とう‐ひ〔タウ‐〕【唐×檜】
ヒマラヤとうひ (唐檜)
●ヒマラヤが原産です。成長が早く、高さは10メートルほどになります。樹皮は紫色がかった灰色です。枝は水平に広がり、弓なりに枝垂れます。濃緑色の葉は長い線形で、4稜があります。果実は大きな円錐形で、はじめの紫色から光沢のある茶色に熟します。別名で「モリンダトウヒ(モリンダ唐檜)」とも呼ばれます。
●マツ科トウヒ属の常緑高木で、学名は Picea smithiana。英名は Himalayan spruce, Morinda spruce。
ぎんようコロラドとうひ (唐檜)
●母種の「コトラドトウヒ」はアメリカ北部のコロラド州に分布し、高さは30~50メートルにもなります。樹形は円錐形で、枝は水平またはやや斜上します。この「ギンヨウ(銀葉)コロラドトウヒ」は、針形の葉が青みがかった銀白色になる品種です。写真は園芸品種の「グロボーサ(P. pungens cv. Globosa)」で、矮性で成長が遅く、庭や公園の植栽に利用されます。
●マツ科トウヒ属の常緑高木で、学名は Picea pungens f. glauca。英名は Blue spruce, Colorado blue spruce。
ドイツとうひ (唐檜)
●ヨーロッパが原産です。高さは20~30メートル、原産地では70メートルにもなります。樹冠は円錐形で、老木になると枝が垂れ下がります。樹皮は褐色ですが、老木になると灰色になり、鱗片状に剥がれ落ちます。花は5月に開き、球果は円球形または長楕円形です。鳩時計のおもりはこの球果を象ったものです。写真下は、矮性の園芸品種の「ピグマエア(cv. Pygmaea」。
●マツ科トウヒ属の常緑高木で、学名は Picea abies。英名は Norway spruce。
とうひ (唐檜)
●わが国の固有種で、本州の関東地方・中部地方、紀伊半島に分布しています。亜高山帯に生え、高さは25メートルになります。樹冠は円錐形になり、樹皮は暗赤褐色で、薄い鱗片状に剥離します。葉は扁平な線形で、表面に白い気孔帯が2個あります。5月から6月ごろ、前年枝の先端に雄花と雌花を咲かせます。果実は球果で、円柱形です。写真下は、エゾマツカサアブラムシによる虫えいで、エゾマツシントメカサガタフシ。
●マツ科トウヒ属の常緑高木で、学名は Picea jezoensis var. hondoensis。英名はありません。
トウヒ
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2010年12月) |
トウヒ | ||||||||||||||||||||||||
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トウヒ(南アルプス仙丈岳、2007年8月) | ||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LOWER RISK - Least Concern (IUCN Red List Ver.2.3 (1994)) (Picea jezoensis エゾマツのカテゴリ) | ||||||||||||||||||||||||
分類(新エングラー体系) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Picea jezoensis (Sieb. & Zucc.) Carriére var. hondoensis (Mayr) Rehde[2] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
Picea jezoensis subsp. hondoensis[3] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
トウヒ(唐檜) | ||||||||||||||||||||||||
品種 | ||||||||||||||||||||||||
トウヒ(唐檜、学名:Picea jezoensis var. hondoensis)は、マツ科トウヒ属の常緑針葉樹。
北海道および北東アジアに広く分布する、エゾマツの変種。本州の紀伊半島大台ヶ原から中部山岳地帯を経て福島県の吾妻山までの、海抜1,500-2,500 mにかけての亜高山帯に分布する。
特徴
更新世前期に本土まで南下して本州の広い範囲に分布を広げたエゾマツが、氷期の終わりとともに本州中部の山岳地に取り残された群落の子孫であると考えられている。ただし、ミトコンドリアDNA分析によると、トウヒにもっとも近縁な集団は北海道のものではなく朝鮮半島・中国東北のエゾマツ(変種チョウセントウヒ)である。このことから、トウヒの祖先は北海道のエゾマツが東北地方経由で南下したのではなく、中国東北~朝鮮半島のチョウセントウヒが朝鮮半島~西日本経由で分布を広げたことが示唆されている。[5]
最終氷期には現在より広い範囲に分布していたが、現在は吾妻山より北の東北には分布しない。これは、トウヒがあまり大量の積雪には弱く、この地域の山岳が世界有数の多雪地域であるためと考えられる(最終氷期の日本は、現在より寒冷だが降雪量も少なかったと推定されている)。
本州のトウヒ属の中ではもっとも分布域が広く、数も多いが、それでも亜高山帯林の中ではモミ属と比べるとかなり少数派である。ただし、倒木を苗床にして稚樹が育つ倒木更新によって生育する場合が多いため、1カ所に数本がかたまって自生している場合が多い。大台ヶ原では、日本では珍しいトウヒの純林があるが、鹿の食害のため危機に瀕している。
亜高山帯の主要樹種であるモミ属のシラビソ・オオシラビソより、一般に寿命が長く、大木となる例が多い。樹高は大きいものでは40 m、幹の太さ1 m以上となる場合もある。樹皮は灰褐色。葉の断面は扁平で、長さは7-15 mm程度。球果は長さ3-6 cmほどである。
脚注
- ^ Conifer Specialist Group 1998. Picea jezoensis. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - Picea jezoensis var. hondoensis
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - Picea jezoensis subsp. hondoensis
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - Picea jezoensis var. hondoensis f. ozeensis オゼトウヒ
- ^ 逢沢峰昭「シリーズ:日本の森林樹木の地理的遺伝構造(3)エゾマツ類(マツ科トウヒ属)」(PDF)『森林遺伝育種』第2巻、第3号、森林遺伝育種学会、104-108頁、2013年7月25日。doi:10.32135/fgtb.2.3_104。ISSN 2187-3453 。
- ^ 『暮らしを支える植物の事典』 八坂書房、239頁。
関連項目
唐檜と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- >> 「唐檜」を含む用語の索引
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