コンテンツにスキップ

菊次郎とさき

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
北野さきから転送)

菊次郎とさき』(きくじろうとさき)は、ビートたけし(北野武)による日本の小説、およびその小説を元に作成された日本のテレビドラマ演劇である。「菊次郎」「さき」とは、ビートたけしとその兄弟北野大など)の両親の名前。

小説版

[編集]

1999年12月に新潮社より単行本として、さらに2001年12月に新潮文庫版が発売された。文庫版には北野大によるあとがき「北野家の人びと」も収録されている。

SAKI
新潮45』1997年5月号初出。軽井沢で入院中のオフクロ・さきから、見舞いに来ないことを怒られた「おいら」(たけし)は、特急列車に乗って軽井沢駅へ向かう。ごちゃごちゃした町中を列車が進むうち、思い出すのは足立区で育った子どもの頃だった。
KIKUJIRO
単行本書き下ろしで、父の想い出を綴った作品。全てフィクションとの断り書きがある。
北野さきさん死去
『新潮45』1999年10月号初出。母の葬儀の前後を綴っている。前2作が一人称「おいら」が回想する自伝的小説仕立てなのに対し本作品はたけしによる同誌の連載と同様のエッセイ風語り口で記述されており、テレビドラマ版の原作とはなっていない。題名については母の死を客観視するためあえて「さん」付けにしたと記されている。

書誌・作品情報

[編集]

テレビドラマ

[編集]
菊次郎とさき
ジャンル テレビドラマ
原作 ビートたけし
脚本 スペシャル
松原敏春
連続ドラマ
輿水泰弘
吉本昌弘
酒井直行 
演出 石橋冠
阿部雄一
谷川功
中山秀一
池添博
出演者 陣内孝則
室井滋
製作
制作 テレビ朝日
放送
放送国・地域日本の旗 日本
スペシャル
プロデューサーテレビ朝日
五十嵐文郎
5年D組
中山秀一
太田雅晴
出演者中村俊介
岸本加世子
寒河江幸弘
ダンカン
樹木希林
放送期間2001年1月6日
放送時間土曜日21:00 - 23:21
放送分141分
回数1
第1シリーズ
プロデューサーテレビ朝日
稲垣ケンジ
5年D組
中山秀一
太田雅晴
出演者賀集利樹
早瀬英里奈
若葉竜也
草笛光子
放送期間2003年7月3日 - 9月11日
放送時間木曜日21:00 - 21:54
放送枠木曜ドラマ (テレビ朝日)
放送分54分
回数10
第2シリーズ
プロデューサーテレビ朝日
中込卓也
5年D組
中山秀一
里内英司
出演者市川由衣
村上雄太
平山広行
放送期間2005年7月21日 - 9月15日
放送時間木曜日21:00 - 21:54
放送枠木曜ドラマ (テレビ朝日)
放送分54分
回数9
第3シリーズ
プロデューサーテレビ朝日
中込卓也
5年D組
中山秀一
里内英司
井上博己
出演者阿部力
黒川智花
吉行和子
放送期間2007年7月5日 - 9月13日
放送時間木曜日21:00 - 21:54
放送枠木曜ドラマ (テレビ朝日)
放送分54分
回数11

特記事項:
第2シリーズ及び第3シリーズの初回は15分拡大(21:00 - 22:09)。
テンプレートを表示

テレビ朝日系列で放送された日本のテレビドラマ陣内孝則室井滋のダブル主演。

2001年1月6日の土曜日21:00 - 23:21に新春スペシャルドラマとして放送された。

連続ドラマの第1シリーズは、2003年7月3日より9月11日まで毎週木曜日21:00 - 21:54に、「木曜ドラマ」枠で放送された。

第2シリーズは、2005年7月21日より9月15日まで放送された[1]。本シリーズより、ハイビジョン画質で制作開始となっている。

第3シリーズは、2007年7月5日より9月13日まで放送された[1]。第3シリーズはデータ放送連動番組として放送。

概要

[編集]

舞台は足立区梅島(現・島根)で、腕のいいペンキ屋(塗装業)だが飲んだくれな菊次郎と、教育熱心なさきの夫婦を中心に、少年時代の北野大・ビートたけし兄弟の実家である北野家とその周囲の下町の人々をコミカルに描く。北野菊次郎役の陣内孝則と北野さき役の室井滋と谷川小五郎役の梨本謙次郎はスペシャルドラマから全シリーズキャスト変更をされず演じられている。

