コンテンツにスキップ

古市憲寿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ふるいち のりとし

古市 憲寿
生誕 (1985-01-14) 1985年1月14日(39歳)
日本の旗 日本 東京都[1]墨田区[2]
出身校 慶應義塾大学環境情報学部
東京大学大学院総合文化研究科
職業 学生、作家
テレビ番組 新世代が解く!ニッポンのジレンマ
司会(2013年4月 - 2019年3月)
情報プレゼンター とくダネ!
スペシャルキャスター
公式サイト https://www.furuichi-noritoshi.com/
テンプレートを表示

古市 憲寿(ふるいち のりとし、1985年昭和60年〉1月14日[3] - )は、日本の社会学者[4]作家[5]

略歴

[編集]

東京都墨田区に生まれ、6歳で埼玉県川口市に引越した[6]

埼玉県立越谷北高等学校卒業[7]2003年慶應義塾大学環境情報学部AO入試で入学[8]2005年ノルウェーオスロ大学に交換留学(- 2006年)[9]

2007年、慶應義塾大学環境情報学部卒業[3]東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻相関社会科学コース修士課程に入学し、同コースを修了[10]

日本学術振興会育志賞受賞[11]

2018年、初の小説「平成くん、さようなら」で第160回芥川龍之介賞候補[12]2019年、「百の夜は跳ねて」で第161回同賞候補[13]

役職

[編集]

主張

[編集]
  • 若者の社会貢献志向、他者志向が強いことを肯定的に評価しながらも、彼らがコンサマトリー(=自己目的、自己完結)と呼ばれる世界の中で生きていると主張する。その上で、社会を変えたいならば「自己中」になることが時には必要だと提言している。「人権ってのはわがままのことなんです」という言葉を引用しながら、むしろ現代の若者はより「自己中」になるべきであり、それを調整することが政治の役目であると語っている[27]
  • 内閣府の調査などをもとに、現代における若者の生活満足度が高い一方で、「悩みや不安がある」若者も増加しているとして、「将来に希望を持てないからこそ、今に幸せを感じるという現象が起きているのではないでしょうか」と述べている[28]
  • 2014年1月にテレビ朝日朝まで生テレビ!』が実施した靖国神社参拝の支持に関する視聴者アンケートにおいて、支持が71%、不支持が29%と、支持率が高いという結果になった。このことについて、アンケート結果はあくまでも番組視聴者の意見に過ぎず、統計的に意味のない数字であると主張している[29]
  • 2014年、朝日新聞従軍慰安婦報道福島第一原発吉田証言報道などにおいて起こした問題により失われた信頼を回復するためとして朝日新聞社が発足させた「信頼回復と再生のための委員会」の外部委員に選出された[30]。この問題について、朝日新聞と読者とのズレを認識することが解決策であると述べている。その上で、世の中には多様な言論が必要であり、朝日新聞にはせめて20年は存続してもらわないと困るという立場を取っている[31]
  • 2015年、『保育園義務教育化』の中で、日本には親(特に母親)の人権が軽視されているとして、誰もが質の高い乳幼児教育を受けることの重要性を主張した。その根拠として非認知能力の向上と、事前配分の重要性を挙げている[32]
  • 2020年の博報堂教育財団こども研究所のインタビューでは、乳幼児段階での教育効果が高等教育よりも大きいことが教育経済学でも判明しているとして、乳幼児教育の拡充が非認知能力を高めるうえで最良の方策であると述べている。また現状の、誰にも無限の可能性があるという考えは子供に負担をかけているとして、子供の主体性を重んじ、好きなことや得意なことといった、個人の特性を伸ばすことが重要ではないだろうかと述べている[33]
  • 2018年、祖母の死をきっかけに、文芸雑誌に初めて小説短篇を発表する。「割り切れなさが残った。それを表現するには論文でもエッセーでもなく、「小説という形がしっくりきた」」が理由だという。またこれまでの著作との関連については「「違う社会のあり方を提示するのが社会学。もう一つの解釈を示すという意味では、これまで書いてきたことと今回の小説は、僕の中で隔たりはない」」と述べている[34]

人物

[編集]

家族

[編集]
  • 2019年10月からモカと名付けたマンチカン(メス)を実家で飼っている。愛猫家[36][37]

交友関係

[編集]

嗜好

[編集]

浜崎あゆみのデビュー以来の大ファンである。 本人曰く「あの頃のj-POPって『みんな頑張ろう』とか『もっと高く飛ぼう』とか明るい曲が多かった時代。ある種、90年代音楽業界、エンタメ的にはバブルで明るい雰囲気の中に急に浜崎あゆみの歌詞ってめっちゃくちゃ暗かったりとか、明るいだけではないみたいな、そういう事が印象的でしたね」

