真言宗大覚寺派
真言宗大覚寺派(しんごんしゅうだいかくじは)は、日本における真言系仏教宗派のひとつで、古義真言宗に属する。本山は大覚寺。
- 宗祖 弘法大師(秘鍵(ひけん)大師)
法流
[編集]- 保寿院流
宗紋
[編集]- 大覚寺紋
寺格(順不同)
[編集]- 別格本山 覚勝院(京都市右京区)、高山寺(兵庫県丹波市)、立江寺(神戸市兵庫区)、密蔵院(兵庫県明石市)、大聖寺(岡山県美作市)、高山寺(岡山県井原市)、薬王寺(東広島市黒瀬町)、極楽寺(香川県さぬき市)、延命寺(香川県観音寺市)、宝珠寺(香川県観音寺市)、観音寺(香川県観音寺市)、萩原寺(香川県観音寺市)、興願寺(愛媛県四国中央市)、観自在寺(愛媛県愛南町)、地蔵院(徳島市)、大悲王院(福岡県糸島市)、大智院(長崎県佐世保市)
- 準別格本山、中本寺、小本寺、その他 332寺
沿革
[編集]真言宗大覚寺派の歴史は、大覚寺の開創に始まる。嵯峨天皇の離宮であった嵯峨院で、空海が五大明王を彫刻して五覚院を建てた。疫病流行の際には、嵯峨天皇宸筆の般若心経を講読して、心経堂に納入した。876年(貞観18年)淳和天皇皇后正子内親王の令旨により開創され、淳和天皇第二皇子恒寂入道親王が賜り、入寺して、大覚寺の伽藍を整備した。
918年(延喜18年)、宇多天皇が大覚寺で両部灌頂を受け、1268年(文永5年)には後嵯峨天皇が入寺、21世門跡に就任、続いて、亀山天皇も入寺し、22世門跡になった。1307年(徳治2年)~1321年(元亨元年)、後宇多天皇は院政を行い、大覚寺塔頭・蓮華峯寺を仙洞御所とした。このとき、諸堂を整備したため、後宇多法皇を中興の祖と称する。こうした経緯から南朝系の大覚寺統の天皇とゆかりがある。1336年(建武3年)全焼。1392年(元中9年)、南北朝の動乱を経て、南北朝和議の場として使用された。
応仁の乱では全焼したが、豊臣氏・徳川氏の保護もあり、伽藍を再建し、門跡寺院として繁栄したが、江戸時代末期に衰退した。明治時代の始めには無住となったが、47世門跡・楠玉諦、48世門跡・高幡龍暢らの尽力で復興した。
明治政府の宗教政策により、他の真言宗宗派と1879年(明治12年)に合同するが、1900年(明治33年)9月、大覚寺を本山とする真言宗大覚寺派として独立する。 1926年(大正15年)には(真言宗高野派(総本山金剛峯寺)・真言宗御室派(総本山仁和寺))と合同して金剛峯寺を総本山とする古義真言宗を組織する。 1941年(昭和16年)3月、古義真言宗・新義真言宗系の宗派が政府の政策によって合同し、大真言宗が成立する
戦後、1949年(昭和24年)、独立し再び真言宗大覚寺派として現在に至っている。
大覚寺門跡歴代
[編集]- 恒寂入道親王(淳和天皇第二皇子)
- 寛空(文室氏)
- 定昭(定照)(藤原師尹子)
- 定好(三綱従儀師義俊子)
- 真範(平生昌子)
- 頼信(藤原頼経子)
- 頼尊(藤原実康子)
- 覚信(藤原師実子)
- 玄覚(藤原師実子)
- 覚英(藤原師通子)
- 恵信(覚継)(藤原忠通子)
- 信円(藤原忠通子)
- 良円(九条兼実子)
- 実信(近衛基通子)
- 実静(近衛家実子)
