ノウ‐ハウ【know-how】
ノウハウ
【英】 know-how
国際商工会議所(ICC)によれば,ノウハウとは「製品の製造方法や技術実施の知識,専門知識及び経験の全体〔であって,…〕特許を実施利用するために必要な,特許の製造法と結合している技術,さらに製造者が研究により創造した,競争者がまだ入手できないでいる実用化の方法,特性,技術的専門知識もまたノウハウということができる」とされる。あるノウハウが特許要件を満たしていても,これについて公開を忌んで特許権を取得していない場合は特許法による保護を享受し得ない。ただし,そのノウハウが不正競争防止法上の営業秘密の要件(不正競争2条4項)を満たしていれば,同法の保護を受けることができる。
(注:この情報は2007年11月現在のものです)
手続き的知識
手続き的知識(てつづきてきちしき、Procedural Knowledge)とは、何かをする際のハウツー的な知識。普通はノウハウ(Know-how)ともいう。人工知能、認知心理学、知的財産権における意味も合わせて解説する。
解説
ノウハウは宣言的知識などの他の知識とは異なる形式であり、何らかの作業に直接適用可能である。問題解決の手続き的知識と問題解決に関する宣言的知識は異なる。例えば、この種のノウハウと呼ばれる知識は、法体系によっては企業の知的財産権が考慮され、企業買収の際にその知識も購入されたものとみなす。
手続き的知識の限界は職業依存性がある。すなわち、手続き的知識は宣言的知識よりも汎用性に乏しい傾向がある。例えば、コンピュータの専門家は各種言語(あるいは擬似コード)でのアルゴリズムに関する知識を持つと推測されるが、Visual Basic しか知らないプログラマは Visual Basic で書かれたアルゴリズムの実装しか知らないかもしれない。従って、Visual Basic プログラマの専門知識や経験は Visual Basic が必要とされる仕事でしか生かせない可能性がある。
手続き的知識の利点は、実地の経験、問題解決の慣習、特定の解決法の限界への理解といった感覚を伴う点である。そのため、ノウハウはしばしば理論をも侵食する。
人工知能における手続き的知識
人工知能において、手続き的知識は知的エージェントが処理する知識の形態の1つである。そのような知識は、有限状態機械やプログラムの形態で表される。良く知られた例として Procedural Reasoning System があり、それを使った移動可能な案内ロボットは「部屋に案内する」とか「経路を立案する」といった手続き的知識を持って建物内を案内する。一方、宣言的知識の基づいた人工知能システムは、その建物の地図とロボットの基本的動作(前進、回転、停止など)を持っていて、領域固有の自動計画アルゴリズムによって目標を達成するための行動を決定する。
認知心理学における手続き的知識
認知心理学における手続き的知識は、作業を行う方法に関する知識を示す用語である。また、宣言的知識と異なり、特定の個人と明瞭にリンクしない知識や無意識的知識に付随していることが多い。例えば、多くの人は特定の顔つきを「魅力的だ」と認識したり、特定の冗談を「おかしい」と認識したりするが、何故そう認識したかを明確に説明できないし、「魅力」とか「おかしさ」の明確な定義を説明できないものである。認知心理学者 Pawel Lewicki の研究によると、手続き的知識は共変情報に関する無意識的処理によって獲得されることが示された。
知的財産権における手続き的知識
知的財産権において、ノウハウとは工業技術に関連する秘密情報であり、時にはそれを使うことによって商業的利益を得ることができる企業秘密をも意味する。ノウハウは多くの場合、そこから利益が得られるという意味で法的には知的財産権の一部とされるが、特許や商標と共に使用権のライセンスを与える形で限定的に利用できるようリリースされることが多い。しかし、ライセンス契約の対象としてのノウハウはパブリックドメインにない秘密の情報だけから構成されるわけではない。秘密情報と、それに関連する公知情報(その方面の専門家にとっては一般的な知識)の組み合わせで構成されるものである。
関連項目
外部リンク
- Wikihowto - Wikimedia プロジェクト
- G. Polya, How to Solve It - ノウハウに関する古典的書籍
ノウハウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/24 04:59 UTC 版)
