クエレブレ
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クエレブレ(el Cuélebre)は、スペイン・アストゥリアス地方では「竜」という意味の語であり、後に固有名詞にもなった[注釈 1]。
伝承
[編集]この竜は主に森や地下洞窟や源泉に住んでいるという[1]。その体は、弾丸すらはじき飛ばすほど堅い鱗に覆われ、飛ぶことのできる羽を持つ。
アストゥリアス地方のメスタス・デ・コンには「クエレブレの洞窟」と呼ばれる3つの洞窟があるという。また、カラビアにあるフォンドリルの泉 (Fondril[2][3]) では、クエレブレの鳴き声が聞こえるという[4][2][3]。
強暴なクエレブレばかりとは限らない。金髪をもつ水の妖精・シャナ[注釈 2]の面倒をみている竜もいるという[1]。
アストゥリアス州クディリェーロブラーニャセカ洞窟 (Brañaseca[5]) のクエレブレには、家畜を食べられないように村人がとうもろこしやライ麦のパンを与えていたという。時には針を大量に入れたパンや、パンではなく高温に熱した石を与え、これを食べたクエレブレが死ぬこともあったという。焼けた石を飲んだものが海に逃げて体を冷やして助かった例もあるとされる[6]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 三原 (1998b), p.197.
- ^ a b “Cultura > Cultura Popular > Mitología > Cuélebre” (スペイン語). Tierrina Astur. 2023年1月28日閲覧。
- ^ a b Llano Roza de Ampudia 1919, p. 194.
En el Fondril. Hay un manantial de donde sale un Cuélebre ladrando a las personas que pasan por allí.
- ^ 三原 (1998b), p.198.
- ^ Llano Roza de Ampudia 1922, p. 49.
Había un Cuélebre muy grande en una cueva de Brañaseca, concejo de Cudillero.
- ^ 三原 (1998a), p.195.
参考文献
[編集]- 竹原威滋・丸山顯德編著 編『世界の龍の話』(初版)三弥井書店〈世界民間文芸叢書 別巻〉、1998年7月10日。ISBN 978-4-8382-9043-7。
- 三原 (1998a):三原幸久「スペイン 2 アストゥリアスの龍」pp.195-196.
- 三原 (1998b):三原幸久「スペイン 解説」pp.197-198.
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- エスピノーサ, A. M. 編 編『スペイン民話集』三原幸久編・訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1989年12月。ISBN 978-4-00-327291-6。 [要ページ番号]
- Llano Roza de Ampudia, Aurelio de (1919) (スペイン語). El libro de Caravia. Oviedo: Imprenta Gutenberg (リンク先はアストゥリアス州の仮想図書館 (Biblioteca virtual del Principado de Asturias) が公開しているデジタル化資料; Google books版)
- Llano Roza de Ampudia, Aurelio de (1922) (スペイン語). Del folklore Asturiano : mitos, supersticiones, costumbres. Madrid: Voluntad
- 三原幸久による部分訳あり: Llano Roza de Ampudia, Aurelio de、三原, 幸久「アストゥリアスの民話」、私製、1978年、CRID 1130282269100353920。