一巻経とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 一巻経の意味・解説 

一巻経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/19 02:58 UTC 版)

『久能寺経』のうち、法華経薬王品/平安時代の作。鉄舟寺所蔵。国宝。
『紺紙金字無量義経』/平安時代の作。東京国立博物館所蔵。

一巻経(いっかんぎょう、いっかんきょう、歴史的仮名遣:いっかんぎゃう、いっかんきゃう[1]とは、第1義には、仏教経典写経する際、多くの人が一巻ごとに分担して書写すること[1][2][3][4][5]。現存する物はほとんど『法華経』のそれに限られる[4][2][3][5]。『法華経』の場合は「かん)」を「ほん[注 1]」と呼ぶ。

第2義には、法華経二八品を一品ずつ独立させて各一巻仕立ての巻物)にしたもの[2][7]で、他の経にいうこともある[7]。これを「一巻経」という[1][7]が、特に法華経八巻または開経の無量義経、結経の観普賢経を加えた十巻についていうことが多く[1]、『法華経』を二八品として捉える場合には「一巻経」を「一品経(いっぽんぎょう、いっぽんきょう、歴史的仮名遣:いっぽんぎゃう、いっぽんきゃう)」という[1]。また、その一巻(一品)ずつを仏前で読誦することをもいう[2]

概要

多数の人に均等の功徳と多くの結縁をもつために行われた[5]。『法華経』は奈良時代以来しばしば写経され[4]平安時代中頃から鎌倉時代にかけて流行した[5]。平安時代中期の為政者・藤原道長長保4年(1002年)5月、自邸で『法華経』の1品ずつを講賛する法華三十講[注 2]を始行し、以後これを恒例とした[4]。こうしたことが機縁となって一品経写経が盛んになった[4]高野山金剛峰寺の『紺紙金字経』や[5]、いずれも国宝となっている『平家納経』『久能寺経』『慈光寺経』『長谷寺経』のように、現存する物は優れた装飾経が多く[4]、これらは全て一品経である。

脚注

注釈

  1. ^ ここでの「品(ほん)」は、仏典の中の編や章や節に当たるものをいう。用例「方便品」。[6]
  2. ^ 法華三十講(ほっけさんじっこう)とは、法華経二十八品に開結二経を加えて30日間に講ずる講讃[8]

出典

  1. ^ a b c d e 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “一巻経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  2. ^ a b c d 小学館『デジタル大辞泉』. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  3. ^ a b 三省堂大辞林』第3版. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 日立デジタル平凡社世界大百科事典』第2版. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  5. ^ a b c d e ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  6. ^ 品(ほん)”. goo辞書. NTTレゾナント. 2020年5月31日閲覧。
  7. ^ a b c 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  8. ^ 日立デジタル平凡社『世界大百科事典』第2版. “法華三十講”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。

関連項目


「一巻経」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「一巻経」の関連用語

一巻経のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



一巻経のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの一巻経 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS