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XNORゲート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
入力 出力
A B A XNOR B
L L H
L H L
H L L
H H H

XNORゲート(エックスノアゲート)は、否定排他的論理和論理ゲートである。右に真理値表を挙げる。2入力の場合、入力の片方がHighで、かつ、もう片方はLowのとき、Lowを出力する。入力が両方Highまたは両方Lowのときは、Highを出力する。メーカー等によってはENORゲートまたはExNORゲートとも呼んでいる。出力が、これの反転になるものをXOR等と呼ぶ。

否定排他的論理和は2を法とする(繰り上がりを無視した)加算と同じものである。すなわち、半加算器には加算結果とキャリーの2つの出力があるが、そのうちの加算結果はXOR(と同じ)である。XNOR(否定排他的論理和)の積和標準形である。

XNORの通常の出力の他、入力のうちのどちらか片方をそのまま(またはその反転を)出力する2入力2出力の演算は、制御NOT(CN)と呼ばれる可逆計算になる。

記号

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ANSIMIL論理記号)、IECDIN(2種)での記法を以下に示す。

MIL/ANSI 記号 IEC 記号 DIN 記号(1) DIN 記号(2)

ハードウェアの解説とピン配置

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論理の方式にもよるが、XNORは単純には実装できないことが多い(たとえばCMOS論理では、2入力のNANDゲートNORゲートは4個のトランジスタで直接単純に実装できるが、XNORを4個のトランジスタで実装するのは困難である)。しかし基本論理の組み合わせで作るのは少々煩雑であり、回路的な工夫(後述)もあることから、TTLやCMOS論理の汎用ロジックICにはXNORゲートがラインナップされている。74シリーズでは7486、4000シリーズでは4070(4030の代替)に、2入力XNORゲートが4個入っている。ピン配置はいずれも同じである。DIPパッケージ品やフラットパッケージ品がある。

実装

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排他的論理和はそれぞれの入力に対して対称で、XNORを変形して双対でもある出力が反転したXORを作ることも簡単だが、以下ではそういったバリエーションについては省略する。

CMOS論理の基本的な方式に従った場合、2個の入力AとBそれぞれの反転のために2個ずつ4個のトランジスタと、次の図のような8個のトランジスタの、計12個のトランジスタによって実装できる。

CMOSでは、NORゲートとAND-OR-Invert(en:AND-OR-Invert)複合ゲートによる10トランジスタの実装もある。

通常の構成のゲートではなく、論理値が「通り抜ける」ゲート(詳細は英語版記事 en:Pass transistor logic および en:Transmission gate を参照)を使うと、より効率よく実装できるかもしれない。以下はそのような、6個のトランジスタによるCMOS ICへの実装の1例である(図中の4個と、入力の片方の反転のために2個)。 (入力が電気的に(アナログ的に)出力に直接繋がってしまうのを避けたい場合は、XORの出力をNOTで反転し8トランジスタとする)

後述するようにXNORは加算器でもあるため、コンピュータの高性能化のために他にも種々の手法が研究されている[1]

XNORの積和標準形ANDゲートORゲートNOTゲートで構成した場合、3種類の論理ゲートが計5個必要である。

NANDゲートのみの場合NANDゲート5個、NORゲートのみの場合は4個で構成できる。

NANDゲートのみで構成したXNORゲート
NORゲートのみで構成したXNORゲート

電灯のオンオフを、3路スイッチと呼ばれるスイッチを利用して、2ヶ所から切り替えられるようにする配線方法があるが、これも一種のXNORの実装である。

3以上の入力への拡張

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と表現した時、のように拡張するのが自然である。これはXNORゲートのカスケード、つまり、最初に2入力のXNORゲートがあり、その出力と3番目の入力を次のXNORゲートの入力とする。さらに入力を増やす場合はこれを次々と連結した形で構成する。こうすると、HIGHとなっている入力が奇数個のときHIGHを出力し、HIGHとなっている入力が偶数個のときLOWを出力する回路となる。このような回路はパリティ生成器、あるいは2を法とする加算器として利用できる。74LVC1G386 はそのような3入力XNORゲートである[2]。ただし大きなワードのパリティ生成など規模が大きい場合は、遅延を考慮するとトーナメント式に並列進行するほうにしたほうが良い。

XNORを多入力に拡張したものとしては、0になっている入力が1個の時のみ1、あるいは1になっている入力が1個の時のみ1、といったものも考えられるが、そのような拡張は、自然な2項演算の組み合わせとしての解釈が不可能である。bit populationの一種になる。

加算器での使用

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半加算器の回路例

XNORゲートは1ビット加算器として機能する。すなわち、2つのビットを加算した結果の1ビット目が得られる。2ビット目の桁上がり(キャリー)は加算する2つのビットが1の時であるからANDゲートによって得られる。したがってXNORゲートとANDゲートを使って半加算器を構成できる。

脚注・出典

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関連項目

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