ストーリーは小説版をベースにしているが、スペシャルドラマ版では名を成した後の(壮年期の)たけし役であるダンカンが登場するのに対し、連続ドラマ版では少年期および青年期(第2・3シリーズ)のみが配役されているため、連続ドラマ版では壮年期のエピソードはほとんど描写されていない。

2010年現在スペシャルドラマ版のみがビデオ・DVD化[要出典]されている。

時代設定

[編集]
  • スペシャル:昭和30年代はじめ。
  • 第1シリーズ:昭和30年代。
  • 第2シリーズ:第1シリーズの最終回から1年後。
  • 第3シリーズ:第1シリーズの2年前。

キャスト

[編集]

スペシャルドラマのキャスト

[編集]
北野家
北野家の当主。職業はペンキ屋(塗装業)で仕事の腕は良いが、無類の酒好きで酒癖が悪い事が原因で周囲の人達を困らせている。
菊次郎の妻。働き者かつ、しっかり者な母親。勉学の必要性を痛感しており、子供達の教育に力を注ぐ。
社会人。酒癖が悪い菊次郎に代わり、一家の経済面を支えるなどしっかりした性格。のちに久美子と結婚。
高校生。成績優秀で、地元の進学校に通っている。当初は大学進学を考えていたが、さきの助言[2]により進学を諦めて高校卒業後は社会人になる。
中学生。優しい性格で弟の面倒見がよく、成績優秀。
小学生。北野家の子供達の中では唯一やんちゃな性格。野球や友達と遊ぶ事が好きで、勉強をあまりやりたがらないため、日頃からさきに怒られる。
クリーニング店の娘。のちに重一と結婚。
若い頃は「娘義太夫」として活躍していた。菊次郎の酒癖の悪さには困り果てており、さき達に迷惑をかけている事を申し訳なく思っている。元々はうしには実の息子[3]がおり、その息子がさきと結婚していたが、息子が結婚後すぐに早世した事からさきの再婚相手として甥の菊次郎と養子縁組をして、菊次郎と親子になった後にさきと結婚させた。
若林家
谷川家
天宮家
その他

連続ドラマのキャスト

[編集]
北野家
  • 北野菊次郎 - 陣内孝則 ⇒ 大和田唯斗(子供のころの菊次郎:第3シリーズ)
  • 北野さき - 室井滋
  • 北野重一(長男) - 賀集利樹(第1・2シリーズ) ⇒ 阿部力(第3シリーズ)
  • 北野安子(長女) - 早瀬英里奈(第1シリーズ) ⇒ 市川由衣(第2シリーズ) ⇒ 黒川智花(第3シリーズ)
  • 北野大(次男) - 若葉竜也(子役:第1シリーズ) ⇒ 村上雄太(少年時代:第2シリーズ) ⇒ 谷本和優(少年時代:第3シリーズ) ⇒ 平山広行(青年時代:第2・3シリーズ)
  • 北野武(ビートたけし)(三男) - 桑原成吾(少年時代:第1・2シリーズ) ⇒ 塚本高史(青年時代:第2・第3シリーズ)・大和田凱斗(少年時代:第3シリーズ)
  • 北野久美子(重一の妻・旧姓:牧野) - 京野ことみ(第1・2シリーズ)
  • 北野うし(菊次郎の叔母・さきの養母) - 草笛光子(第1・2シリーズ) ⇒ 吉行和子(第3シリーズ)
武の通う小学校
  • 藤崎(先生・武の担任) - 西島秀俊(第1・2シリーズ)
谷川家
左家
牧野家
  • 牧野松太郎(久美子の父) - 渡辺哲(第1シリーズ)
  • 牧野巴(久美子の母) - 山口美也子(第1シリーズ)
居酒屋とバー
  • 信濃屋・主人(菊次郎らの行く居酒屋) - 日野陽仁(第1・2シリーズ)
  • し乃(BAR ニューし乃の経営者) - 美保純(第1・2シリーズ)
浅草フランス座
  • 金子二郎[4] ⇒ 兼子きよし(浅草フランス座での武の先輩・後のビートきよし) - 荒川良々(第2・3シリーズ)
  • 深見千三郎(浅草フランス座の伝説の芸人) - ガダルカナル・タカ(第2・3シリーズ)
  • ケテツの塚原さん(浅草フランス座の入場券売場係) - 草笛光子(第2シリーズ)
  • 志の川亜矢(浅草フランス座の売れっ子ストリッパー・深見千三郎の何番目かの妻) - 小田茜(第2シリーズ)
越後屋
  • 城ヶ島絹代(居酒屋・越後屋の女将) - 梅沢昌代(第3シリーズ)
  • 卜部花子(居酒屋・越後屋の店員) - 清水由紀(第3シリーズ)
大工
  • 万城目定吉(大工の棟梁・越後屋の常連) - 大杉漣(第3シリーズ)
  • 伝助(大工・越後屋の常連) - 櫻庭博道(第3シリーズ)
  • 弥七(大工・越後屋の常連) - 金橋良樹(第3シリーズ)
湯川家
  • 湯川実篤(先生) - ダンカン(第3シリーズ)
  • 湯川美智子(湯川先生の妹) - 佐藤江梨子(第3シリーズ)

