ツワブキ属
表示
ツワブキ属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Farfugium Lindl.[1][2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ツワブキ属(石蕗属)[3] | ||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
|
ツワブキ属(ツワブキぞく、学名:Farfugium、和名漢字表記:石蕗属)は、キク科キク亜科の属の1つ[1][3]。
特徴
[編集]常緑の多年草。根出葉は花時にも生存し、ロゼット状になる。根出葉は花がつぼみ時には葉身が内局して密に軟毛が生える。成長すれば、葉の表面は毛が無くなり、独特の光沢があり、裏面には軟毛があり灰白色になる。葉柄は長く、基部は茎を完全に取り巻いて葉鞘になる。茎につく葉は小さく苞状になる。頭花は散房花序につき、花は黄色、頭花の周囲には雌性の舌状花が1列に並び、中央には両性の筒状花が多数つき、いずれも稔性があり、果実をつくる。葯の下部は2裂し、裂片は線形になる。花柱分枝の先端は円頭になり、短毛がある。総苞は筒形で、総苞片は1列で12個内外あり、総苞基部に小型の苞がつく。果実は円柱形の痩果で密毛がある。冠毛は汚褐色または雪白色をし、不等長になる[1]。
分布
[編集]本州、四国、九州、琉球諸島、台湾、朝鮮半島南部、中国大陸(南部および中部)に2種が分布する。東アジアに固有な植物群である[1]。
種
[編集]- ツワブキ Farfugium japonicum (L.) Kitam.[4] - 葉は厚く、濃緑色で光沢があり、葉身は腎心形で縁は全縁か不ぞろいな微鋸歯がある。高さ30-80cmになる。花期は10-12月。海岸の岩礫地や崖に生育する。本州(太平洋側では福島県以南、日本海側では石川県以南)、四国、九州、琉球諸島、朝鮮半島南部、台湾、中国大陸(南部および中部)に分布する[1]。
- オオツワブキ(別名、オオバノツワブキ) Farfugium japonicum (L.) Kitam. var. giganteum (Siebold et Zucc.) Kitam.[5] - 全体が大型の変種。高さは1mになる。花期は12-1月。長崎県男女群島の海岸の岩礫地に生育する[1]。
- リュウキュウツワブキ(別名、クニガミツワブキ)[1] Farfugium japonicum (L.) Kitam. var. luchuense (Masam.) Kitam.[6] - 葉身は扇形から腎形、掌状に分裂して裂片が欠刻状になるか縁が浅裂する。花期は11-2月。奄美大島、沖縄島、西表島、石垣島に分布し、渓流沿いに生育する渓流植物[1]。準絶滅危惧(NT)(2017年、環境省)。
- タイワンツワブキ Farfugium japonicum (L.) Kitam. var. formosanum (Hayata) Kitam.[7] - 台灣山菊(中国語)参照。
- カンツワブキ Farfugium hiberniflorum (Makino) Kitam.[8] - 葉は薄く、葉身は卵状心形で縁は粗い重鋸歯がある。高さ25-42cmになる。花期は9-12月。屋久島、種子島に分布し、暖帯林の林下に生育する[1]。
この他、ツワブキとカンツワブキの雑種と推定されるヤクシマツワブキ(別名、ヤクシマカンツワブキ)が知られている。屋久島と種子島に分布する[1]。
名前の由来
[編集]属名 Farfugium は、ラテン語でユーラシア原産の帰化種であるキク科フキタンポポ Tussilago farfara の古名からきている。そのもとは、 farius(列) + fugus(駆除) から[9][10]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j 『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.297-298
- ^ Farfugium Lindl., Tropicos
- ^ a b 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』p.65
- ^ ツワブキ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ オオツワブキ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ リュウキュウツワブキ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ タイワンツワブキ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ カンツワブキ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ 『新牧野日本植物圖鑑』p.791, p.1293
- ^ 『日本の帰化植物』pp.210-211
参考文献
[編集]- 林弥栄・平野隆久『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』、1989年、山と溪谷社
- 清水建美編『日本の帰化植物』、2003年、平凡社
- 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- Tropicos
- 日本のレッドデータ検索システム