コスタコーヒー
現地語社名 | Costa Limited |
---|---|
種類 | 子会社 |
業種 | カフェ |
設立 |
1971年 イギリス ロンドン |
創業者 |
ブルーノ・コスタ セルジオ・コスタ |
本社 | イギリス ダンスタブル |
拠点数 | 3,883(2018年) |
事業地域 | 世界中 |
主要人物 | ジル・マクドナルド (CEO) |
製品 | コーヒー、紅茶、サンドウィッチ、ケーキ |
売上高 | 11億6800万英ポンド[1] (2016年) |
利益 | 1億5300万英ポンド[1] (2016年) |
従業員数 | 19,000 |
親会社 | ザ コカ・コーラ カンパニー(2019年 - ) |
ウェブサイト |
www |
コスタコーヒー(英語: Costa Coffee)は、コカ・コーラ社の子会社である。
イギリスのカフェチェーン店である。本社はイングランドのダンスタブルに所在する。
コスタコーヒーは、業者やイタリアン・カフェに焙煎したコーヒーを供給する卸売業者として、ブルーノ・コスタとセルジオ・コスタの兄弟によって、1971年にロンドンで設立された。1995年にウィットブレッドが買収したが、2019年には39億英ポンドでコカ・コーラ社に売却された。31か国で3,401店舗、18,412人の従業員を擁する企業に成長しており、イギリス国内で2,121の店舗と6,000台を超えるコスタ・エクスプレスの自動販売機、さらに海外で1,280の店舗(うち中国で460店舗)を有する[1][2]。
コカ・コーラ社は、コスタをその親会社であったウィットブレッドから51億米ドルで買収する計画を発表した。2019年1月3日に合意された買収により、コカ・コーラ社は、ヨーロッパ、アジア太平洋地域、中東、アフリカに広がる強力なコーヒーの基盤を得ることとなった[3]。コスタコーヒーは、カフェチェーン店として世界第2位、イギリスでは最大の規模を誇る[4][5]。
歴史
[編集]ブルーノとセルジオのコスタ兄弟は、1971年にロンドンのランベスでコーヒーの焙煎所を開業し、地元業者に供給を開始した。コスタ一家は、それに先立つ1960年代に、イタリアのパルマに移住していた[6][7]。1978年にはコーヒーの販売に進出し、ロンドンのヴォクソール・ブリッジ・ロードに最初の店舗を開業した。
1985年、セルジオがブルーノが持っていたコスタの株を買い取り、ブルーノは、食器会社の設立に軸足を移した[8]。1995年までに、コスタはイギリス国内に41店舗を構え[9]、また、イギリス最大のホテルとコーヒー店事業を営むウィットブレッドの完全子会社となった。2009年、カーディフに1,000番目となる店舗を開業。2009年12月、コスタはポーランドのチェーン店コーヒーヘブンを3600万英ポンドで買収することで合意し、中東欧の79店舗がチェーンに加わった[10]。
2018年、ウィットブレッドは、株主であったエリオット・アドヴァイザーズおよびセイチェム・ヘッドから、コスタとウィットブレッドの各事業を個別に運営した方がはるかに価値が上がるとして、コスタを売却するか分離するよう圧力をかけられていた[11]。2018年4月25日、ウィットブレッドは、2年以内にコスタを完全に分離する方針を示した[12]。その後、コカ・コーラによるコスタの買収が発表された[5]。2019年1月3日、コカ・コーラ社は、ウィットブレッドから49億米ドルでコスタコーヒーの買収を完了した[13]。
2019年11月20日、ドミニク・ポールがCEOを退き、ジル・マクドナルドが後任となることが発表された[14]。
日本
[編集]2020年7月1日、日本初出店となるポップアップ・ストアを銀座ロフト1階にオープンした[15]。
2021年4月5日、日本コカ・コーラは、コスタコーヒーブランドのペットボトル入りコーヒー飲料を同月26日より全国で発売することを発表した(コンビニなどの一部流通では同月12日より先行発売)。日本コカ・コーラはコーヒー飲料の主力ブランドとして「ジョージア」を展開しているが、コスタコーヒーはジョージアとは別枠のプレミアムブランドとして展開される[16][17]。
2023年3月16日、双日とロイヤルホールディングスの合弁会社「双日ロイヤルカフェ」は東京都内で本ブランドの実店舗を出店することを発表[18]。同年8月4日、渋谷区内に1号店がオープンした[19][20]。
商品
[編集]- ホットドリンク:コーヒー、紅茶、ホットチョコレート
- コールドドリンク:フロスティーノ、フルーツクーラー等
- 軽食:サンドウィッチ、朝食用商品等
- ケーキ・ペストリー:クッキー、ブラウニー、クロワッサン等
- 再利用可能カップ:限定版プライドカップ等[21]
