遍羅とは? わかりやすく解説

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べら【遍羅/良】

読み方:べら

スズキ目ベラ科海水魚総称小形のものが多く背びれは体に沿って長い雌雄色彩異なるものがある。温・熱帯海の沿岸浅海にすむ。キュウセン・ササノハベラ・ニシキベラ・ホンソメワケベラなど。《 夏》


遍羅

読み方:ベラ(bera)

スズキ目ベラ科海魚


遍羅

読み方:ベラ(bera)

ベラ科海水魚総称


ベラ

(遍羅 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/16 10:10 UTC 版)

ベラ
ホンソメワケベラ
Labroides dimidiatus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ベラ亜目 Labroidei
: ベラ科 Labridae
英名
Wrasse
下位分類群
本文参照

ベラ(倍良、遍羅、英名:Wrasseラス)は、スズキ目ベラ亜目ベラ科 Labridae に属するの総称。世界中の暖かい海に約500種が生息する。日本近海には約130種が生息し、サンゴ礁などで普通に見ることができる。

ベラ科の魚は体長10 - 30センチメートル程度の比較的小さな種類が多いが、コブダイなど体長1メートルに達する大型魚も含まれる。ベラ科の最大種メガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)は、まれに体長2メートルを超える個体が存在する。

多くは鮮やかな色彩をもち、雄と雌で体色が異なる。成長に伴って性転換を行う種も多い。キュウセンなど一部の種は、夜には砂に潜って眠ることが知られている。ソメワケベラの仲間は、他の魚の口の中や体表を掃除するという特異な生態をもっており、掃除魚などと呼ばれる。

特徴

4亜科・60属・500種ほどが知られる大きな科である。全世界の熱帯から温帯に広く分布し、浅い海の砂底、岩礁、サンゴ礁に生息する。日本にも数多くの種類が分布している。

成魚の大きさは全長10センチメートルほどのホンソメワケベラから、2メートル以上に達するメガネモチノウオまで種類によって異なるが、ふつう海岸で見られるのは全長20センチメートルほどの小型種が多い。体は細長く側編し、海藻やサンゴ、岩のすき間をすり抜けるのに都合がよい体型をしている。また、種類によっては体をくねらせて砂にもぐることもできる。

体表はスズキ類やイワシなどにくらべて粘液が多く、ぬるぬるしている。体色は種類によってさまざまで、白、黒、青、緑、橙、赤などの組み合わさった美しい体色の種類もいる。また、性別や成長の度合いによって体色がちがう種類もいて、同種でもオスとメス、幼魚と成魚で別種のようにみえる種類もある。

雌性先熟の性転換をすることが知られている。性転換して雄になった個体は雌を惹きつける派手な色彩に変化し、縄張り内の複数の雌と繁殖を行う。また、種類によっては生まれながらの雄もいる。前者を二次雄、後者を一次雄と呼ぶ。一次雄は集団産卵やスニーキングやストリーキングにより繁殖を行うが、二次雄と同じ派手な色彩に変化し、縄張りを持つこともある。

ほとんどの種類が肉食性で、丈夫な歯をもち、ゴカイ甲殻類などを捕食する。また、ほぼすべての種類が昼行性で、夜は岩陰にひそんだり、海底の砂にもぐったりして眠る。同じようにして冬眠をおこなう種類もある。

利用

食用としての漁獲

からにかけてよく漁獲されるが、のコブダイなど一部を除くと漁業価値は低い。特に釣りで多く漁獲されるが、関東では「餌盗り」や「外道」として扱われ、釣ったその場で捨てられることもある。一方、関西では高級魚として扱われ専門の遊漁船も出るほど人気がある。なおは休眠するので、あまり漁獲されない。 キス、コチ等が釣れることもある。餌にはゴカイ類、貝類がいい。

身は軟らかいが、刺身、煮付け、唐揚げ南蛮漬けなど、いろいろな料理で食べられる。キュウセンは関東地方などの東日本では評価が低いが、関西以西、特に瀬戸内海沿岸ではギザミと呼ばれ、美味な魚として評価されている。これは太平洋で育ったものは身が締まらず水っぽく大味になるのに対し、瀬戸内海などで育ったものは早い潮流によって身が引き締まるためである。したがって、個々の地域による文化的、味の嗜好で、価値観の差違が発生しているわけではない。

