティの参加者自身の自認や他者への認識は最低でした。

  • 「自認ならびに他者への配慮」はその後も低いまま. 「自認ならびに他者への配慮」に関する声明とは、貢献者が他者の感情面の認識をどう受けとめるかを含みます(例:「ウィキメディアの貢献者のほとんどは意見の偏りや行動の癖を理解している」) 回答者にはそれぞれの声明に対し、賛否両論あります。この設問への平均的な回答は 3.05 であり、協働作業や関与に関わるその他の方法と比べると有意に低い値でした。プログラム主催者を見ると、自認ならびに他者への配慮は5段階評価の.21. から3.05 と、45% 増加。
  • 協働作業と関与全般では、2017年と比較した変化は最小と読み取れます。 コミュニティの健全性において、これらの方法に関するさまざまな設問を見ると、変化は3-5%であり、わずかな差と読み取れます。
  • 観衆全体(2017年-2018年)を見ると、最も低減したのはウィキメディア財団の主導力です。 この調査項目の説明の文言はごくわずかに変更してあります。文言を変更した構成要素同士を比較すると、変更率はやや高めでした。回答全般を2017年と2018年でひかくすると、5.5% の減少が見られます。 ウィキメディア提携団体の場合は、2017年から2018年の期間に財団の主導力に対する認識は18%低下しました。一部の提携団体主催者は調査開始と同時に行われたウィキメディア・カンファレンスに参加したと考えられ、そのことが結果に影響した可能性はあります。
  • 開発者の間では、協働作業ならびに関与の分野全体で2017年と比較し平均 20% 増加しています。 この変化には、さらなる精査が必要です。
  • オランダ語ウィキペディアの貢献者は「協働作業と関与」ならびに「多様性と包含性」の構成要素の両方において、数回にわたり他の複数のウィキメディア・プロジェクトより低い割合を示しました。 オランダ語版ウィキペディアは協働作業の意欲、自認や他者への意識、フィードバックと認識、個人として多様性に取り組む率、取りこぼしのない(包括的)相互作用の測定において、数値が低く出ました。これらはいずれも統計学的に有意な差異を示します。

多様性と包含性の測定は結果がまちまちでしたが、プログラム主催者と提携組織は多様性について示す態度はより強まりました。

  • 多様性に関する各個人の対応、差別の発生率は肯定的な結果でした。 多様性に関して、各個人の対応は評点の中でも最高に含まれ、差別の発生率は一概に低かったです。
  • コミュニティが多様性を重んじるという点において、改善の余地が見られます。 「多様性の価値に対する態度」には0から4の評点で、平均 1.5 の反応がありました (この設問は他とは方式が異なります。) プログラムならびに提携団体の主催者を編集者と比較した場合、それぞれのコミュニティは多様性により重きを置いていると認識しており、0-4 段階でおよそ 2.5 を示します。
  • 帰属意識、ウィキメディアのコミュニティが取りこぼしのない文化を備えているかどうかに関する声明は、多様性および包括性の方法に関する設問中、最下位とその上に該当します。 これらの構成要素のスコアはそれぞれ3.59および3.57を示しました。包括的な文化の測定調査に対し、統計的に有意な平均回答率は女性のほうが男性より8%低率です。同様の性別差異は、開発者と活動の少ない編集者に見られました。
  • ウィキメディアのプロジェクト群に参加する編集者の回答のうち、開発者、提携団体主催者およびプログラム主催者と比較すると、差別の頻度は統計上、有意に低率です。 ここに見る差異の原因は不明であり、さらに精査が必要です。

