ガンマ‐アミノらくさん【ガンマアミノ酪酸/γアミノ酪酸】
読み方:がんまあみのらくさん
GABA
分子式: | C4H9NO2 |
その他の名称: | ギャバ、ピペリジン酸、GABA、Piperidic acid、Piperidinic acid、γ-Aminobutyric acid、4-Aminobutanoic acid、ガマレックス、Gammalon、Gamarex、DF-468、ガンマロン、4-Aminobutyric acid、ガバ、ガマル、ガバロン、ミエロマド、ミエロゲン、Aminalon、Gammar、Gaballon、Mielogen、Gammasol、Mielomade、アミナロン、ガンマソール、γ-アミノ-酪酸、γ-Amino-butyric acid、ガンマ-アミノ酪酸、γ-Aminobutanoic acid |
体系名: | γ-アミノブタン酸、γ-アミノ酪酸、4-アミノブタン酸、4-アミノ酪酸 |
γ-アミノ酪酸
英訳・(英)同義/類義語:gamma-aminobutyric acid, GABA , gamma-aminobutyric acid, gamma-aminobutyric acid, GABA
哺乳動物の抑制性神経伝達物質で、グルタミン酸の脱炭酸によって作られる。
GABA(γ-アミノ酪酸)
GABAはgamma-aminobutylic acidの頭文字をとったもので、「ギャバ」と呼ばれています。1950年に哺乳類の脳から発見されたたんぱく質を構成しないアミノ酸の一種です。その後の研究で動植物界に広く分布していることがわかっています。高等動物においては、抑制性の神経伝達物質として機能していることが知られています。また、脳機能改善効果や高めの血圧を改善する作用なども認められており、これを利用した医薬品・食品も開発されています。血圧は交感神経の活動が高まると上昇しますが、GABAはこの交感神経の亢進を抑え、血圧の収縮に働くノルアドレナリンの分泌を抑えることにより血圧を低下させることが考えられています。GABAを産生する能力を持つ乳酸菌を利用して調製された発酵乳製品は、血圧が高めの方に適した「特定保健用食品」として承認されています。
γ-アミノ酪酸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/25 09:21 UTC 版)
γ-アミノ酪酸 | |
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4-aminobutanoic acid | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 56-12-2 ![]() |
PubChem | 119 |
ChemSpider | 116 ![]() |
UNII | 2ACZ6IPC6I ![]() |
EC番号 | 200-258-6 |
DrugBank | DB02530 |
KEGG | D00058 ![]() |
MeSH | gamma-Aminobutyric+Acid |
ChEBI | |
ChEMBL | CHEMBL96 ![]() |
1067 | |
RTECS番号 | ES6300000 |
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特性 | |
化学式 | C4H9NO2 |
モル質量 | 103.120 g/mol |
外観 | 白色の微結晶粉末 |
密度 | 1.11 g/mL |
融点 |
203.7 °C, 477 K, 399 °F |
沸点 |
247.9 °C, 521 K, 478 °F |
水への溶解度 | 130 g/100 mL |
log POW | −3.17 |
酸解離定数 pKa | 4.23 (カルボキシル), 10.43 (アミノ)[1] |
危険性 | |
主な危険性 | 刺激性、有害 |
半数致死量 LD50 | 12,680 mg/kg (マウス, 経口) |
関連する物質 | |
関連物質 | β-アラニン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
γ-アミノ酪酸(ガンマ-アミノらくさん、gamma-Aminobutyric acid)または4-アミノ酪酸(IUPAC名 4-aminobutanoic acid)は、アミノ酸のひとつで、主に抑制性の神経伝達物質として機能している物質である。
アミノ酪酸にはアミノ基のつく位置によりα-、β-、γ-の3種類の構造異性体が存在するが、γ-アミノ酪酸は、そのうちのひとつである。英語名の γ(gamma)-aminobutyric acid の頭文字をとった略称 GABA(ギャバ)が一般的に広く用いられている。
機能
脊椎動物の中枢神経系では、主に海馬、小脳、脊髄などに存在し、また節足動物・甲殻類でも神経伝達物質として用いられている(下の項目を参照のこと)。シナプスでは、シナプス前膜から放出され、後膜の膜上にあるGABAに対するGABA受容体タンパク質と結合して作用を発揮する。GABAは、脳内でグルタミン酸のα位のカルボキシル基がグルタミン酸脱炭酸酵素との反応により除かれることによって生成される。
γ-アミノ酪酸と結合するGABA受容体としては3つのサブタイプが知られており、それぞれGABAA受容体、GABAB受容体、GABAC受容体と呼ばれている。
神経伝達物質として
グルタミン酸が基本的に興奮性の神経伝達物質であるのに対し、GABAは基本的に抑制性の神経伝達物質である。GABA作動性のニューロンとしては大脳基底核の線条体からの投射ニューロン(中型有棘細胞)や、小脳のプルキンエ細胞などがある。
薬理学
GABA受容体のアゴニストないし、GABAの量を増加させる薬は、主として鎮静、抗痙攣、抗不安作用を有している。この種の薬はしばしば健忘を引き起こす。
GABAは血液脳関門を通過しない物質であることがわかっており、体外からGABAを摂取しても、それが神経伝達物質としてそのまま用いられることはない。血圧を低下させる作用からか抑制系の反応が現れることもある[注釈 1]。また線虫では興奮性の神経伝達物質として機能することも明らかとなった[2]。
ラットにおいては、GABAはノルメラトニン(メラトニンの前駆体)への異化作用を増強した[3]。このようにメラトニンの合成に関与しているため、GABAには睡眠や生殖機能の調節効果があるかもしれないと推測されている[4]。
GABA作動薬
GABA受容体に影響を及ぼす薬としては以下のものが挙げられる。
- GABA-A 受容体リガンド
- GABA-B 受容体リガンド
- GABA再取り込み阻害剤:デラムシクラン、ハイパーフォリン、チアガビン
- GABAトランスアミナーゼ阻害剤:バルプロ酸ナトリウム
- GABAアナログ:プレガバリン、ガバペンチン
脚注
注釈
出典
- ^ Data for Biochemical Research. Oxford: Clarendon Press. (1959)[要ページ番号]
- ^ Beg, A. A.; Jorgensen, E. M. (2003). “EXP-1 is an excitatory GABA-gated cation channel”. Nat. Neurosci. 6 (11): 1145-1152. doi:10.1038/nn1136. PMID 14555952.
- ^ “The influence of GABA on the synthesis of N-acetylserotonin, melatonin, O-acetyl-5-hydroxytryptophol and O-acetyl-5-methoxytryptophol in the pineal gland of the male Wistar rat”. Reproduction, Nutrition, Development 23 (1): 151–60. (1983). doi:10.1051/rnd:19830114. PMID 6844712.
- ^ “Sexually dimorphic modulation of GABA(A) receptor currents by melatonin in rats gonadotropin–releasing hormone neurons”. J Physiol Sci 58 (5): 317–322. (2008). doi:10.2170/physiolsci.rp006208.
関連項目
外部リンク
- γ-アミノ酪酸(ギャバ) - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所)
- Gamma-Aminobutyric Acid - スカラーペディア百科事典「γ-アミノ酪酸」の項目。
- GABA - 脳科学辞典
- GABA受容体 - 脳科学辞典 γ-アミノ酪酸受容体に関する解説。
- 小胞GABAトランスポーター - 脳科学辞典
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