2017年5月、3800万英ポンドを投資して、焙煎所をランベスからエセックスのバジルドンに移転し、1年間に焙煎できるコーヒー豆の量を11,000トンから45,000トンへと増強した[22]。
コスタコーヒーは、コーヒー・テイスターとしてジェンナロ・ペリシアを雇っている。ジェンナロの舌には、2009年のロイズ・オブ・ロンドンにおいて、1000万英ポンドの保険がかけられている[23][24]。
事業
[編集]店舗
[編集]コスタコーヒーは、2019年10月現在、イギリス国内に2,467店舗を有する。イギリス国外では、32か国に1,413の店舗がある[1]。イギリス国外の最初の店舗は、1999年にアラブ首長国連邦に開業した店舗であり[25]、2017年9月には、世界で初めて、ドバイのビーチで日光浴をする客にドローンを利用してコーヒーを配達するサービスを開始した[26]。
コスタ・エクスプレス
[編集]ウィットブレッドは、コーヒーの自動販売機事業を展開していたコーヒー・ネイションを5950万英ポンドで取得した後、自動販売機のブランド名をコスタ・エクスプレスとした[27]。病院、大学、乗換駅等への設置拡大を計画している[28]。デンマークでは、シェルのガソリンスタンドにコスタ・エクスプレスが設置されている。以前はカナダでもシェル・カナダの店舗に設置されていたが、既に撤去されている[29]。イギリスでは、ガソリンスタンドに付属するコンビニエンスストアのうち、食品チェーン店のスパーが運営する店舗のほとんどに、コスタ・エクスプレスの自動販売機が設置されている[30]。
世界展開
[編集]2018年9月[update]、コスタコーヒーは3大陸の32か国に、合計3,882の店舗を有する[31]。
現在国 | 店舗数 |
---|---|
イギリス(ヨーロッパ1位) | 2,467 |
ポーランド(ヨーロッパ2位) | 147 |
アイルランド(ヨーロッパ3位) | 114 |
チェコ(ヨーロッパ4位) | 45 |
ロシア(ヨーロッパ5位) | 35 |
ハンガリー(ヨーロッパ6位) | 28 |
スペイン(ヨーロッパ7位) | 25 |
ブルガリア(ヨーロッパ8位) | 21 |
カザフスタン(アジア11位) | 12 |
ラトビア(ヨーロッパ9位) | 11 |
マルタ(ヨーロッパ9位) | 11 |
フランス(ヨーロッパ11位) | 8 |
ポルトガル(ヨーロッパ12位) | 5 |
スロバキア(ヨーロッパ13位) | 2 |
ドイツ(ヨーロッパ14位) | 1 |
中国(アジア1位) | 459 |
アラブ首長国連邦(アジア2位) | 150 |
インド(アジア3位) | 57 |
サウジアラビア(アジア4位) | 56 |
クウェート(アジア5位) | 51 |
カタール(アジア6位) | 30 |
キプロス(アジア7位) | 24 |
バーレーン(アジア8位) | 23 |
オマーン(アジア9位) | 22 |
フィリピン(アジア10位) | 16 |
カンボジア(アジア12位) | 4 |
ヨルダン(アジア12位) | 4 |
インドネシア(アジア14位) | 1 |
レバノン(アジア14位) | 1 |
ベトナム(アジア14位) | 1 |
タイ(アジア14位) | 1 |
エジプト(アフリカ1位) | 44 |
モロッコ(アフリカ2位) | 3 |
議論
[編集]2019年8月19日、コスタコーヒーは、給料が不正に減額されたと従業員から主張されたことでメディアの注目を集めた[32]。報道によれば、従業員(退職済みを含む)は、トレーニングの給料から200英ポンドを減額されたほか、レジの現金の不一致やランニング・コストの分についても減額されたとのことである。
不正な減額に関する主張は、コスタが店舗の詐欺被害分を店員に補償させていることを示唆するツイッターの投稿が引き金となって起こったものであった。
コスタは、当該議論からは距離を置くよう努めつつ、フランチャイズ店の契約はフランチャイズパートナーによって管理されており、雇用契約の中には「減額に関する条項」が含まれているものもあると表明した。
さらに、8月23日には、コスタのフランチャイズ店の従業員が「人間と扱われていない」との主張がメディアに掲載された[33]。
その報道の中では、病気休暇や年次休暇分、契約時間外の労働分、そして受け取ったチップの分の給与の支払いを経営者が拒否したことが主張された。
また、フランチャイジーであるゴールデックス・エセックス・インヴェストメント社の匿名の元従業員の主張として、週48時間の労働契約であったにもかかわらず、休暇分の1,000英ポンド近くを給与から減額されたと報じられた。
さらに、管理職レベルのバリスタや従業員が、フランチャイズパートナーが作成した契約に述べられている数々の減額に対して不満を述べていることも報じられ、開店が5分遅くなったことで150英ポンドの給料の減額がなされたとの元管理職従業員のコメントが引用された。
