MX-1016計画 (Tip Tow)
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「FICON計画」の記事における「MX-1016計画 (Tip Tow)」の解説
MX-1018計画(コードネーム:"Tip Tow")は、ピストンエンジン爆撃機に戦闘機の護衛をつけるために飛行中に結合/分離可能な翼端結合装置を介して戦闘機と爆撃機を繋げて、初期のジェット機の航続距離を延伸させることを目指していた。ティップ・トウ用の航空機は、特別に改造されたETB-29A(シリアルナンバー:44-62093)と2機のEF-84B(シリアルナンバー:46-641と46-661)で編成された。一連の飛行試験が実施され、当初は1機と後に2機との飛行中の分離/結合も数度成功させた。結合する時にF-84機のパイロットはロール軸の動きを補助翼ではなく昇降舵を操作して手動で制御していた。燃料の消費を抑えるために母機に結合("tow")されている場合はF-84機のエンジンは停止され、飛行中のエンジン再始動も成功を収めた。 B-29機の主翼の柔軟性と共に翼端の乱気流にも配慮を要し、結合部分の機械機構は改良が必要であった。B-29機と両翼のF-84機との最初の結合は1950年9月に行われた第10回目の飛行試験で実施された。全結合状態での最長飛行は1950年10月20日に行われ、その飛行時間は2時間40分に及んだ。これらの飛行試験は全て手動操縦のF-84機により実施されたが、リパブリック社は自動操縦装置を採り入れた実験を継続する契約を受注した。その一方で改善を図りながら夜間飛行を含めた更なる試験飛行が続けられた。自動操縦の改良は1953年3月に試験準備が整い、継続していた電気系統の問題点の仕分けを試みながら片側だけの結合試験が数回実施された。1953年4月24日に左翼側のF-84が結合されて自動操縦装置が作動した。そのF-84は即座にB-29の主翼上に放り出されて両機は墜落、両機に搭乗していた全員が死亡した。 右翼側F-84Dのパイロットだったクラレンス・E・「バド」・アンダーソン少佐は、実験テストパイロット協会(Society of Experimental Test Pilots.)から出版された『Aircraft Wingtip Coupling Experiments』という記事でティップ・トウの実験について記している。
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