夏は広島。夏休みは常に広島の祖父母の家で過ごした。母方の実家である。 三姉妹は小学生。夏休みの宿題と、自由研究と、ピアノの練習(同居している伯母が元音楽の先生で、ピアノを持ち込んでいた。グランドピアノとアップライトピアノの2台があった)が日課。合間に掃除をしたり家事を手伝ったり、祖母の話し相手をしたり。 朝はラジオ体操で始まる。たたき起こすのは伯父。元物理教師の伯父は、独特のユーモアを持っており、笑わせてくるのがすごく楽しかった。だがしかし、それは私たち姪っ子たちがたまに遊びに来るからこそ発揮されるものであり、日常の伯父が大体不機嫌そうだったことも覚えている。 身体が不自由な祖母。リウマチである。その在宅介護は主に祖父と伯父によって行われ、ただでさえ無口な祖父はますます無口であったが、祖母への愛情は子どもながらに常に感じていた。 祖父はガンコを絵に描いたような人で、旧国鉄でそれなりの役職の