嫌がらせの被害は2017年から減ることはなく、増加傾向は堅調です。

  • ウィキメディアの観衆に共通し、オンラインもしくはオフラインの空間で、過去12ヵ月の体験を尋ねたところ、安全ではない、あるいは快適ではない思いをしたという回答は平均22%です。 2017年に同じ質問をした時は、12ヵ月という期限を設けませんでした。そのため一律に比較はできず嫌がらせが減ったとは言えませんが、悪化はしていないという確信は、ある程度あります。
  • ウィキメディア プロジェクトの貢献者で安全ではないと感じたことがある人は、その 71% がこの12ヵ月間にウィキペディアでいじめや嫌がらせを受けたと申告しています。ウィキペディアは全プロジェクト中、発生件数が最大です。2017年以降、どのプロジェクトでもいじめや嫌がらせの発生件数にわずかな変化しかありません。 ウィキペディアより下位のプロジェクトでは、嫌がらせ事案は急激に減少しています。いじめや嫌がらせの件数が2番目に多いウィキメディア・コモンズで、被害を受けたという報告は 21%、3位は Meta-Wiki で被害報告は 15% でした。
  • プロジェクト群に参加するウィキメディアンで平均 54% は「ウィキペディアで自分の意見を自由に表明しても攻撃されない」と答え、男性より女性のほうがこの項目への賛成率が統計的に有意な低さを示します。 女性参加者の平均回答は2.66(「同意しない」と「どちらでもない」の間)であり、平均3.43を報告した男性(同左)を大幅に下回りました。

ウィキメディアのコミュニティを支えるWMFのプログラムについて、どんな成果やエピソードを紹介したいですか?

ウィキメディア財団の担当チームはそれぞれのプログラムおよび目標に合わせた設問を出しました。自分たちが提供する支援策をコミュニティが知っているかどうか関心を示したチームがある一方で、その他の人々は自分たちが支援する対象からどんな成果があったか聞けると期待したと考えられます。チームごとに特筆すべき点は、以下にいくつかご紹介します。

AE = Low-activity editors, VAE = High-activity editors, DEV = Volunteer developers, PL = Program organizers, AFF = Affiliate organizers

コミュニケーション部門:多くの寄稿者は財団の業務を知りたい人向けのチャンネルをまったく使わないこと、女性は男性よりも特定のチャンネルを利用しているらしいことが認識されます。

ウィキメディア編集者の44.8%は、なにかのチャンネルを使ってウィキメディア財団の機能やサービスを調べたことはないと報告しています。 一覧にしたチャンネル群れのどれかを利用したことがあるという回答者は、ウィキメディアのプロジェクト群を最も支持しています。財団の更新情報を調べるには、より幅広いチャンネルを当てると回答したのがウィキメディア提携団体です。 ウィキメディア・プロジェクト群に加え、他のカテゴリとの比較で利用頻度が高いのはブログや域内のカンファレンス、SNSだと報告しました。同じチャンネルを利用するのでも、女性は男性と異なる方法を使っているようです。財団発の更新情報を知る手段として、男性の68%と女性の80%が1つ以上のチャンネルを利用すると答えています。 ウィキメディアのプロジェクトページ利用率は、男性の方が高いです。女性編集者がよく利用するチャンネルはメーリングリスト、SNS、ウィキメディア財団ブログならびにカンファレンスをあげています。

コミュニティ・プログラム担当:ウィキメディア・コモンズの利用者は、メディアファイルの解説サポートをもっと多言語で利用したい、新しい・もしくは想定外のメディアファイルをもっと簡単に探したいと希望

編集者の活動量が多くても少なくても、ウィキメディア・コモンズに希望する機能では、メディアファイルの説明文書のサポートをもっと多言語化してほしい、その他のウィキメディア・プロジェクト群の解説に新しい・もしくは想定外のメディアを載せたいがもっと簡単に探したいという希望が最も多く選ばれました(PR30)。 どちらもその時点でおよそ25%が票を集めました。その他の意見として、マルチメディアファイルの編集のコツ、ウィキメディアのプロジェクト群など他のプロジェクトとうまく協働する方法、外部のウェブサイトからメディアを導入して掲載する手法の改善などが提示されました。

コミュニティ・リソース担当:参加イベントがローカルでも域内であっても、イベントでは学習と技術習熟において大きな成果を得ることができ、グローバルなど大掛かりなカンファレンスより上回る。ただし最新情報に出会う場としてはウィキマニアが突出するといいます。