ゲームフィッシュとして

アメリカ大陸に生息するトートグなど一部の種は遊漁の対象となる。

アクアリウム

ベラ科の魚はアクアリウムの世界で人気が高いものが数多く含まれる。人気が高いのはイトヒキベラ属、クジャクベラ属、ニセモチノウオ属、ホンベラ属カンムリベラ属で、これらの属の種は概ね丈夫で飼育しやすい。ただし、一部の種は夜間の休息時や睡眠時に砂にもぐる習性があることから、細かいパウダー状のサンゴ砂を敷いてやる必要がある。ススキベラ属、オグロベラ属、カミナリベラ属の魚も色彩的にはきれいであるが、これらの属の魚はデリケートで飼育が難しい。多くの種はサンゴや他の魚に無害であるが、タキベラ属の魚やモチノウオ属の魚は小魚を好んで食べ、Labricthyinesの種の中にはサンゴを好んで捕食するような種もいる。

別名

クサビ、クサブ(長崎県

分類

ベラ科 Labridae には約500種が含まれる。また分類が困難な種も多い。ここではKuiter(2015)[1]が示した分類に従う。近年はブダイ科もベラ科のいち亜科とされることがある。

Hypsigenyines

従来のタキベラ亜科+ブダイベラ。大型種が多く食用になるほか、小型種は観賞魚として飼育されることがある。ブダイベラの幼魚はクリーナーでもある。

ブダイベラ属Pseudodaxー従来は本種のみで独自の亜科とされた。ブダイベラのみの1属1種

イラ属Choerodonーイラモドキ属やシチセンベラ属を含む。インドー西太平洋。イラ、シチセンベラ、シロクラベラなど

Xiphocheilus属ーホホスジベラのみの1属1種

タキベラ属Bodianusー三大洋の暖かい海。キツネダイキツネベラタキベラなど。

カザリアカボウ属Decodonー三大洋の深海。カザリアカボウなど。

キスジアカボウ属Polylepionーインドー太平洋域、東太平洋、大西洋に各1種。キスジアカボウなど。

ミヤビベラ属Terelabrusー小型種が多い。アマナミヤビベラ、キスゲミヤビベラなど。

コブダイ属Semicossyohusー大型種3種からなる。Kuiter(2015)ではタキベラ属の亜属。東太平洋に2種、北西太平洋に1種。コブダイなど。

Clepticus属ー大西洋にすむ3種のみ。クレオールラスなど。

Achoerodus属ーオーストラリア近海の大型種2種。

Anchichoerops属ークアズールナタール州から喜望峰東部までの南ア。1属1種。

Lachnolaimus属ー西大西洋にすみ1属1種。

Odacines

オーストラリア・ニュージーランド近海にのみ分布。従来はオダクス科という別科であった。藻場にすみ、ヨウジウオなどの仲間に似た種も知られている。

Odax属ー2種

Neoodax属ー1種

Haletta属ー1種

Heteroscarus属ー1種。レインボーケイル

Olisthops属ー1種

Paraodax属ー1種

Sheardichthys属ー4種

Siphonognathus属ー1種。非常に細長い体でヨウジウオと見間違いそうなチューブマウス1種を含む。

Labrines

すべての種が大西洋および地中海に分布。

Labrus属ー4種

Acantholabrus属ー1種のみ

Centrolabrus属ー3種

Symphodus属ー10種

Ctenolabrus属ー1種

Lappanella属ー1属1種。やや深い海にすむ美しい種。

Tautoga属ートートグのみ。91cmになる大型種。ノヴァスコシアからノースカロライナにすむ。

Tautogolabrus属ー1種

Pseudocheilines

すべての種がインドー中央太平洋(ハワイ諸島含む)に分布しているが、わずかな種がスエズ運河経由で地中海に進出している。小型で飼育しやすくアクアリストに人気があるものを多く含む。

