八人・八体
★1.八人の男。
『南総里見八犬伝』 里見義実の娘・伏姫が自害した時、襟にかけた数珠のうち8つの玉が八方に飛び去った。その翌年に犬山道節・犬飼現八・犬田小文吾・犬川荘介、2年後に犬塚信乃・犬村大角、6年後に犬坂毛野、はるか遅れて17年後に犬江親兵衛が、房総から伊豆にかけての各地にそれぞれ誕生した。8つの玉を分け持つ彼ら八犬士は、里見家興隆のために大いに活躍した。
『八つ墓村』(横溝正史) 戦国の頃、落ち武者8人が、鳥取・岡山県境の山村に身を寄せるが、村人たちによって惨殺された。その半年後、名主が乱心して村人7人を殺したあげく自殺し、一時に8人の死者が出た。「落ち武者のたたりであろう」と、人々は恐れ、8つの墓を立てて明神とあがめた。
*八人兄弟の末子→〔末子〕3の『神道集』巻8-49「那波八郎大明神の事」。
★2a.八人の乙女。
『古事記』上巻 アシナヅチ・テナヅチ夫婦には8人の娘がいたが、ヤマタノヲロチが年ごとにやって来て喰い、ついにはクシナダヒメ1人だけになった。
*八人の天女→〔水浴〕1aの『近江国風土記』逸文・『丹後国風土記』逸文。
『源平盛衰記』巻44「三種の宝剣の事」 八岐大蛇(ヤマタノヲロチ)が、奇稲田姫を呑みにやって来る。素盞烏尊(そさのをのみこと=スサノヲノミコト)は8つの槽に酒を満たし、山の上に奇稲田姫を立たせて、その姿を槽の酒に映す。大蛇が見ると、8つの槽の中に8人の美女がいる。大蛇は8人の美女を呑もうと思って酒を飲み干し、酔って眠る。
『古事記』上巻 黄泉国へ行ったイザナキが、暗闇の中で櫛に火をともして妻イザナミを見ると、彼女の身体はふくれあがり、蛆がたかり膿が流れていた。頭には大雷、胸には火雷、腹には黒雷、陰(ほと)には拆雷、左手には若雷、右手には土雷、左足には鳴雷、右足には伏雷、あわせて8体の雷神(いかづちがみ=みな蛇体であろう)が、イザナミの身体をおおっていた。
*類似の場面が、『尼僧ヨアンナ』(イヴァシュキェヴィッチ)にある。尼僧ヨアンナに9匹の悪魔が憑依する。そのうちの1匹ザパリチカが、自分の兄弟たちがヨアンナの身体のどこにいるかを、「バラアムは頭、イサアカロンは腕、アマンは胸、グレズィルは腹、ベゲリットは脚、アスモデウスは性器、・・・・」と、教会に集まった人々に教える。
『古事記』上巻 高志(こし)のヤマタノヲロチは、身一つに8つの頭・8つの尾があり、その長さは8つの谷・8つの峰にまたがるほどだった。
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