今年もやります。
2024年のCD/DVD販売レンタル界隈で起きた様々なこと、ブログやXで既に触れているものも多いですが、その中から10大ニュースを決めてみました。
■五番街、破産
古くから東武池袋百貨店で営業してきたCDショップ五番街。
クラシック、ジャズから流行歌まで、オールラウンドな品揃えを継続しつつも近年は規模を縮小、演歌を主戦力として営業してきましたが、8月5日に閉店、破産の宣告を行いました。
■山野楽器銀座本店、CD販売終了
1892年、鍵盤楽器の製造販売業として設立され、1920年頃までには蓄音機の取扱いと共にレコードの取り扱いも開始。現在に至るまでアナログ・CDを販売してきました。
「同じ場所で継続して営業している日本最古のレコード店」でしたが、7月31日を以ってCD/DVD等のソフト販売を終了、蓄音機取り扱い以前の純粋な「楽器店」に戻りました。
他の山野楽器の支店ではまだCD売ってます。
■バンダレコードの具合が悪くなる
バンダレコードは元々は所沢駅前プロペ通り商店街に本店を構える中堅CDショップチェーンでしたが、2014年に北海道拠点の玉光堂によって吸収合併されました。
それ以降もそのまま主に2つの屋号で営業を続けてきたのですが、何か今年バンダレコードばっかり閉店しています。
02/25:バンダレコード イオンモール富谷店
02/29:バンダレコード 新所沢パルコ店
05/22:バンダレコード LIVIN田無店
08/21:バンダレコード イトーヨーカドー赤羽店
08/31:バンダレコード イオン板橋店
08/31:バンダレコード イオンモール名取店
玉光堂の閉店は1店舗だけでしたので、この差が気になります。
北海道はまだCDが売れているのでしょうか。よくわかりません。
■MUSIC SHOP BIG、残り僅かに
CDの卸会社、かつてはたくさんありましたが、小売店の減少と共に卸も減少、現状CD/DVD専業の卸会社は小規模な会社がいくつか残っているだけで、大きなチェーンは独自で卸の子会社を持って対応したりしているところもあります。
で、小売店が減ると当然卸も困りますので、卸会社が主導する形で「商業施設内で閉店したCD店の跡地に主に居抜きで新規CD店をオープンさせる」動きがありました。
ミュージックショップBIG/メディアステーションBIGは、そういう形で新星堂の跡とかタワーレコードの跡とか個人経営のCD店の跡地に次々に出店して全国に店舗網を形成し、多い時には全国で30店舗を越えていたのですが、居抜きで入った店も徐々に閉店し、更に新たに開店しようにも、BIGが新規オープンするためには閉店する既存CD店が必要で、もうそれすらも減るところまで減った今、もう新規オープンできません。
そのようにしてBIGの店舗は徐々に減り、2024年末の段階で山梨県のイオンモール甲府昭和店と、三重県のイオンモール津南店の2店舗に。
そして今月末にはイオンモール甲府昭和店の閉店が決定。いよいよという感じになってまいりました。
■TSUTAYAになったフタバ図書の間引き、始まる
広島市を拠点として、書籍販売ととCD/DVDのレンタル・販売も行う総合書店型の店舗を出店しまくり、長らくTSUTAYAとバチバチの喧嘩をしていたフタバ図書ですが、粉飾決算等の自業自得もありつつ、2020年に事業再生ADRの申請を行い、その結果TSUTAYAも出資する形で再出発しています。
結果、屋号にもTSUTAYAが入る形になったものの、実際の店舗の看板をかけ直すことはほぼなく、見た目は割とそのまんまで営業を継続していましたが、営業状況についてはより一層シビアに見られることになったためか、「旧フタバ図書」の店舗が割とばりばり閉店しました。
01/08:フタバ図書 TSUTAYA GIGA福岡春日店
05/31:フタバ図書 TSUTAYA GIGA呉駅レクレ店
08/31:フタバ図書 TSUTAYA GIGA 与野本町店