ウィキメディアのカンファレンス参加者にとって、もっとも重要な成果は何か尋ねました。あるいはまた、特定の成果を得るには特定のイベントが適していると示しています。

ウィキメディアのカンファレンスに対する参加者の回答
  • 新規プロジェクトや発想源を得るには、ウィキマニアが最適: カンファレンスはどの回も、参加者の多くから新しいプロジェクトあるいは発想源の発見を最も期待する成果だと答え、わけてもウィキマニアでそれが顕著でした。
  • どんな種類のイベントでも作業を完了する: イベントの種別に共通して、参加者のうち、カンファレンス出席によりプロジェクトを開始もしくは改善できたと答えた人は高率だと示されています。
  • ウィキメディア・カンファレンス、全国もしはローカルレベルのカンファレンスで、衝突を解決 毎年恒例のウィキメディア・カンファレンスその他の国単位もしくはローカルのカンファレンスでは、この種の活動がより多く報告されると示唆されます。
  • テーマ別、全国もしくはローカルレベルのカンファレンスで得られる学び: Participants who attended thematic events had a higher proportion who selected learning or improving a new skill as the most important result, which was followed by national or local conferences and regional events.
  • 承認されている感覚はカンファレンス参加時にはあまり感じません。 それぞれの成果に通底し、承認もしくは感謝されているという感覚は最も低いと見えます。

学習と評価担当:プログラム主催者および提携団体主催者は、評価能力を向上させる傾向が続いている

LE07 & LE08: 毎年恒例の評価能力の計測
LE08: 評価活動の計測

全般的に主催者の側で評価に取り組む準備は2017年時点 (LE07) よりも高まっています。 2014年から2016年の期間、評価パルス調査の対象はプログラム主催者のうち、既にさまざまなプログラム参加を介して財団と面識があるところにに限定されていました。CE (コミュニティ関与) の洞察においては観衆が広がり、財団の能力開発プログラムの参加経験の有無は不明ですがプログラム主催者が増えました。2014年から2016年にわたり、プログラム経営および評価能力の自己申告は増加しています(図の緑の棒)。観衆の変化を受け、2017年から2018年は増加しました(図の青の棒)。

調査結果よりチームの能力開発はオンラインのリソースやツールを介しており、互いにテコ入れし合うネットワークを含めて計画通り進んでいると示されています。 データが示唆する内容は、プログラムとイベントのダッシュボードの利用率が増加したこと、主催者が個人対象の研修で技能を向上させたこと、プログラム主査者はおおむね、知人友人もしくはメタウィキで支援を求めることです。このデータは担当チームが行ったウィキメディア・リソースセンター (Wikimedia Resource Center) やカンファレンス会場での研修ワークショップ、さらにオンラインの学習用リソースの監修の成果と一致します。

法務部門:存命人物の伝記記事ならびに有償の編集に関して、コミュニティによって考え方が異なると見ています。

Attitudes towards Biographies of Living Persons
Opinions about Foundation support to policies

コミュニティ参加者の標本を見ると、財団は「ウィキペディアにおける有償編集の低減にもっと手を打つべき」かどうか、意見が割れていると示唆されます。" この編集者の標本群184人のうち、声明に賛成は52%、「どちらでもない」32%、反対16%でした。編集者の活動レベルの差異による顕著な差異はありません。

このアンケートに参加したウィキペディア編集者を見ると、参加者の居住国で私的情報と規定される場合にウィキペディアからその人の個人情報を除去すべきかどうか、回答が割れています。 場合によっては、ウィキペディアの存命人物の記事において、記載は合法とされる人物でも、当該人物の居住国では非掲載にすべき個人情報と理解されます。 こういう状況で個人情報を除去すべきかどうか、その対処についてウィキペディア編集者から質問が寄せられました。その結果もまた割れています。編集者はおよそ3分の1ずつに割れ、つまり「賛成」「反対」「中立」の回答がほぼ同数でした。

