高坂希太郎
こうさか きたろう 高坂 希太郎 | |||||||||||
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生年月日 | 1962年2月28日(62歳) | ||||||||||
出生地 | 日本 神奈川県 | ||||||||||
職業 |
アニメーター アニメ監督 | ||||||||||
ジャンル |
テレビアニメ アニメーション映画 | ||||||||||
活動期間 | 1979年 - | ||||||||||
事務所 | スタジオアウトリガー | ||||||||||
主な作品 | |||||||||||
監督 『茄子 アンダルシアの夏』 『若おかみは小学生!』 | |||||||||||
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高坂 希太郎(こうさか きたろう、1962年2月28日 - )は、日本のアニメーター、アニメーション監督。神奈川県出身。埼玉工業大学深谷高等学校卒業。スタジオアウトリガー所属。
来歴
[編集]父親が絵描きだったので、絵を描いたり見たりする環境が近くにあり、学校でも授業そっちのけでずっと絵を描いていた[1]。
アニメ業界の仕事に携わり始めたのは高校生の頃。『未来少年コナン』などの宮崎駿や高畑勲などが手掛けた面白い作品が次々とテレビで放映されているのを観て「自分もアニメの仕事に携わりたい」と思うようになり、自らが描いた絵を持ってアニメーションスタジオ、オープロダクション[注 1]の門を叩いた[1][2]。高校の夏休みと冬休みを利用してアルバイトをさせてもらい、卒業後、そのままオープロダクションに入社する[1][2]。
1986年にフリーに転身、以降は多数の名作アニメの原画を担当する[1]。スタジオジブリを拠点として活動しつつ、マッドハウス作品にもキーアニメーターとして参加する[1]。
1993年、マッドハウスの丸山正雄のプロデュースにより、OVA『A-Girl』で監督デビュー[3]。別冊マーガレット(集英社)で連載されていたくらもちふさこの同名漫画が原作で、「マーガレットVIDEO」シリーズの第6弾として1993年に制作された[3]。ミュージッククリップ仕立てとなっており、セリフのほとんどをテロップで表現した異色作であった[3]。
1999年、監督を務めたCLAMPの漫画原作の短編『CLOVER』が『劇場版カードキャプターさくら』との併映で劇場公開された。
2003年、自身の趣味でもあった自転車レースの世界を描いた劇場アニメ『茄子 アンダルシアの夏』を監督[5]。黒田硫黄の漫画が原作の映画である同作は、第56回カンヌ国際映画祭の監督週間に出展された。
2014年、単独で作画監督を担当した宮崎駿監督の『風立ちぬ』[注 2]で東京アニメアワードフェスティバル2014の個人部門でアニメーター賞を受賞した[7]。
2018年、児童文学のベストセラーをアニメ化した『若おかみは小学生!』で15年ぶりに劇場作品を監督した[5]。同作はフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭2018で長編コンペティション部門に出品された[8]。この作品の頃はアニメ「秘密結社鷹の爪」などで知られるコンテンツ制作会社「DLE」に所属していた[5]。
2022年8月28日、宮沢賢治の多様な魅力を探るイベント「イーハトーブフェスティバル2022」において、高坂自身が自転車で夏の花巻を巡って心に広がる花巻の風景を絵日記で記したドキュメンタリー「イーハトーブの地図〜心に映る風景〜」が上映された[9]。
人物
[編集]数多くの名作アニメに参加した日本有数のトップアニメーター[2]。原画として多くのキャリアを積んだ後、1990年代から2010年代のスタジオジブリ作品のほとんどに作画監督として参加し、同スタジオを支える中心的存在となった[2][5]。宮崎駿監督からの信頼も厚く、同監督が「最後の長編映画」としていた『風立ちぬ』では単独で作画監督を担当している[2][5]。高畑勲監督とはTV版『じゃりン子チエ』、『火垂るの墓』、『平成狸合戦ぽんぽこ』などでともに仕事をした[5]。
またジブリ作品以外でも、マッドハウスの手掛けた浦沢直樹の漫画原作のテレビアニメ『YAWARA!』『MASTERキートン』などで、作画面の中心スタッフとして活躍した[2]。『MONSTER』アニメ化の際は、『MASTERキートン』でのキャラクターデザインと作画監督の仕事に感銘を受けた原作者の浦沢の指名で、キャラクター原案を担当している[2]。
