• 異世界ファンタジー

『汝、暗君を愛せよ』完結によせて

 昨日(2024年12月29日)『汝、暗君を愛せよ』最終話を投稿しました。これで全編完結となります。
 6月から連載を始めて約6ヶ月と短い間ではありましたが、ご愛読いただいた読者の皆様に心から御礼申し上げます。

 この作品において(他の作品もですが)意識したのは、読者の方にとにかく「楽しんでもらう」ことでした。そしてもう一つ欲張るならば、色々な角度から読める奥行きのあるお話にしたいとも考えていました。目標を達成できたかどうか自分には分かりません。ただ上手くいったのだと信じることにします。

 連載中より非常に多くの方に読んで頂けたことは望外の喜びでした。より正確には衝撃を感じました。
 自身の感覚では『暗君』は地味なお話です。分かりやすい盛り上がりどころもなければ主人公が達するべき目的もはっきりせず、キャラクター単体に強い魅力があるかというとそれも怪しいものです。よって当初は現実の友人、あるいは偶然目を留めてくれた5人から10人ほどの読者の方に届けばよいと考えていました。
 それが運良く多くの人の目に触れることとなり、気がつけば「小説家になろう」では150万PV、「カクヨム」では50万PVが見えるところまで来ました。PVがユニーク読者数ではないことは承知していますが、それにしても現状で合計190万回、誰かに、確かに、どこかのページを開いてもらったのです。これは信じがたいことです。
 時間を消費する娯楽を小説の形態に限定しても、世の中には膨大なプロ作家の本が既に存在します。アマチュアの世界に絞り、上記2投稿サイトのみを対象としてさえ、さらに何万、何十万と素晴らしい作品が掲載されています。そんな無限に近い候補の中から自作が選択され、読者の皆さんの貴重な時間が10分であれ1時間であれ消費されたことは、ほとんど奇跡に近いことです。正直に、単純に、その奇跡を喜びたいと思います。

 自分の考えたキャラクターと彼らが織りなす物語が見ず知らずの他者の心内に残ることの素晴らしさは、どれだけ言葉を重ねても言い表せないほどです。作中主人公が「思想を乗せる船」を語る場面は自身の感動を背景に書きました。
 このような体験はなかなかできるものではありません。相手が一人であれ、千人であれ。
 ご愛読下さった皆様に重ねて御礼申し上げます。

 いつかまた何かを書きたくなることがあるかもしれませんが、その時にもしお暇でしたら、少し立ち止まってお目通し頂けると幸いです。

6件のコメント

  • 「汝、暗君を愛せよ」は、カクヨムで出会った中でもとりわけ素晴らしい作品の一つだと思っています。
    何らかの賞をお取りになられて、書籍化されれば良いですが、さもなくば同人ででも紙の書籍になってほしいなあと夢想する日々です。

    幸運が、作品と作者に訪れることをお祈りしております。
  • お疲れ様でした。
    偉大な王、そして苦労性の庶民であり、偉大な導き手の物語を見送るにはまだまだ名残惜しいですが、それはそれとして無事の完結おめでとうございます。
    次回作を首を長くしてお待ちしています。
  • 個々にコメントを返せない仕様のようなのでこのような形で失礼します。

    妄想 殿下さん
    過分のお言葉を頂戴し、とてもありがたく思います。いつか何らかの形で本になればいいなと思います。

    @shizumiさん
    ありがとうございます!
    色々な内容を詰め込んだお話でしたが、その一つ一つをお楽しみいただけてとても嬉しいです。
    次回作は…頑張ります!
  • とても楽しく読ませていただきました。労基労基と言っている庶民が王として腹を括る瞬間を、そして、誰かを看取ったことがあるかの如く語られる最期のリアリティを。
    僕もこんな話を書けるようになりたいなぁという憧憬と嫉妬の入り混じった思いを抱きながら読みました。今まで読んだカクヨムなろうの数十作のの中でも五指に入る素敵な物語でした。本当にお疲れ様です。
    寒さ続く折、ご自愛ください。
  • たった今読みおわっったところです。
    傑出した作品のひとつでした。とても楽しく、夢中になって拝読しました。構成も語彙も非常に練り上げられた作品で、
    きっと愛読書になると思います。
    またくりかえし折に触れ、読み返します。

    どうぞご自愛の上、また気長にゆっくりとお心のままに、ご執筆を
    お願い申し上げます。 取り急ぎ
  • 個々にコメントを返せない仕様なのでこのような形で失礼します。

    @epiplecticさん
    第1部1章から第2部3章までの変化、あるいは落差を感じていただけてとても嬉しいです。ご愛読ありがとうございました!

    碧ゆう30さん
    構成についてはまさにこだわったところでしたので、そこを楽しんでいただけてよかったです。ご愛読ありがとうございました!
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する