- 信昭(近衛兼経子)
- 隆信(九条忠家子)
- 覚恵(九条忠教子)
- 覚昭(近衛基平子)
- 良信(鷹司基忠子)
- 後嵯峨法皇(素覚)
- 亀山法皇(金剛眼)
- 後宇多法皇(金剛性)
- 性円法親王(後宇多天皇皇子)
- 寛尊法親王(亀山天皇皇子)
- 性勝法親王(後宇多天皇皇子)
- 恒性法親王(後醍醐天皇皇子)
- 深守法親王(木寺宮邦良親王子)
- 弘覚法親王(木寺宮邦良親王子)
- 寛教入道親王(道寛法親王)(後光厳天皇皇子)
- 義昭(足利義満子)
- 性深(鷹司房平子)
- 性守(二条政嗣子)
- 義俊(禅意)(近衛尚通子)
- 尊信(義性)(近衛稙家子)
- 空性法親王(誠仁親王皇子)
- 尊性入道親王(後陽成天皇皇子)
- 性真法親王(後水尾天皇皇子)
- 性応法親王(霊元天皇皇子)
- 寛守(近衛基熙子、近衛家熙養子)
- 寛深(信性)(近衛家熙子)
- 深真(深貞)(近衛内前子)
- 亮深(近衛経熙子)
- 慈性入道親王(有栖川宮韶仁親王子)
- 中御門神海
- 楠 玉諦
- 高幢龍暢
- 龍池密雄
- 小川光義
- 藤村密幢
- 釈 法傳
- 谷内清厳
- 草繋全宜
- 乃村龍澄
- 横山定雄
- 味岡良戒
- 黒田昇龍
- 井上紀生
- 上井寛圓
- 片山宥雄
- 新開真堂
- 下泉恵尚
- 黒沢全紹
- 尾池泰道
宗務組織
[編集]- 管長(大覚寺門跡が兼任する)
- 宗務庁(大覚寺内に設置)
- 宗務総長(下記の3部を統括/大覚寺執行長を兼任する)
- 総務部(総務課・華道課)
- 教務部(教学課・企画推進課)
- 財務部(経理課・管財課・編集課・販売課)
- 宗会(真言宗大覚寺派の最高の議決機関として宗会を設置)・宗会議員11名(任期3年)
- 地方宗務(47都道府県を以下の8教区(関東・近畿・淡路・中国・四国第一・徳島・福岡・九州第一)に分け、各教区に教区庁を設置して当該教区内の事務を行う。
- 各教区には教区長及び副教区長を置く(教区長・副教区長とも管長が任命し、任期は3年)。また、教区内に役員(代議員・組長等)を置くことがある。
僧階(全15階級)・布教師教階
[編集]級数・僧階・昇階までの年数
- 1級 大僧正
- 2級 権大僧正・7年
- 3級 中僧正・5年
- 4級 権中僧正・5年
- 5級 少僧正・5年
- 6級 権少僧正・5年
- 7級 大僧都・5年
- 8級 権大僧都・5年
- 9級 中僧都・3年
- 10級 権中僧都・3年
- 11級 少僧都・3年
- 12級 権少僧都・3年
- 13級 大律師・1年
- 14級 律師・1年
- 15級 権律師・1年
布教師階級
[編集]- 主教
- 弘教
- 示教
- 司教
- 補教
住職資格
[編集]教育機関
[編集]- 嵯峨伝燈学院(大覚寺内に設置。院長は大覚寺門跡。真言宗大覚寺派の僧侶の修行養成を行う。年限は1年間)
- 種智院大学(協同経営)
- 洛南高等学校・附属中学校(協同経営)
- 嵯峨御流華道総司所
- 嵯峨華道専門学校(休校中)
- 嵯峨書道学院(休校中)
- 嵯峨美術大学
行事
[編集]- 宗祖の遠忌法要(50年ごとに行う)
教義
[編集]古義真言宗の教義に準じる。