コンテンツにスキップ

東園基文

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
東園基文(左)。妻・佐和子(北白川宮成久王の第2王女)と。1935年

東園 基文(ひがしその もとふみ、1911年〈明治44年〉1月28日[1] - 2007年平成19年〉4月12日)は、日本華族宮内官僚東園家14代当主。初名は伊達 宗文[2]

東園基光子爵相続人となる[1]1934年(昭和9年)9月19日、家督を継承し[1]子爵を襲爵した[3]。戦後は、宮内庁掌典長[4]神社本庁統理などを務めた。

生涯

[編集]

伊達邦宗伯爵三男として宮城県仙台市に生まれる[1]学習院を経て北海道帝国大学農学部に進学した[* 1]。同大学では馬術部に所属し、1931年に出場した第3回全日本学生馬術選手権大会で優勝したほか[* 2]、第2代主将を務めた[* 1][* 3]

1934年大学を卒業し、東宮傅育官任官。同年大日本帝国陸軍騎兵少尉。1940年皇后事務官日本の降伏後、1947年宮内府事務官兼侍従東宮侍従。1977年からは掌典長を務め、即位の礼大嘗祭にあたった。そのほか、明仁上皇常陸宮正仁親王へ馬術の指導も行った[* 1]。1982年従三位勲二等瑞宝章。1998年神社本庁統理、伊勢神宮崇敬会会長。2001年神社本庁顧問

2007年(平成19年)4月12日肺炎のため目黒区内の病院で死去。同年5月18日青山葬儀所で葬儀が行われ、常陸宮正仁親王正仁親王妃華子島津久永島津貴子らが参列した[* 3][* 4]

2008年(平成20年)1月19日日本馬術連盟より同連盟功労者に選出され、功労者賞が追贈された[* 1]。同賞は同年2月26日に長男の東園基政より北海道大学馬術部へ寄贈された[* 5]

系譜

[編集]

出典がないものは霞会館 1996b, pp. 388–389を参照している。

妻・佐和子の母が明治天皇の第七皇女・房子内親王であるため[5]、基文の子供たちは明治天皇の曾孫にあたる。

長男の東園基政(1938年生)は1961年に学習院大学理学部物理学科卒業後いすゞ自動車入社、いすゞセラミックス研究所社長を経て、学校法人学習院常務理事、学習院桜友会会長[* 6][* 7]。その妻・登志子は朝吹四郎朝吹常吉四男)の娘。次男の東園基宏(1942年生)は学習院大学経済学部卒業後全日本空輸入社、全日空商事代表取締役副社長を経て、2005年ハウステンボス社長就任[6]。三男の東園基治(1944年生)はいすゞ海外商品企画部長を経て2005年に医薬品開発ベンチャーのワイズセラピューティクスのCOOに就任[7]。長女・陽子は三越常務・岩瀬敬一朗の妻。敬一朗は、戦後の三越を再建し中興の祖と言われた辣腕社長・岩瀬英一郎の長男で、三越事件坂倉芳明大型損失事件の渦中にあった人物[* 8][* 9][* 10]

脚注

[編集]

書籍出典

[編集]
  1. ^ a b c d 霞会館 1996b, p. 388.
  2. ^ 霞会館 1996b, p. 56.
  3. ^ 『官報』第2318号 1934, 「叙任及辞令」.
  4. ^ 霞会館 1996b, p. 388–389.
  5. ^ 霞会館 1996a, pp. 35–36.
  6. ^ 『日経コンピュータ』第686号 2007.9.3、「経営の本音 ハウステンボス 代表取締役社長 東園 基宏氏〜IT化で利益体質へ転換従業員をマルチタスクに」
  7. ^ 『ベンチャー経営論』長谷川博和、東洋経済新報社, 2018/01/19、第6章「最良の経営チームをどのように構築するのか ケース ワイズセラピューティクス」

サイト出典

[編集]
  1. ^ a b c d 東園基文氏に日本馬術連盟から「功労者賞」 - 北海道大学馬術部後援会、2018年9月24日閲覧。
  2. ^ 全日本学生馬術選手権大会(貸与馬)成績 1930 - 1960年 - ウェイバックマシン(2018年9月24日アーカイブ分)
  3. ^ a b 東園基文氏を偲んで - ウェイバックマシン(2008年12月26日アーカイブ分)
  4. ^ 東園基文氏死去/元宮内庁掌典長 - ウェイバックマシン(2023年1月15日アーカイブ分)
  5. ^ 東園基文氏「功労者賞」を北大馬術部へ寄贈 - 北海道大学馬術部後援会、2018年9月24日閲覧。
  6. ^ 東園基政学習院大学史料館、ミュージアムレター第24号、2014年2月
  7. ^ 会長からのご挨拶 ~秋の行事に向けて学習院桜友会、2015/9/1
  8. ^ 歴戦の百貨店人と歩く日本橋 生き残りの決め手は「お客さま目線」サンケイビズ、2018.12.7
  9. ^ 東京地方裁判所 昭和57年(特わ)3871号 判決大判例
  10. ^ 『時代を変えた「同級生」たち 週刊文春 シリーズ昭和(5)世代論篇』文藝春秋, 2017/12/18 , p108-110

参考文献

[編集]

官報

[編集]
  • 『官報』第2318号、1934年9月20日。 
日本の爵位
先代
東園基光
子爵
東園家第3代
1934年 - 1947年
次代
華族制度廃止
その他の役職
先代
細川護貞
伊勢神宮崇敬会会長
第6代:1998年 - 2006年
次代
豊田章一郎