その他に契約に規定されている罰金としては、使用した制服が返却時に痛んでいた場合のもの、ゴミの出し過ぎ、レジの現金の不一致といったものであった。
この記事に対し、コスタコーヒーの広報は、独立した調査を開始したと述べた。
コスタ賞
[編集]コスタは、2006年以来、コスタ賞(コスタ・ブック・アウォード。以前はウィットブレッド・ブック・アウォードであった)のスポンサーである[34]。
脚注
[編集]- ^ a b c d “Whitbread PLC Annual Report and Accounts 2015/16” (PDF) (英語). ウィットブレッド. 2016年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月15日閲覧。
- ^ “Whitbread Interim results 2016/17” (PDF) (英語). ウィットブレッド. 2016年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月30日閲覧。
- ^ Team, Trefis. “Why Is Coca-Cola Paying A Hefty Premium For Costa Coffee?” (英語). フォーブス 2018年10月30日閲覧。
- ^ Monaghan, Angela (2018年8月31日). “Whitbread sells Costa Coffee to Coca-Cola for £3.9bn – business live” (英語). ガーディアン 2018年8月31日閲覧。
- ^ a b “Coca-Cola to buy Costa coffee for £3.9bn” (英語). BBCニュース. (2018年8月31日) 2018年10月13日閲覧。
- ^ “Costa Coffee founder: My hometown Purley has too many coffee shops” (英語). Croydon Advertiser. (2012年10月16日). オリジナルの2015年9月23日時点におけるアーカイブ。 2015年2月15日閲覧。
- ^ “Costa Experience – The Journey from Bean to Cup – Costa Coffee” (英語). コスタコーヒー. 2014年4月6日閲覧。
- ^ “Grinding to the top: The rise of Costa Coffee” (英語). Sky News. (2018年8月31日) 2018年11月28日閲覧。
- ^ “Costa – Our History” (英語). ウィットブレッド. 2015年2月15日閲覧。
- ^ Nick Fletcher (2010年3月4日). “Flat white froths up Costa Coffee's fortunes” (英語). ガーディアン 2009年9月16日閲覧。
- ^ St Cartmail, Chris (2018年4月22日). “Business Sale Report – Will Costa Coffee chain be up for sale soon” (英語). ビジネス・セール・レポート. オリジナルの2018年4月23日時点におけるアーカイブ。 2018年4月22日閲覧。
- ^ "Whitbread Group Structure Update" (Press release) (英語). ウィットブレッド. 25 April 2018. 2018年4月25日閲覧。
- ^ “The Coca-Cola Co completes US$4.9bn Costa Coffee buy” (英語). www.just-drinks.com (2019年1月3日). 2019年1月3日閲覧。
- ^ “Costa Coffee names former McDonald's UK chief as CEO” (英語). Reuters. (2019年11月20日) 2020年1月8日閲覧。
- ^ “【ロフト】「COSTA COFFEE」銀座ロフトでPOP-UPストアをオープン”. 時事ドットコムニュース. (2020年6月30日) 2020年8月25日閲覧。
- ^ “欧州ブランド「コスタコーヒー」ペットボトル入り、コカ・コーラが発売へ”. 読売新聞 (株式会社読売新聞社). (2021年4月5日) 2021年4月7日閲覧。
