六酸化炭素
六酸化炭素 | |
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pentaoxan-6-one | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 1009636-22-9 |
PubChem | 18694685 |
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特性 | |
化学式 | CO6 |
モル質量 | 108.01 g mol−1 |
関連する物質 | |
関連物質 | 五酸化炭素 四酸化炭素 六硫化炭素 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
六酸化炭素(ろくさんかたんそ、Carbon hexoxide)は、酸素の含有量の非常に高いオキソカーボンである[1]。この分子は超低温で合成され、超低温で研究されている。大気化学の分野や、外太陽系や星間空間の冷たい氷の研究において、重要である[2]。外太陽系の惑星の衛星であるガニメデやトリトンに存在しうる。この分子は、5つの酸素原子と1つの炭素原子からなる六員環で構成され、環内の炭素原子に1つの酸素原子が二重結合で結合している[1]。
形
[編集]観察される分子はCS対称性を持つ。環は平面六角形ではなく、辺の長さや角の大きさが各々若干異なり、歪んだ形をしている。炭素-酸素結合から環を一周すると各々の分子間の長さは、以下のとおりとなる。C-O:1.362A、O-O:1.491A、O-O:1.391A、O-O:1.391A、O-O:1.491A、O-C:1.362A。結合の間の角の大きさは、以下のとおりとなる。O-C-O:120.4°、C-O-O:115.7°、O-O-O:105.9°、逆側のO-O-O:104.1°。二重結合の長さは1.185Aで、単結合からの角度は119.6°である[1]。
形成
[編集]実験では、真空中で固体二酸化炭素に5000Vのエネルギーの電子を照射することにより形成される。この反応は、二酸化炭素から酸素原子を引きはがすことで進行する。
酸素原子は、二酸化炭素と反応して三酸化炭素を形成し、同様の反応が続いて四酸化炭素、五酸化炭素が生じ、最終的に発熱反応で[2]六酸化炭素が生成する[1]。
性質
[編集]60Kまで安定である[1]。振動赤外線波数は、最も顕著なものがν1 = 1876-1で、最も一般的なアイソトポログは、12C16O6である[1]。
他の異性体
[編集]六酸化炭素の他の異性体としては、C2型の五員環及び三員環と、D2d型の2つの四員環である。D2dO3CO3異性体は、C-O長が1.391A、O-O長が1.469A、O-C-O角が94.1°と計算されるが、これら2つの異性体は観察されていない[2]。
等価な六硫化炭素は、不活性ガスマトリックスの研究から知られている。六酸化物と同じ原子配置で、C2対称性を持つ[3]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f Jamieson, Corey S.; Alexander M. Mebel; Ralf I. Kaiser (2008). “First detection of the Cs symmetric isomer of carbon hexaoxide (CO6) at 10 K”. Chemical Physics Letters 450 (4–6): 312–317. Bibcode: 2008CPL...450..312J. doi:10.1016/j.cplett.2007.11.052. ISSN 0009-2614.
- ^ a b c d Kaiser, Ralf I.; Alexander M. Mebel (2008). “On the formation of higher carbon oxides in extreme environments”. Chemical Physics Letters 465 (1–3): 1–9. Bibcode: 2008CPL...465....1K. doi:10.1016/j.cplett.2008.07.076. ISSN 0009-2614.
- ^ Maity, Surajit; Kim, Y.S.; Kaiser, Ralf I.; Lin, Hong Mao; Sun, Bian Jian; Chang, A.H.H. (July 2013). “On the detection of higher order carbon sulfides (CSx; x = 4–6) in low temperature carbon disulfide ices”. Chemical Physics Letters 577: 42–47. Bibcode: 2013CPL...577...42M. doi:10.1016/j.cplett.2013.05.039.