自他共に認める無類の自転車好きとして知られている[2]。2003年にスペインの自転車レース、ブエルタ・ア・エスパーニャを扱った『茄子 アンダルシアの夏』で映画監督デビューしたが、自身も第3回Mt.富士ヒルクライムのアスリートクラスで3位入賞するほどの自転車乗りで、「アニメ界最速の男」の異名も持つ[2]。アニメ業界の自転車好きが集うイベント、スタジオジブリ主催の「ツール・ド・信州」では、毎年のように1位を獲得していた[2][10]。
大の宮崎アニメファンであるが[11]、「宮崎駿の一番弟子」と言われることについては否定している[5]。
宮崎駿からは「モンチ」の愛称で呼ばれている[12]。理由はサルのモンチッチに似ているからとの事である。
自他共に認める『水曜どうでしょう』(北海道テレビ放送制作のバラエティ番組)の大ファンであり、『茄子 アンダルシアの夏』には出演者の大泉洋を主演の声優に抜擢。シリーズ2作目では『水曜どうでしょう』のディレクターの藤村忠寿と嬉野雅道も声優として起用した。また、『どうでしょう』好きが高じ、『水曜どうでしょう』DVD第10弾のオープニングCGを数ヶ月かけ制作。製作過程では日帰りで北海道まで行き、実際に自らonちゃんの着ぐるみに入りビデオを撮って資料にした。あまりに安田顕の入った着ぐるみonちゃんの動きをリアルかつ忠実に再現したため、同DVD副音声でディレクター陣に「まるで実写」と言わしめた。その関係で、同局の番組で大泉も出演する『ドラバラ鈴井の巣』の「VS・禁断の解決企画」で特別審査員としてゲスト出演する。
主な作品
[編集]監督作品
[編集]劇場映画
[編集]- 1999年 - CLOVER[注 3](監督)
- 2003年 - 茄子 アンダルシアの夏(監督・脚本・キャラクターデザイン・作画監督)
- 2018年 - 若おかみは小学生!(監督・絵コンテ・演出)[13]
OVA
[編集]- 1993年 - A-Girl(監督・キャラクターデザイン・作画監督)
- 2007年 - 茄子 スーツケースの渡り鳥(監督・脚本・キャラクターデザイン)
ドキュメンタリー
[編集]- 2022年 - イーハトーブの地図〜心に映る風景〜(監督・出演)
参加作品
[編集]- 1981年 - さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅(動画)
- 1981年 - Dr.スランプ アラレちゃん(第30話動画)
- 1982年 - セロ弾きのゴーシュ(作画)
- 1982年 - 南の虹のルーシー(原画)
- 1982年 - じゃりン子チエ(原画・動画)
- 1983年 - ミームいろいろ夢の旅(原画)
- 1984年 - ルパン三世 PARTIII(原画)
- 1984年 - 風の谷のナウシカ(原画)
- 1985年 - カムイの剣(原画)
- 1985年 - 名探偵ホームズ(作画監督、原画)
- 1985年 - ルパン三世 バビロンの黄金伝説(原画)
- 1985年 - 天使のたまご(原画)
- 1986年 - 天空の城ラピュタ(原画)
- 1987年 - 愛の若草物語(原画)
- 1987年 - 王立宇宙軍 オネアミスの翼(原画)
- 1988年 - 火垂るの墓(原画)
- 1988年 - AKIRA(原画)
- 1988年 - 風を抜け!(原画)
- 1989年 - NEMO/ニモ(原画)
- 1989年 - YAWARA! a fashionable judo girl(絵コンテ・演出・作画監督・原画)
- 1993年 - X2 ダブルエックス(原画)
- 1994年 - 平成狸合戦ぽんぽこ(原画)
- 1995年 - 耳をすませば(作画監督)
- 1997年 - もののけ姫(作画監督[注 4])
- 1998年 - MASTERキートン(キャラクターデザイン・作画監督・レイアウト監修・絵コンテ・その他)
- 2001年 - 千と千尋の神隠し(作画監督[注 5])
- 2001年 - メトロポリス(原画)
- 2004年 - MONSTER(キャラクターデザイン原案)
- 2004年 - ハウルの動く城(作画監督[注 6])
- 2008年 - 崖の上のポニョ(作画監督補[注 7])
- 2010年 - パン種とタマゴ姫(作画監督)
- 2011年 - コクリコ坂から(作画監督[注 8])
- 2013年 - 風立ちぬ(作画監督)
- 2014年 - 思い出のマーニー(原画)
- 2015年 - バケモノの子(原画)
- 2019年 - アニメ 大好きだったあなたへ ヒバクシャからの手紙(キャラクターデザイン)