「ダメージコントロール」の記事における「ノウハウ」の解説
軍艦などの「ダメージコントロール」については、米西戦争や日清戦争の頃から艦艇などの被害を軽減する方法として知られていた。 現在、この分野においては、太平洋戦争中に大規模な海戦を経験したアメリカ海軍や大日本帝国海軍の頃の戦訓を取り入れた海上自衛隊のノウハウは、世界でも類を見ないものになっている。一方、日米の艦艇と比べると、それらの経験が比較的少ないヨーロッパ諸国やロシアの艦艇は、被害対策に対する意識の違いが表れているのが分かる。ヨーロッパ諸国やロシアの艦艇は居住区などの居住性が良い一方で、現在でも可燃性のある材質を使用していたり、延焼を食い止める構造が弱かったり、被弾すると危険な箇所に士官室が配置されていたりする。 近年、増強著しい中国人民解放軍海軍の艦船も、ダメージコントロールのノウハウにおいてはNATO基準と比較しても開きがあるという[リンク切れ]。 こういったものは実戦を経験して初めて得られるノウハウでもあるため、訓練等で補うのは難しい。フォークランド紛争においてエグゾセ空対艦ミサイルの攻撃を受けたイギリス海軍の42型駆逐艦「シェフィールド」は、機関部がシフト配置でなくパラレル配置になっていたうえにアルミニウム合金製の隔壁や仕切弁が融解したため、機械室が容易に延焼してしまった。消防ポンプを起動できなかったうえに可搬式ポンプも能力不足で消火主管が機能せず、火災範囲は艦内の約2/3に達し、艦自身の消火活動はほとんど遂行不能となってしまった。艦は放棄され、数日後の曳航中に荒天に遭遇、沈没している。この事件について、アメリカ合衆国の著名な海軍史家であるノーマン・フリードマンは、「現代の精緻な軍艦は対艦ミサイルに耐えられないという誤解が蔓延したが、20年にわたる冒険的なコスト削減のツケがとうとう回ってきたというのが実態である」と評している。 反対に、それらの経験を踏まえて設計された艦艇・訓練を行っているアメリカ海軍では、米艦スターク被弾事件や米艦コール襲撃事件において、ダメージコントロールを迅速・確実に行った結果、(非戦時で、安全な後背地が近かったこともあり)米艦艇は沈没を免れている。 もっとも先見の明というものはあり、太平洋戦争においてはじめて実戦投入された艦種である航空母艦のダメージコントロールについて、日本海軍は実戦で甚大な被害を受けてからようやく対策に乗り出した反面、アメリカ海軍は実戦を経験する以前から対策に余念がなかった。 詳細は「軍艦構造」を参照
※この「ノウハウ」の解説は、「ダメージコントロール」の解説の一部です。
「ノウハウ」を含む「ダメージコントロール」の記事については、「ダメージコントロール」の概要を参照ください。
ノウハウ
「ノウハウ」の例文・使い方・用例・文例
- 彼がデータやノウハウをその後の都市づくりに生かします
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- それが既に多くのノウハウを蓄積しています
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- 経営ノウハウ
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- 製品やサービスを世界市場に販売しようとする企業にとっては複数外国語によるコミュニケーションのノウハウが必須である。
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- この共同住宅は、環境と健康に配慮した建物。今後、このシステムとノウハウをさらに拡大していきたい。
- 私達の基本的な問題は、ノウハウが無いという事だ。
- 何かをするのに必要な方法、技能またはノウハウまたは権利を持っている
- 必要な手段または技術またはノウハウを持たないさま
- 同省は,資金調達や事務所経営などのような題目についてのビジネスノウハウを提供する予定だ。
- 同省はまた,港湾区域の風の状況のデータを収集し,風力発電所を建設するためのノウハウを集めることを予定している。
- 11月7日に本格生産開始の記念式典でホンダの伊(い)東(とう)孝(たか)紳(のぶ)社長は,「この工場で培(つちか)った技術とノウハウはメキシコや中国の新工場に展開していく。」と述べた。
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