大阪湾に浮かぶ人工島・夢洲(ゆめしま)。ここで4月に始まる国際博覧会(大阪・関西万博)に、NTTは光技術を使った次世代の情報通信網を築く。2019年に構想を表明した「IOWN(アイオン)」だ。

 IOWNは電気信号を光に置き換える技術によって大容量のデータをスムーズにやり取りし、将来は電力消費量を従来の100分の1に抑える。NTTは30年以降の普及を目指し、世界展開を見据えた国際標準化に力を入れる。

 その一手が、20年にソニーグループや米インテルと立ち上げた国際団体「IOWNグローバルフォーラム」だ。米グーグルなど150以上の企業や団体がIOWNの仕様を議論している。4月には通信機器大手エリクソンの地元、スウェーデンの首都ストックホルムで年次総会を開く。

 こうした有志の企業群や業界団体内で決める規格は「フォーラム標準」と呼ばれ、一例には無線通信の「Wi-Fi(ワイファイ)」がある。NTTの川添雄彦副社長は「(周辺産業の視点を取り入れて)サービスを主体とした議論ができる」と強調する。

仲間づくりと地ならし着々

 仲間づくりを重視する背景には、携帯電話によるインターネット接続サービス「iモード」の苦い教訓がある。1999年に国内でサービスを始めたが海外展開に失敗。2000年代後半からスマートフォンが急速に普及し始めると、国内特有の「ガラパゴス技術」と化した。

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