- 2023年 - 君たちはどう生きるか(原画)
CM
[編集]受賞歴
[編集]- 第42回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞
- 東京アニメアワード個人賞 - アニメーター賞(2014年)
- 第73回毎日映画コンクールアニメーション映画賞
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e “高坂 希太郎さんインタビュー 映画『若おかみは小学生!』”. キャリタス進学. ディスコ (2018年8月31日). 2022年9月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 杉本穂高 (2021年8月30日). “話題沸騰『若おかみは小学生!」高坂希太郎監督とは? ジブリの作画を支えた大ベテラン”. フィルマガ. Filmarks. 2022年9月8日閲覧。
- ^ a b c “丸山正雄のお蔵出しイベント開催、第1回にりんたろう・高坂希太郎監督が登壇”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2022年5月27日). 2022年9月8日閲覧。
- ^ “今夜『耳をすませば』放送! 声優キャスト&見どころをおさらい”. シネマトゥデイ. 株式会社シネマトゥデイ (2022年8月26日). 2022年9月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g “宮崎駿は反面教師? 高坂監督15年ぶり新作が公開”. インフォシーク. 楽天 (2018年9月28日). 2018年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月8日閲覧。
- ^ “米国アニー賞 長編部門ノミネート7作品に「風立ちぬ」「ももへの手紙」 脚本部門に宮崎駿”. アニメ!アニメ!. イード (2013年12月3日). 2022年9月8日閲覧。
- ^ “東京アニメアワードフェスティバル2014 個人部門”. 東京アニメアワード. 2014年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月8日閲覧。
- ^ “高坂希太郎監督作「劇場版 若おかみは小学生!」が仏アヌシー映画祭コンペ部門選出”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2018年5月6日) 2018年5月7日閲覧。
- ^ “賢治世界 音楽や映像で 多彩にイーハトーブフェス・花巻”. 岩手日日新聞. (2022年8月30日) 2022年9月8日閲覧。
- ^ “ツール・ド・信州2001 レポート”. 阿佐ヶ谷自転車倶楽部. マッドハウス. 2022年9月8日閲覧。
- ^ 『ロマンアルバム 千と千尋の神隠し』徳間書店、2001年、85p。
- ^ “宮崎駿は反面教師?高坂監督15年ぶり新作が公開”. dmenu映画. 株式会社NTTドコモ. 2019年4月6日閲覧。
- ^ “劇場版「若おかみは小学生!」 スタッフ”. 「若おかみは小学生!」製作委員会 (2018年4月4日). 2018年4月9日閲覧。
- ^ “ハスラー Jスタイル”. スズキ (2020年12月30日). 2020年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月17日閲覧。
- ^ “四輪車トップ”. スズキ (2021年5月22日). 2021年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月17日閲覧。
- ^ “四輪車トップ”. スズキ (2021年12月30日). 2022年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月17日閲覧。
- ^ “ハスラー”. スズキ (2022年5月9日). 2022年5月17日閲覧。
外部リンク
[編集]- スタジオアウトリガー - 所属事務所。
- 高坂希太郎 - 日本映画データベース
- 高坂希太郎 - allcinema
- 高坂希太郎 - KINENOTE
- Kitarō Kōsaka - IMDb
- 高坂希太郎 - MOVIE WALKER PRESS
- CyclingWeb.jp - Cycling People Special Interview 高坂希太郎