10/14:フタバ図書 TSUTAYA 八本松店
十数年前、CCCがすみやを吸収した際にも同様の事象がありまして、既視感あります。
■ブックセンターいとう、ドラマがほぼ消滅
東京都西部から神奈川県相模地域にかけての辺り限定の話ですが、かつてその地域の住民はTSUTAYAでもGEOでもBOOKOFFでもなく、「CD/DVDレンタルはドラマ、中古マンガ/CDの購入はブックセンターいとう」という方々が割と多くいらっしゃったかと思います。
ローカルチェーンとして割と強力だった2つのチェーンですが、ドラマは当然のように、ブックセンターいとうは総合リユース業への転換が遅れてうまくいかず、双方シオシオに。
ドラマは2024年1月のドラマ 二本松店の閉店を以って残る「レンタルサービス」実施店舗は淵野辺店のみに(トレカ・古着・アミューズメント等の店舗は継続)。
ブックセンターいとうは、1月の立川西砂店、2月の日野店の閉店を以って全店閉店と相成りました。
■ゲオの閉店ペースが容赦なくなる
TSUTAYAが毎年100店舗以上を閉店する中、ゲオの閉店ペースは割とゆっくりで、2022年、2023年はそれぞれ30店舗ほどで、かつ2022年までは年間数店ではあるものの、新規でゲオ店舗をオープンさせてもいて、現状「日本一の店舗網を持つDVDレンタルチェーン」はTSUTAYAではなくゲオとなっています。
が、セカンドストリートという現状のメイン業態に支えられていても、さすがにしんどくなった模様です。
2024年の閉店はここまでの2倍の約60店舗。割と飛ばしてきましたが、今年も多分それくらい逝くのだろうなと思います。
■CDレンタル、1000店舗割れどころじゃない
TSUTAYA、ゲオとも閉店まではしなくても、レンタルだったエリアを縮小し、雑貨やらトレカやらの「まだ儲かる」商品に置き換える動きがあちこちの店舗で見られます。
中でも一番減らされているのがCDレンタル。
今年1月の段階でTSUTAYA/ゲオでCDレンタルを行っている店舗の合計が1000店舗を切ったことを確認しましたが、年末の時点で改めて確認したところ760店舗でした。
割とスピード感のある減りっぷりです。
ちなみにDVDをメインに扱わない「CDレンタル専業」の形の店舗は2021年の大阪・K2 RECORDSの閉店を以って日本から消滅している、はずです。
■タワーレコード、新店舗オープン
そんな状況下、それでもタワーレコードが8月に海老名市、9月に名古屋市に新店舗をオープンさせるという暴挙に出ています。
近年のボーイズグループ等の隆盛と、その一部を除いたほぼ全てが「CDの複数枚買い」上等のビジネスモデルであることで、日本におけるCD販売はまだ店舗がギリ成立するくらいには維持されていますので、そういう部分の売り上げを最大化しようと、商業施設内のイベントエリアでのミニライブやそれに伴う販売会を大きな目的としての店舗展開と思われます。
■タワーレコード、中古CD販売&マーケットプレイス開始
そんなタワーレコードですが、確認できた限りでは渋谷店と新宿店で中古CDの販売を9月に開始、また10月には一般の人間が手持ちのCD/レコードを販売できるプラットフォームであるところのマーケットプレイスを開設しています。
中古盤販売には、新譜CDのカタログ数が減少を続ける中、店舗スペースの空きを何とするという方針もありそうですが、全体として見れば、新規/中古、CD/アナログ、リアル/ネット等、円盤の全ての流通チャネルに噛んでいくことで、総体としての売上を最大化する目的なのだろうなあ、とは思います。
で、今年どうなるのかという点ですが、CDレンタルはごく一部を除いて全部なくなってももう何もおかしくないですし、正味特にゲオなんかは直営がほとんどですので「もうゲオやめます」と言って全店速攻で閉めても全く不思議ではありません。
まあ、景気のいい話が今年もひとつくらいはあるといいな。