概要
そこは、敷地内のすべてが即興劇の舞台になったテーマパークだった。
趣味を持たない少年、須堂透利。
進むべき道に悩む少女、真柳日夏。
――二人の出会いは、即興劇から始まった。
演劇とリアルが交錯する、青春ラブコメディー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!この物語は拡張されたエチュードだ
演劇の稽古に「エチュード」というものがあります。
この語はフランス語で、英語の「スタディー」に相当するのですが
演劇では、表現力の稽古として重要視されている方法で、つまり「即興」のことです。
映画やTVドラマとは違って、演劇は、観客の前でおこなう〈生モノ〉、舞台の上では常に何が起こるかわかりません。だから、稽古でエチュードを行うのです。
そして、実際の本番において、部分的に役者が「エチュード」で遊ぶ芝居もあります。
さて、この物語は、まさに「エチュード」そのもの、しかも、部分的ではなく、全てが「エチュード」なのです。
だから、どんな風に展開するのか、作中人物たちにも読めない。
つまり、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!夢、希望、痛み、恋……青春のすべてがつまった即興劇エンタメ小説
最近、テレビや動画などで即興劇が話題になっているのを見かける機会が増えた気がします。
こちらは、まさに旬の即興劇をテーマにした青春物語です。
特筆すべきは、この物語が二重の構造になりながら、少しも一体感を失わず、むしろ上手にリンクさせながら骨太な物語を作り上げていること。
舞台上での即興劇。そして、舞台を降りたところで繰り広げられる現実の物語――。この二つの場面を同時進行で描き分けながら、しかも乖離することなく、しっかりと編み上げているところに、作者様の確かな力量を感じました。
また、内容も素晴らしいです。
思春期特有の痛みもありながら、心の傷を仲間と分かち合い、共に乗り越えるうちに新た…続きを読む - ★★★ Excellent!!!即興劇のテーマパーク! 即興シネマパークへようこそ!
この作品を拝読してまず思ったのはオリジナリティがすごいということです。
即興劇がテーマの作品なのですが、皆さま即興劇を御覧になった事はありますか?
即興劇とは台本無しの演劇です。
物語の展開は全て演者に委ねられ、一人一人の演者の行動如何によってストーリーが大きく変化していく。演者は空気を読んで流れにそうのもアリですし、自身が新しい潮流を作り出すのもアリ、みんなで個性豊かなオンリーワンの物語を作り上げていくそれが即興劇の醍醐味かもしれません。
本作は即興劇のテーマパーク『即興シネマパーク』を舞台として、様々な人間模様が描かれます。夢を乗せて演じる者もいれば、演技に救いを求める者、楽しく演じたい…続きを読む