提携関係およびグローバルなリーチ担当:提携関係の支援を知っているかどうか、新興コミュニティに着目。

提携関係チームが提供するサービスの認知度

提携団体主催者の大部分 (61%) は、提携関係とグローバルリーチ部門 Partnerships and Global Reach を事前に知りませんでした。 提携団体主催者の 74% は提携団体設立において、グローバルリーチと提携関係部門から支援を受けられるとは、事前に知らなかったと言います。

提携関係とグローバルリーチチームに対する認知度において、新興のコミュニティは、グローバルな北の国々の主催者 (41%) と比較すると高く (59%)、回答しました。主催者全員を対象に、同チームが提携関係の補佐をすると知っているかどうか尋ねました。 主催者でこの支援リソースについて知っていたのは 26% 止まりでした。新興コミュニティでは、既知だという答え (41%) が知らないという答え (19%) を上回りました 。

技術関与チーム:貢献者はウィキに導入されたソフトウェアの新機能についてフィードバックをよく書き、その分野では技術的な情報の入手先として「技術ニュース」が好感されています

財団のソフトウェア開発について、更新情報と新情報の入手先として「技術ニュース」が好まれています。

ウィキメディア財団ソフトウェア開発の更新情報とニュース配信について、編集者は技術ニュースを高く支持しています。活動量が多い編集者にとってウィキメディアのコミュニティページは、たとえば「井戸端」(village pumps) あるいはニュースサイト Signpost 、別名 Kurier (ドイツ語版) を選ぶ率が高いです。ウィキメディアのメーリングリスト、財団の製品は、活動量が多い編集者が好むサイトの第3群に該当するとみられます。 活動量が低い編集者やSNSでは、技術ニュースに次いで財団公式ブログとコミュニティページの閲覧が上位でした。CE洞察アンケートを精査したところ、2017年分と2018年分で特記すべき変化はありません。

結論と次のステップ

  • 運動には多様性の面で、さらに特定の要素については協働作業と活動への関与、あるいは多様性と包括性の2面で改善の余地があると認められ、2030年活動戦略の重点に含まれる知識の公平性を達成するには欠かすことができません。戦略の方向性として、世界にとってフリーな知識の重要な基盤となることに重きを置いています。さらに方向性には経路がふたつあり、そのひとつが知識の公平性です。この方向性の実現には「人々が自由な知識にアクセスして貢献することを妨げる社会や政治、技術の障壁を打破するために」私たちの取り組みがうまく進んでいるかどうか顧みることが求められます[7]。この目標達成には、コミュニティがすべての人を歓迎し多様で包括的であることが不可欠です。自分や他者に対する意識、コミュニティの一員であるという帰属意識、多様性を重視する態度の改善が、この目的を達成する道です。
  • ウィキメディア財団では11班を割り当てて、班ごとにデータ利用の詳細を設定しようとしています。すでに報告ページで次の手順を発表したチームもあります。現状では分析結果を各班で精査し、どのような用途に応用するか検討を続けています。それぞれの報告書で各班はもっとも有効な発見に合わせて分析結果をどんな用途に使えるか、見込みを載せます。
  • 調査の体験を改善し続ける目標は、返答率と全問回答率の向上です。今年の投稿者の返答率は向上したものの、利用者経験を高めるにはまだまだ工夫が必要です。利用者テストとともにアンケートの設問量を減らす努力をして、投稿者の経験を高めようとしています。このアンケート結果は、コミュニティ関与部門の戦略における要素計測に応用されます。

注記

  1. 財団の2017–2018年年次計画を参照
  2. 貢献者の統計には年齢の要素を加算済み。
  3. a b この集団とは日本語と中国語に加え、その他全てのアジア・インド地域のサンプル群を含む。
  4. a b この集団にはアラビア語とその他の中東地域とアフリカ地域の諸語のサンプル群を含む。
  5. この集団にはイタリア、フランス、オランダその他の西ヨーロッパ諸語を含む。ただしスペイン語とポルトガル語は除外、これらコミュニティは中南米とヨーロッパに分割されるため。
  6. この設問に対応するデータは、いくつもの領域に細分化されてしまうことを配慮し、重みをかけてありません。
  7. サービスと公平性