イトヒキベラ属Cirrilabrusー少なくとも60種以上。Conniella属とされたものも現在はこの属に含まれる。イトヒキベラなど。

クジャクベラ属Paracheilinusー少なくとも20種。インドー太平洋のサンゴ礁域にすむ。クジャクベラなど。

ニセモチノウオ属Pseudocheilinusー7種。インドー太平洋にすみハワイ諸島にもいる。ニセモチノウオ、ヤスジニセモチノウオなど。

Pseudocheilinops属ー1種。インドネシア、フィリピン、パラオに分布。ニセモチノウオ属の魚に似る。

オハグロベラ属Pteragogusーインドー西太平洋、紅海。一部地中海にすむ。オハグロベラなど。

Cheilines

1種をのぞきインドー中央太平洋(ハワイ諸島含む)に分布している。大型種が多く食用になる。

ギチベラ属Epibulusギチベラなど2種。口を長く伸ばすことができる。

モチノウオ属Cheilinusーベラ科最大種のメガネモチノウオや、ヤシャベラ、ミツバモチノウオなどを含む。

ホホスジモチノウオ属OxycheilinusーKuiter(2015)ではこの属の魚はモチノウオ属に含む。タコベラ、ヒトスジモチノウオなど。

ハシナガベラ属Watmorellaーほかのベラの幼魚に擬態する。小型種で観賞魚として人気。ハシナガベラなど3種。

Doratonotus属ー唯一の大西洋産の属でドワーフラスのみの1属1種。海藻に擬態し、オハグロベラの幼魚にも似る。

Julidines

もっとも数が多く、属数も非常に多い。

ニシキベラ属Thalassomaー三大洋の温暖な海域。ニシキベラヤマブキベラオトメベラなど

クギベラ属Gomphosusーインドー太平洋(ハワイ諸島含む)。クギベラなど

ススキベラ属Anampsesーインドー太平洋(ハワイ諸島含む)。ブチススキベラなど。

ノドグロベラ属Macropharyngodonーインドー太平洋(ハワイ諸島含む)。一部はホンベラ属にも含まれた。ノドグロベラなど。

ホンベラ属HalichoeresーKuiter(2015)ではIridioPlatyglossusOctocynodonBiochoeresWhitleychoeresHemitautogaなどの属に分割している。ホンベラ、トカラベラ、ミツボシキュウセンなど。

キュウセン属Parajulisキュウセンのみ

Xenojulis属ーオハグロベラ属に見た目が似ているがこのグループに含まれる。2種。

Lepthojulis属ーホンベラ属に近縁で3種。

イトベラ属Suezichthysー少なくとも11種。インドー中央太平洋、トリスタンダクーニャ島(南大西洋)。イトベラなど。

カンムリベラ属CorisーKuiter(2015)ではAllocoris、julis、Hemicolisなどの属に分けている。インドー太平洋のほか、東太平洋、地中海にもいる。カンムリベラツユベラ、スジベラ、ムスメベラなど。

シラタキベラダマシ属Pseudocorisーインドー太平洋域。シラタキベラなど。

シロタスキベラ属Hologymnosusーインドー太平洋域。シロタスキベラなど。

Ophtalmolepis属ーオーストラリア、ニュージーランド近海にすむマオリラス1種のみ

Minilabrus属ー紅海に住む1種のみ

ササノハベラ属Pseudolabrusーオーストラリア、ニュージーランドおよびその周辺の島嶼、ポリネシア、中国、日本近海などに分布。アカササノハベラホシササノハベラなど。

