奏法
演奏法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 16:20 UTC 版)
演奏法については、楽器の構え方が大きく異なっていたりポジションのシステムが異なっていたりはするが、ヴァイオリンと共通する部分が多い。 「ヴァイオリンの演奏のしかた」を参照 以下に、ヴァイオリンの奏法と大きく異なる点を列挙する。 楽器は、胴を左右の脚の間に置き、棹(ネック)が奏者から見て顔の左側にくるように構える。楽器がずれないようにエンドピンの先を床に固定する。 運指は、低ポジション(指板の上の方を用いる)では人差し指・中指・薬指・小指を用い、各指で押さえる音程の間隔は半音を基本とする(人差し指と中指の間は全音とすることもあり「拡張」と呼ばれる)。この関係上、音階などの運指においてヴァイオリンよりも頻繁に開放弦が用いられる傾向にある。またヴァイオリンと比べて頻繁なポジション移動が必要になる。概ね第7ポジションを境として以降の高ポジション(指板の下部を用いる)では親指も指板上に乗せて弦を押さえる(親指のポジション)。 親指のポジションでは親指を含む各指の間の音程はヴァイオリンと同様に全音・半音の双方を取る(ただし小指は余り用いられない)。この場合には親指を用いない低ポジション時と違い頻繁なポジション移動が不要になるため、分散和音などの急速なパッセージでは低ポジションでも敢えて親指のポジションが用いられることがある。また、この奏法のお蔭でチェロの実効的音域はヴァイオリンのそれよりも概ね5度ほど広くなる。 重音は、ヴァイオリンほど頻繁には用いられず、また多くの制限を受ける(たとえば開放弦を用いないオクターブ重音は低ポジションでは不可能である)。これは特に低ポジション時に各指が半音間隔で音を取らなければならないためである。従って、重音を高度に用いるパッセージでは親指のポジションの高度に技巧的な活用が要求されることが多い。 運指だけではなく運弓も、一般にヴァイオリンよりも大きい動きを要求されることが多い。単純に楽器の大きさからくる違いもあるが、ヴァイオリンよりも遥かに太く張力の強い弦を振動させるために弓は大きく使われる傾向にあるし、運指の関係上たとえばオクターブ跳躍の際の移弦は隣接する弦ではなく2つ隣の弦になる。他方で、一般にチェロの弓の長さはヴァイオリンの弓のそれよりも「短い」ので、これらの問題が増幅される傾向にある。 ヴァイオリンは弓の傾きを変えて弦に接する毛の量を操作する奏法があるが、チェロには存在せず、弦に接する弓の毛の量は弓の弦への沈め方で操作する。 ヴァイオリンは右手首と右手指を組み合わせて動かし、はっきりした発音やなめらかな返しを行う「指弓」という奏法があるが、チェロは右手首を積極的に動かすことは推奨されない。 構え方の違いから、ヴァイオリンでは高音弦が弓を持つ手元に近くなるが、チェロでは逆に低音弦が手元に近くなる。従って、たとえば重音奏法の場合には右腕の動きはヴァイオリンとチェロでは逆になる。 調弦は、低音域で5度の和音の響きを聴き取り、ペグによって調弦をする。しかし、楽器の構造上、弦の張力が強く、またそのためにスチール弦が用いられることも相まって、ペグによる微調整が難しいため、すべての弦にアジャスターが組み込まれたテールピースが採用されることが多い。他方、ヴァイオリンやヴィオラは隣り合う弦の重音で調弦し、また柔らかく調弦しやすい金属巻きガット弦を用いる奏者が多いので、アジャスターをすべての弦に取り付ける例は少ない。なお、アジャスターによる調弦の際には自然フラジオレットを活用し、隣り合った低い方の弦の第3倍音と高い方の弦の第2倍音が同音程となるようにアジャスターで調整する方法もよく用いられる。
※この「演奏法」の解説は、「チェロ」の解説の一部です。
「演奏法」を含む「チェロ」の記事については、「チェロ」の概要を参照ください。
「演奏法」の例文・使い方・用例・文例
- 彼女は三味線による新しいジャズの演奏法を始めた。
- 音楽の演奏法としての滑音
- 二つの楽器で合奏する演奏法
- オーグメンテーションという演奏法
- スケルツァンドという演奏法
- スケルツォーソという演奏法
- ストラバガンドという演奏法
- スモルツァンドという演奏法
- ズレンタンドという演奏法
- テンポプリモという演奏法
- ビバーチェという演奏法
- ピアチェーボレという演奏法
- ピアチェーレという演奏法
- ジャズなどの,ヘッドアレンジメントという編曲演奏法
- ポコという演奏法
- ポコアポコという演奏法
- ポムポーソという演奏法
- メゾフォルテという演奏法
- モルトアダージョという極めてゆるやかにという意味の演奏法
- モルトアレグロという極めて速く,生き生きとという意味の演奏法
- 演奏法のページへのリンク