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PC-8200シリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

PC-8200シリーズは、日本電気が発売していたパーソナルコンピュータのシリーズである。「シリーズ」と名付けられているが、日本国においては1機種のみの発売だった(日本国外では、PC-8201の国外仕様であるPC-8201Aの他に、後継機のPC-8300も存在する)。日本電気の特約店(NECビットイン、NECマイコンショップ)のほか、日本電気ホームエレクトロニクスの家庭電化商品の販売ルートで販売された。

PC-8000シリーズPC-8800シリーズの中間に位置づけられ、A4サイズのハンドヘルド型本格ビジネスパソコンとして展開された。まだノート型パソコンが存在しなかった当時におけるノートPCに相当する役割の製品だった。

PC-8201

PC-8201

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1983年3月に発売。標準小売価格は138,000円。

A4サイズのハンドヘルドコンピュータで、液晶ディスプレイキーボードが一体となっている。本体の色はアイボリーホワイト、ワインレッド、メタリックの3種類。

液晶ディスプレイはかなり横長で、グラフィックは最大240×64ドット、テキストは40文字×8行。

キーボードは標準的なJIS配列。ただし、本体のサイズが小さいためかテンキーがないのはもちろんのこと、「ロ(ろ)」のキーが最下段にはみ出ていたのが特徴的だった。

簡易英文ワードプロセッサ(機能名TEXT)をROMで搭載。また電話機を取り付けることでデータ通信(機能名TELECOM)が可能だった。

電源はACアダプタ、Ni-Cd電池パックの他に、PC-2001と同様に単3乾電池4個でも稼働する点が特徴。

元は京セラOEMで、日本国外ではTandy社のTRS-80 Model 100、OlivettiのM-10として発売された。またPC-8200シリーズとしても、PC-8201Aという日本国外仕様のモデルが発売されている。

仕様

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  • CPU 80C85(8085のCMOS版)2.4MHz
  • ROM 標準32Kbytes(最大192KB,本体内に64Kbytesまで拡張可能)[1]
  • RAM 標準16Kbytes(最大96KB,本体内に64Kbytesまで拡張可能)[1]
  • 画面解像度 テキスト:40桁x8行、グラフィック:240x64ドット[1]
  • BASIC N82-BASIC(N-BASICをベースとしてコマンドとステートメントの追加と削除が行われている)[2]
    • 削除された主なコマンド、ステートメント(AUTO、CONSOLE、SWAP、TRON、TROFF、LINE、MON)[2]
    • 追加された主なコマンド、ステートメント(BLOAD、BSAVE、EDIT、SOUND)[2]
    • N-BASICで作成、テープにSAVEされたプログラムをN82-BASICでLOADすることができた(削除されたコマンドやステートメントは "*PC*" で置き換えられた[3])
    • プログラムを修正する時、N82-BASICモードからEDITコマンドでTEXTモードに移行する必要がある。TEXTモードからN82-BASICモードに戻るには、F・10(ファンクションキー10)を押す[4]
  • インタフェース
    • フロッピーディスク(インタフェースPC-8233を介してPC-8031-1WまたはPC-8031-2Wと接続可能[1]。その他の接続可能なディスクユニットは#主な周辺機器のPC-8233 FDD I/Fユニットの項を参照)
    • シリアルI/O(ディスクユニット,RAMファイル接続用)
    • バーコードリーダ(HP社のインターフェース仕様になっており、NEC製RC-8201の他、HP社製も接続可能[1]
    • プリンタ
    • RS-232C
    • CMT(600ボー
    • システムスロット(ROM/RAMカセット,CRTインタフェースPC-8240接続用)
  • バッテリ駆動時間 マンガン電池使用時:6時間,アルカリ電池使用時:18時間
  • バッテリバックアップ RAM16KB:26日以上,RAM64KB:7日以上[2]
  • 外形寸法 300(W)×215(D)×35〜61(H)mm(キーボード側が35mm、ディスプレイ側が61mm)[1]
  • 重量 1.7kg
PC-8300

主な周辺機器

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  • PC-8201-01 漢字ROMカートリッジ
  • PC-8201-06 増設RAM(容量8KB)
  • PC-8201-90 Ni-Cd電池パック
    • 本体裏の乾電池用スペースに装着して使用
    • 連続稼働時間5.5時間(常温時)
  • PC-8205 ROMカートリッジ(容量128KB)
  • PC-8206 RAMカートリッジ(容量32KB)
  • PC-8233 FDD I/Fユニット
    • 本体背面のFDコネクタに接続して使用
    • 接続可能なミニディスクユニット(PC-8031-1W, PC-8032-1W, PC-80S31, PC-80S32, PC-8031-1V, PC-8031-FDI)[5]
    • PC-8201とは19200bpsのシリアル転送。ディスクユニットはパラレル接続
  • PC-8240 CRTアダプタ
    • CPU: μPD780C-1(Z80-A互換)4MHz
    • テキスト表示: 横40文字または80文字、縦20行または25行、モノクロまたはカラー8色
    • グラフィック表示: 640×200ドットのモノクロ/アトリビュートカラー表示、または320×200ドットの4色カラー表示
    • JIS第一水準漢字ROMボード(PC-8001mkII-01)を装着してCRTに漢字表示が可能
  • PC-8246 バーコードリーダー
  • PC-8268 パーソナルカプラ(バッテリ駆動、300bps、全二重)
  • PC-8269 インテリジェントテレホン(モデム内蔵)
  • PS82-1014 簡易日本語ワードプロセッサ(ROMカートリッジ)
    • JIS第一水準漢字と編集ソフト(32KB ROM)と単漢字変換辞書(32KB ROM)を内蔵
    • RAMファイル16KBを標準搭載。32KBに拡張可。
    • テキストは全角文字12文字×3行表示で、画面の右側はレイアウト表示、最下行はファンクション表示と漢字変換に使用される
    • 作成した文章データをモデム(RS-232C)経由で上位機種(文豪シリーズ)に転送が可能

PC-8201の姉妹機及び後継機

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日本国外では、TRS-80 Model 100が姉妹機で、アーキテクチャはかなり近いものの、インターフェイスには違いがある。両者はどちらも、京セラがハードウェアの設計と製造を担当した。また、日本国ではPC-8201の直接の後継機は出なかったが、日本国外においてはPC-8300という後継機が出た。また、PC-8200シリーズの後継的シリーズとして、ROM-BASICを廃しCP/M80を搭載したPC-8401(Starlet)およびPC-8500という機種も出ている。

PC-8201やこれら後継機の開発の経験が、後のPC-98LT、さらには98NOTEの開発へと繋がっている。そのためか、PC-98LTのデザインはPC-8401や8500に酷似している。

脚注

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  1. ^ a b c d e f ASCII 1983年2月号, p. 80.
  2. ^ a b c d ASCII 1983年2月号, p. 81.
  3. ^ ASCII 1983年2月号, p. 81-82.
  4. ^ ASCII 1983年2月号, p. 82.
  5. ^ ASCII 1983年9月号, p. 4.

参考文献

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  • 「ASCII 1983年2月号」第7巻第2号、株式会社アスキー出版、1983年2月1日。 
  • 「ASCII 1983年9月号」第7巻第9号、株式会社アスキー出版、1983年9月1日。