明治・大正期の小説「銀の匙(さじ)」という話を中学3年間かけて読み込んだ国語の授業が今月18、25日に全国有数の進学校、私立・灘中学校(神戸市)で27年ぶりによみがえる。 授業はかつての同校の国語教師、橋本武さん(98)が考案。教科書を一切使わず、「銀の匙」の文庫本1冊と手作りのプリントで展開、橋本さんは「伝説の教師」と呼ばれた。今回も題材は「銀の匙」。その日を心待ちにする橋本さんは「どんな授業になるか、ワクワクしている」と話していた。 ■頭と体で味わう…幸せ感じる授業 東京高等師範学校を卒業後、昭和9年から50年間、灘中学・高校の教壇に立った。「銀の匙」の授業を始めたのは戦後まもなくの25年。黒塗りだらけの薄い教科書に「こんなものは使えない」と思った。それに自分が中学生のときにどんな授業を受けたのか印象に残っていなかったことにも教師として、むなしさを感じた。「生涯、心の糧となるような授業