言動

[編集]
  • キス(接吻)を「唾液の交換」であるとし嫌悪している。そのことを社会学者の宮台真司から「クズの典型」[41]と評されている。
  • 2022年 安倍晋三元首相の銃撃事件後、旧統一協会に関するメディア放送に対して「一部で報道がヒートアップして旧統一教会批判が起こっているが、もちろん批判すべきことは批判すべきだし、犯罪行為糾弾は必要だが、あまりにヒートアップすると容疑者の目論みどおりになってしまう」とと、太田光氏と同じように疑義を呈した[42]
  • 2021年1月、内閣総理大臣(当時)の菅義偉とメディアアーティストの落合陽一と山本雄史産経新聞新プロジェクト本部次長が朝食を共にしたこと[43]を「テレワークを呼びかける側の政治家の代表とデジタルに詳しい2人が対面でご飯を食べているんだなって、すごい笑っちゃったんですけど。それぐらい、これまでの慣習を変えるのって難しいのかなって思っちゃったんですけど」と言及した[44]。その後、落合は「社会学者という肩書きの「クソ大学院生」にディスられる事態が発生.」[45]とTwitterに投稿。落合はこの経緯を報じた東京スポーツに対し編集部まで乗り込んで記事を削除させた[46]。後に落合は「一つだけ.僕の知る限り古市憲寿氏は既に大学院生ではなく,2年程度前には大学の籍を離れているかと思います.僕は「古市さん」の名前を挙示することはありませんが,彼のイメージと僕の発言を恣意的につなぎ「特定の個人の批判記事が作られること」は大変に遺憾であり,削除等の対応を求めています.」[47]とTwitterに投稿している。

著作リスト

[編集]

単著

[編集]
小説
  • 『平成くん、さようなら』文藝春秋、2018年11月。ISBN 978-4-16-390923-3 
    • 『平成くん、さようなら』文藝春秋〈文春文庫〉、2021年5月。ISBN 978-4-16-791688-6 文庫化。
  • 『百の夜は跳ねて』新潮社、2019年6月。ISBN 978-4-10-352691-9 
  • 『奈落』新潮社、2019年12月。ISBN 978-4-10-352692-6 
  • 『アスク・ミー・ホワイ』マガジンハウス、2020年8月。ISBN 978-4-8387-3111-4 
  • 『ヒノマル』文藝春秋, 2022.2

共著

[編集]
絵本
  • 中居正広劇団ひとり)『♪ピンポンパンポンプー』(マガジンハウス、2020年)
  • (中居正広・劇団ひとり)『パリン グリン ドーン』(マガジンハウス、2022年)
  • (中居正広・劇団ひとり)『Wピース』(マガジンハウス、2024年)

雑誌掲載

[編集]
小説
  • 「彼は本当は優しい」『文學界』2018年4月号
  • 「平成くん、さようなら」『文學界』2018年9月号
  • 「百の夜は跳ねて」『新潮』2019年6月号
  • 「奈落」『新潮』2019年12月号
エッセイなど
  • 「僕たちコクーンジャパン」『ユリイカ青土社、2010年
  • 「ポスト1991」『g2』 vol.6 講談社、2010年
  • 「東京ガールズコレクションの正体」『g2』 vol.7 講談社、2011年
  • 「ちっぽけな男たちの物語」(『ユリイカ』山下敦弘監督特集)青土社、2011年
  • 佐藤健インタビュー 幸せな若者たちの時代」『g2』 vol.8 講談社、2011年
  • 「昔に生まれなくて良かった。」『本』 2011年8月号
  • 「大企業バッシング、不買運動に走る若者たち」『宣伝会議』2011年11月15日号
  • 「20代の若者は現在の生活に満足」『週刊エコノミスト』2011年11月29日号
  • 「アニメとリア充のあいだ」『Quick Japan』 99号、2011年
  • 大野更紗との対談)「「幸福」な世代の新しい社会運動?」『POSSE』 vol.13 POSSE 2011年
  • 「社会を降りて、社会を変える」『広告』 2012年1月号
  • 「2012年のコミューンたち」『atプラス』11号
  • 竹中平蔵との対談)「「幸福な若者」に迫る危機」『週刊東洋経済』臨時増刊2012年2月29日号
  • 「なんで宇宙なんて行くの?」『新潮』2012年3月号
  • 加藤嘉一との対談)「日本は本当に「絶望の国」なのか?」『Voice』2012年3月号
  • 「ドラえもん読むのも仕事」『本の時間』2012年3月号
  • 「リーダーなんていらない」『新潮45』2012年3月号
  • 「「女性化」する日本」『新潮45』2012年4月号
  • 鈴木謙介との対談)「日本のショッピングモールを語り尽くす」『宣伝会議』2012年4月15日号
  • 「2042・終焉を待つ奇妙な幸福国家」『新潮45』2012年5月号
  • 「戦争を知らない若者たち」『g2』Vo.10、2012年