Notolabrus属ーササノハベラ属に近いと考えられる。オーストラリアやニュージーランドなどに分布。スポッティ、クロオビベラなど。

Pictilabrus属ーやはりササノハベラ属に近しい。オーストラリアやニュージーランドなど。セネターラスなど。

Austrolabrus属ーオーストラリア固有の1属1種。

Dotalabrus属ーオーストラリア近海に2種が知られる。

Eupetrichthys属ーオーストラリア近海の1属1種

オグロベラ属Pseudojuloidesーインドー中央太平洋(ハワイ諸島を含む)。東太平洋産種はSagittalarva属という独立属になった。オグロベラなど

Sagittalarva属ー1属1種

カミナリベラ属Stethojulisーインドー中央太平洋(ハワイ諸島を含む)。カミナリベラ、オニベラ、アカオビベラなど。

Oxyjulis属ー1属1種

Malapterus属ーチリファンフェルナンデス諸島。1属1種。

タレクチベラ属Hemigymnusーインドー太平洋に3種。

Labrichthyines

クリーナーであるソメワケベラ属を含む。ほかの種も幼魚のうちはクリーニングをするが、成魚はサンゴを食べたりする。すべての種がインド―太平洋地域にすむ。

ソメワケベラ属Labroidesー4つの既知種と1種の未記載種。クリーナーとして有名。ホンソメワケベラ、ソメワケベラなど。

マナベベラ属Labropsisー6種。マナベベラ、ミヤケベラなど。

クロベラ属Labrichthysーインドー太平洋。1つの既知種と1種の未記載種。クロベラなど。

Larabicus属ー紅海にのみ分布。幼魚はクリーナーだが、成魚ではサンゴを食べる。1種のみ。

Diproctacanthus属ー西太平洋。幼魚はクリーナー。1種のみ。

Cheilionines

カマスベラのみからなるカマスベラ属のみが含まれる。

Novaculines

体が側扁し、危険が迫ると砂中に潜むものを多く含む。

テンス属Xyrictysーテンス、ホシテンス、ヒラベラなど。Kuiter(2015)ではIniistiusは使用されていない

テンスモドキ属Novaculopsーテンスモドキ

オビテンスモドキ属Novaculichthysオビテンスモドキ。Kuiter(2015)ではオオヒレテンスモドキも含む

オオヒレテンスモドキ属Novaculoidesーオオヒレテンスモドキ。Kuiter(2015)ではオビテンスモドキ属の中に含む

タテヤマベラ属Cymolutesータテヤマベラなど3種

Ammolabrus属ースナベラとインド洋産の未記載種

Frontilabrus属Frontilabrus caeruleusのみ

主要な種

  • イラ属 Choerodon
    • イラ Choerodon azurio - 体長25センチメートル。背中はピンク色で顔と尾は青っぽく、背びれと尻びれは黄色っぽい。成長したオスの額はでっぱる。胸びれの上に黒っぽい斜めの線がある。
  • コブダイ属 Semicossyphus
    • コブダイ Semicossyphus reticulatus - カンダイとも呼ばれる。全長1メートル。成長したオスは額が出っ張る。幼魚は体が赤く、背びれ、尻びれ、尾びれが黒、目から尾びれまで白い線が走る。成長すると全身が赤褐色になり見た目は全く別の魚になってしまう。冬が旬で高級魚として扱われる
  • ニシキベラ属 Thalassoma
    • ニシキベラ Thalassoma cupido - 全長20センチメートル。ホンベラによく似ているが腹部が青い。
  • ソメワケベラ属 Labroides
    • ホンソメワケベラ Labroides dimidiatus - 体長12センチメートル。体側に黒い縦帯がある。他の魚の口や体表の掃除をすることで有名である。
  • カンムリベラ属 Coris
    • ムスメベラ Coris picta - 体長18センチメートル。体側に黒い縦帯がある。
  • ササノハベラ属 Pseudolabrus
    • ホシササノハベラ Pseudolabrus sieboldii - 体長20センチメートル。以前はアカササノハベラ P. eoethinus と同種と考えられており、ササノハベラ P. japonicus という名称が与えられていた。両者とも体色は褐色だが、アカササノハベラは名の通り赤みが強い。また、アカササノハベラにはホシササノハベラの体側に見られる白い斑がはっきりしないことや、眼の下から後方に伸びる黒褐色の縞が胸びれまで伸びていることなどがあげられる。外洋に面した防波堤などでよく釣れる、釣り人にはおなじみの魚である。
  • オハグロベラ属 Pteragogus
    • オハグロベラ Pteragogus aurigarius - 琉球列島をのぞく千葉県・新潟県以南に分布し沿岸の藻場や岩礁域に多い。
  • キュウセン属 Parajulis
    • キュウセン Parajulis poecilepterus - 日本の本州以南に広く分布し、岩礁と砂底が入り混じったような環境に多い。メスは体長20センチメートルほどで体色は黄褐色で、オスは体長30センチメートル以上になり、体色は黄緑色をしている。成長するにつれメスからオスへ性転換すると考えられている。オスメスとも赤い点線が縦に数本はいり、目から尾びれまでと背びれの根もとに黒い線が走っている。夜や冬は砂にもぐって休眠するため、釣りは日中に行われる。関東ではあまり食用にしないが、関西では好まれ、高値で取引される。特に刺身が珍味であり喜ばれる。
  • ホンベラ属 Halichoeres
    • ホンベラ Halichoeres tenuispinnis - 体長13センチメートル。体色は緑が主体でニシキベラに似ているが、色が薄くまた、赤い色をしている。ベラのなかではキュウセンやニシキベラと並んで温帯域に適している。
  • モチノウオ属 Cheilinus
    • メガネモチノウオ Cheilinus undulatus - インド洋から太平洋のサンゴ礁に分布する巨大魚で、ナポレオンフィッシュともよばれる。成長したオスは全長2メートルを超え、コブダイのように額がでっぱる。メスは全長1メートル以下で、額はでっぱらない。
  • ギチベラ属 Epibulus
  • テンス属 Xyrichtys
    • テンス Xyrichtys dea - 全長30センチメートル。体色は赤っぽく腹鰭と臀鰭は黄色っぽい。海底の砂地に生息しており、危険を感じると一瞬で砂に潜り込む。

参考文献

  1. ^ Rudie H. Kuiter (2015). Labridae fishes: Wrasses. Reef Builders Inc. and Aquatic photographics. 

関連項目


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