- ^ “コカ・コーラ社「コスタコーヒー」展開、PETコーヒー導入で手淹れコーヒーユーザーの獲得図る”. 食品産業新聞 (株式会社食品産業新聞社). (2021年4月5日) 2021年4月7日閲覧。
- ^ “「コスタ コーヒー」日本上陸へ、1号店は夏頃都内に”. 読売新聞 (2023年3月16日). 2023年3月16日閲覧。
- ^ 加藤綾 (2023年8月3日). “ヨーロッパのカフェブランド「コスタコーヒー」が渋谷・大手町・銀座に”. Impress Watch. 2023年8月4日閲覧。
- ^ 宇野貴文 (2023年8月3日). “渋谷を舞台にスタバと〝英米カフェ対決〟 英国発祥コスタコーヒーが4日に本格出店”. 産経新聞. 2023年8月4日閲覧。
- ^ “Costa Coffee launches limited edition Pride Cups” (英語). Revealing Britain (2019年7月8日). 2019年7月27日閲覧。
- ^ “Costa Coffee Roastery, Basildon, Essex – Food Processing Technology” (英語). foodprocessing-technology.com. 2018年8月31日閲覧。
- ^ “Costa Coffee: The Perfect Cup” (英語). 2006年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年10月29日閲覧。
- ^ “Costa Coffee taster: Ten of the weirdest insurance policies” (英語). デイリー・テレグラフ. (2009年3月9日) 2016年3月24日閲覧。
- ^ Emirates, Mall of the. “Costa Coffee in Dubai Mall of the Emirates” (英語). モール・オブ・ジ・エミレーツ. 2016年6月14日閲覧。
- ^ “Watch: drone delivers Costa coffee on Kite Beach in Dubai” (英語). ザ・ナショナル 2018年8月31日閲覧。
- ^ “Growing Business Success Stories – Costa Express: Scott Martin 10 June 2011” (英語). Growing Business. 2011年9月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月3日閲覧。
- ^ Zoe Wood. “Coffee Nation – fast, fresh and £2 a cup” (英語). ガーディアン 2011年6月12日閲覧。
- ^ “We are no longer in Canada” (英語). costacoffee.ca. 2018年12月6日閲覧。
- ^ “Costa Express Machine | Fresh Coffee To Go In Store - SPAR” (英語). SPAR. 2019年10月16日閲覧。
- ^ “Coca-Cola just bought a massive coffee chain for $5.1 billion. Here's how it compares to Starbucks.” (英語). ビジネスインサイダー (2018年9月9日). 2019年5月8日閲覧。
- ^ “Costa Coffee: Employees call £200 deductions for training 'unfair'” (英語). BBCニュース 2019年8月19日閲覧。
- ^ “Costa Coffee: Costa Coffee franchise workers "not treated like humans"” (英語). BBCニュース 2019年8月23日閲覧。
- ^ Pauli, Michelle (2006年11月28日). “Costa kicks off prize sponsorship with populist shortlist” (英語). ガーディアン 2017年7月6日閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- 公式ウェブサイト - 日本コカ・コーラが運営
- コスタコーヒー - 日本コカ・コーラによるコーヒー飲料のブランドサイト
- コスタコーヒー | 製品情報 - 日本コカ・コーラ
- COSTA COFFEE(コスタ コーヒー) - コカ・コーラ ボトラーズジャパン
- 双日ロイヤルカフェ株式会社 - COSTA COFFEE カフェ店舗の運営