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脱皮動物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
脱皮動物
脱皮直後のナナホシテントウ幼虫
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
階級なし : 左右相称動物 Bilateria
階級なし : 前口動物 Protostomia
上門 : 脱皮動物上門 Ecdysozoa
学名
Ecdysozoa
Aguinaldo et al., 1997
和名
脱皮動物
英名
ecdysozoan

脱皮動物(だっぴどうぶつ、Ecdysozoa)は螺旋卵割動物と共に前口動物を二分する動物の大分類群で、節足動物線形動物などの動物門を含む。 Aguinaldoらにより1997年に設定された[1]が、これは主として18SリボソームRNA遺伝子系統樹に基づいている。

形態的にはクチクラ由来の外骨格を持ち脱皮を行うという共通点を持っており、古く形態学的特徴から設定された Ecdysozoa(Perrier 1897、および Seurat 1920)にほぼ相当する。 最も重要な共通点は体表の上皮を覆う3重のクチクラで、これが成長にともなう定期的な脱皮によって新生する。運動のための繊毛は持たず、精子アメーバ状で、は一般の前口動物の特徴とされる螺旋卵割を行わない。そのほかにもいくつかの共通の性質が見られる。

脱皮動物は以下の動物門から構成される。

腹毛動物門などもこれに含まれる可能性があるが、共通の性質を欠いており、別の群とされている。

節足動物・有爪動物・緩歩動物(あわせて汎節足動物となる)は体が体節から構成されている点から、かつては環形動物に近いと考えられていた(あわせて体節動物と呼ばれた)。これらは前口動物であり、螺旋卵割や裂体腔、はしご形神経系などを共有するまとまった群であると考えられていたが、現在ではそれらの共通点である体節制は別個の系統でそれぞれ独立に獲得されたと考えられている。

左右相称動物
後口動物

棘皮動物脊索動物など

前口動物
冠輪動物

環形動物軟体動物など

脱皮動物

節足動物線形動物など

左右相称動物における脱皮動物の系統的位置。

内部系統

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脱皮動物の内部系統構成については、節足動物有爪動物緩歩動物からなる汎節足動物Panarthropoda)、動吻動物鰓曳動物胴甲動物からなる有棘動物Scalidophora)、および線形動物類線形動物からなる糸形動物Nematoida)という3群で区分する体系があり[2]、更に有棘動物と糸形動物を環神経動物Cycloneuralia)としてまとめる見解もある。なお、その一部の単系統性は分子系統学に疑問視されており、例えば胴甲動物の位置は不安定で[2]糸形動物汎節足動物と密接に関係しているという結果もある。[3]

Telford et al., 2008に基づいた脱皮動物の内部系統は次の通り[2]

脱皮動物
糸形動物

線形動物

類線形動物

胴甲動物

鰓曳動物

動吻動物

汎節足動物

有爪動物

緩歩動物

節足動物

古生物学的見解については、Markueliaは基盤的な有棘動物と思われ[4]葉足動物は汎節足動物で、そこに含まれる動物門の初期系統に至る側系統群であると考えられる[5]

出典

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  1. ^ Aguinaldo, A. M. A.; J. M. Turbeville, L. S. Linford, M. C. Rivera, J. R. Garey, R. A. Raff, & J. A. Lake (1997). “Evidence for a clade of nematodes, arthropods and other moulting animals”. Nature 387: 489–493. doi:10.1038/387489a0. 
  2. ^ a b c Telford, Maximilian J; Bourlat, Sarah J; Economou, Andrew; Papillon, Daniel; Rota-Stabelli, Omar (2008-04-27). “The evolution of the Ecdysozoa” (英語). Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences 363 (1496): 1529–1537. doi:10.1098/rstb.2007.2243. ISSN 0962-8436. PMC 2614232. PMID 18192181. https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rstb.2007.2243. 
  3. ^ Yamasaki, Hiroshi; Fujimoto, Shinta; Miyazaki, Katsumi (2015-06-30). “Phylogenetic position of Loricifera inferred from nearly complete 18S and 28S rRNA gene sequences”. Zoological letters 1. doi:10.1186/s40851-015-0017-0. ISSN 2056-306X. PMC 4657359. PMID 26605063. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4657359/. 
  4. ^ DONG, XI-PING; BENGTSON, STEFAN; GOSTLING, NEIL J.; CUNNINGHAM, JOHN A.; HARVEY, THOMAS H. P.; KOUCHINSKY, ARTEM; VAL’KOV, ANATOLY K.; REPETSKI, JOHN E. et al. (2010-11). “The anatomy, taphonomy, taxonomy and systematic affinity of Markuelia: Early Cambrian to Early Ordovician scalidophorans” (英語). Palaeontology 53 (6): 1291–1314. doi:10.1111/j.1475-4983.2010.01006.x. ISSN 0031-0239. https://www.researchgate.net/publication/280046620_The_anatomy_taphonomy_taxonomy_and_systematic_affinity_of_Markuelia_Early_Cambrian_to_Early_Ordovician_scalidophorans. 
  5. ^ Ortega-Hernández, Javier (2015-10-05). “Lobopodians” (English). Current Biology 25 (19): R873–R875. doi:10.1016/j.cub.2015.07.028. ISSN 0960-9822. PMID 26439350. https://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822(15)00831-3.