出演

[編集]

レギュラー

[編集]

過去

[編集]

CM

[編集]
  • サントリー『クラフトボス スペシャルティ微糖』「新しい風・ブレンド」篇(2020年) - 新入社員 (※CM初出演)
  • ソフトバンク『SoftBank 5G』「5Gってドラえもん?」 - 未来のスネ夫 役
    • 「未来のジャイアン・スネ夫登場」篇(2020年)
    • 「未来からの意見」篇(2021年)]
  • 富士フイルムアスタリフト「列車のふたり セラミド」篇(2024年)

自治体PR

[編集]
  • 福井市「福いいネ!グランプリ」-動画、「古市 VS 福井市」-ポスター(2022)[50][51]

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ 起業家が成功する条件、それは「数」と「勇気」。古市憲寿が見た『シリコンバレー狂騒曲』”. Forbes JAPAN (2019年6月14日). 2019年6月17日閲覧。
  2. ^ 『誰だって波瀾爆笑』日曜午前でサンジャポ&ワイドナに負けない強み”. マイナビニュース (2019年11月20日). 2019年12月6日閲覧。
  3. ^ a b 第161回芥川賞候補に5作:高山羽根子、古市憲寿が前回に続き2度目ノミネート”. ほんのひきだし (2019年6月17日). 2019年6月17日閲覧。
  4. ^ “エンジン01”. https://enjin01-wakayama-arida.jp/whats-enjin01/enjin01/ 
  5. ^ “「大学に行く意味はある?」古市憲寿がズバリ回答!”. ORICON NEWS. (2018年10月19日). https://www.oricon.co.jp/article/583684/ 2019年3月7日閲覧。 
  6. ^ 古市憲寿さん『百の夜は跳ねて』”. 小説丸 (2019年9月). 2020年5月13日閲覧。
  7. ^ 北高OB 古市憲寿さん”. 日本史論述問題の研究. 埼玉県立越谷北高等学校 (2012年11月23日). 2019年6月20日閲覧。
  8. ^ 古市憲寿は「努力したことがないから、いけ好かない」と思われている?
  9. ^ 古市憲寿『誰も戦争を教えてられない』講談社、2015年。
  10. ^ 茂木健一郎 (2019年3月23日). “Dream HEART vol.312 社会学者・古市憲寿さん - レポート”. TOKYO FM 80.0MHz. 2020年8月26日閲覧。
  11. ^ 日本学術振興会. “育志賞受賞者一覧”. 2016年11月27日閲覧。[リンク切れ]
  12. ^ “芥川賞・直木賞の候補に古市憲寿さん、森見登美彦さんら”. 朝日新聞デジタル. (2018年12月17日). https://www.asahi.com/articles/ASLDF5FTVLDFUCVL00S.html 2018年12月18日閲覧。 
  13. ^ 直木賞候補、6人全員が女性 芥川賞含めて史上初めて:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2019年6月16日閲覧。
  14. ^ 内閣府. “幸福のフロンティア部会”. 2016年11月27日閲覧。
  15. ^ 内閣府. “経済財政動向等についての集中点検会合”. 2016年11月27日閲覧。
  16. ^ 内閣府. “国・行政のあり方に関する懇談会”. 2016年11月27日閲覧。
  17. ^ 内閣府. “クールジャパン戦略”. 2016年11月27日閲覧。
  18. ^ 朝日新聞. “信頼回復と再生のための委員会”. 2014年10月20日閲覧。
  19. ^ 首相官邸. “「伊勢志摩サミット・ロゴマーク選考会」審査委員について”. 2016年11月27日閲覧。
  20. ^ 党情報告 第83回自由民主党大会(平成28年3月13日)”. 自由民主党 (2016年3月13日). 2018年1月15日閲覧。
  21. ^ 記者発表「多様な選考・採用機会の拡大に向けた検討会」報告書”. 厚生労働省. 2017年12月26日閲覧。
  22. ^ パラダイムシフトと日本のシナリオ懇談会の開催について (PDF)
  23. ^ コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチーム (PDF)
  24. ^ 毎日新聞. “政府、コロナ対策検証の有識者会議5月設置 メンバーに古市憲寿氏ら”. 2022年4月29日閲覧。
  25. ^ 報道発表 | 内閣官房ホームページ”. www.cas.go.jp. 2022年4月30日閲覧。
  26. ^ エンジン01. “エンジン01会員一覧”. 2024年9月10日閲覧。
  27. ^ BLOGOS (2011年10月28日). “若者はもっと「自己中」になって社会を変えろ”. 2013年8月22日閲覧。
  28. ^ 若者不在の若者論、20代が反論「絶望の国の幸福な若者たち」の著者、古市憲寿氏に聞く
  29. ^ ガジェット通信 (2014年1月3日). “元旦のテレ朝『朝まで生テレビ』のアンケートで7割が安倍首相の靖国参拝支持 古市憲寿「統計学的に意味のない数字」”. ガジェット通信. https://getnews.jp/archives/486976 2014年1月5日閲覧。 
  30. ^ 信頼回復と再生のための委員会発足 社外から4氏. asahi.com (2014年10月14日) Archived 2014年10月18日, at the Wayback Machine.
  31. ^ 「古い」メディアのズレ指摘したい 古市憲寿さん. asahi.com (2014年10月18日) Archived 2014年10月18日, at the Wayback Machine.
  32. ^ 女性が「お母さん」になった途端に、できなくなること【古市憲寿/保育園義務教育化・1】
  33. ^ 無限の可能性ではなく、有限の特性を信じる 社会学者・古市憲寿さんに聞く”. 博報堂教育財団こども研究所. 博報堂 (2020年10月29日). 2024年10月15日閲覧。
  34. ^ 祖母の死の割り切れなさ「小説がしっくり」 古市憲寿さん「平成くん、さようなら」
  35. ^ 市制施行10周年記念男女共同参画シンポジウムが開催されました
  36. ^ 古市憲寿氏、念願の猫迎える インスタが「可愛い」「癒やされる」と話題”. モデルプレス (2019年10月24日). 2019年10月24日閲覧。
  37. ^ 古市憲寿、猫にデレデレ…指原莉乃と同じマンチカンを買う│エンタメRBB”. RBB TODAY (2019年10月24日). 2019年10月24日閲覧。
  38. ^ 安倍夫妻と親交のある古市憲寿氏「仲むつまじい夫婦。世界中が敵になっても、家に帰れば昭恵さんがいると晋三さんは思っていた」 - サンスポ
  39. ^ 古市憲寿氏 安倍昭恵さんの今の様子「“飲んで寝ちゃった時に運んでくれる人が…”とぽつりと」― スポニチ Sponichi Annex 芸能
  40. ^ 古市憲が寿氏、義理チョコ文化に持論「嫌っている人にこそチョコあげる」”. スポニチ (2019年2月9日). 2019年12月5日閲覧。
  41. ^ SUPER DOMMUNE 2020/10/08『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』公開記念番組”. 2020年10月18日閲覧。
  42. ^ 太田光、古市憲寿「このままでは容疑者の目論みどおり」…“旧統一教会叩き” やりすぎ論に疑問の声”. FLASH (2022年8月8日). 2024年1月4日閲覧。
  43. ^ https://web.archive.org/web/20210106023207/https://www.jiji.com/jc/article?k=2021010600233&g=pol
  44. ^ 古市憲寿氏、テレワーク推進を呼びかける菅首相と落合陽一氏の朝食会に「対面でご飯を食べている…」”. スポーツ報知 (2021年1月7日). 2024年1月4日閲覧。
  45. ^ https://twitter.com/ochyai/status/1347018383875719169
  46. ^ https://www.asagei.com/excerpt/167080
  47. ^ https://twitter.com/ochyai/status/1347891546780098560?s=20
  48. ^ “ベストセラーの裏側 古市憲寿「だから日本はズレている」”. 日本経済新聞. (2014-07-16日). https://www.nikkei.com/article/DGKDZO74279790V10C14A7NNK000/ 2021年8月22日閲覧。 夕刊
  49. ^ 尾上右近:「めざまし8」で初の情報番組レギュラー 古市憲寿&カズレーザーは続投”. MANTANWEB. 株式会社MANTAN (2021年3月18日). 2021年3月18日閲覧。
  50. ^ 古市憲寿さん出演!福井市PR動画、ポスター|福井市ホームページ
  51. ^ 【福井市公式】福いいネ!グランプリ(北陸新幹線福井開業PR)|YouTube

外部リンク

[編集]