スタッフ

[編集]

放送日程

[編集]

スペシャル(2001年)

[編集]
放送日 サブタイトル 脚本 演出
2001年1月6日 ビートたけしが贈る感動と追悼の物語!
父の面影、教育熱心な母の死…天才たけしはこうして生まれた!!笑って泣いて見て下さい
松原敏春 石橋冠

第1シリーズ(2003年)

[編集]
各話 放送日 サブタイトル 脚本 演出 視聴率
第1話 2003年7月3日 父の面影…教育熱心な母! 輿水泰弘 石橋冠 12.0%
第2話 2003年7月10日 たけしが泣いた! 父の暴力、母の愛… 10.4%
第3話 2003年7月24日 母が倒れた! たけし一家涙の鳥鍋料理… 阿部雄一 13.6%
第4話 2003年7月31日 離婚!? たけしが見た嵐の夫婦ゲンカ… 11.3%
第5話 2003年8月7日 たけしの涙…夏祭りに散った初恋! 吉本昌弘 谷川功 10.3%
第6話 2003年8月14日 たけし一家泣き笑い!? 長男の婚約騒動… 石橋冠 11.9%
第7話 2003年8月21日 結納の長い一日…たけしの父VS花嫁の父 輿水泰弘 阿部雄一 12.1%
第8話 2003年8月28日 母ちゃんが病気!? たけし一家涙の別れ… 酒井直行 石橋冠 13.9%
第9話 2003年9月4日 母ちゃんが家出!? たけしの涙… 輿水泰弘 谷川功 10.4%
第10話 2003年9月11日 さよならたけし一家! 涙と感動の結末 石橋冠 13.8%
平均視聴率 12.0%(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)

第2シリーズ(2005年)

[編集]
各話 放送日 サブタイトル 脚本 演出 視聴率
第1話 2005年7月21日 ビートたけしを生んだ感動家族ふたたび 【天誅でござる】 輿水泰弘 石橋冠 16.1%
第2話 2005年7月28日 菊次郎湯船に死す 【菊次郎、湯船に死す】 13.9%
第3話 2005年8月4日 武感動の初テレビ 【テレビと泥棒】 15.1%
第4話 2005年8月11日 たけしが見た娘義太夫 【踊るさきさん、唄ううしさん】 谷川功 13.7%
第5話 2005年8月18日 さよなら母ちゃん!! ビートたけしの青春 【大脱走】 石橋冠 15.0%
第6話 2005年8月25日 母ちゃん涙!! たけし浅草初舞台 【たけし、現る!?】 谷川功 15.6%
第7話 2005年9月1日 たけしvs菊次郎!! 涙の親子漫才 【浅草の中心でネタをさけぶ】 吉本昌弘 阿部雄一 13.8%
第8話 2005年9月8日 父母涙!! たけしテレビデビュー 【兄弟、そして父と母】 輿水泰弘 15.6%
第9話 2005年9月15日 サヨナラ…たけし一家 【菊次郎の神様】 石橋冠 15.7%
平均視聴率 14.9%(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)

第3シリーズ(2007年)

[編集]
各話 放送日 サブタイトル 脚本 演出 視聴率
第1話 2007年7月5日 ビートたけしを生んだ感動家族!! 母の愛、父の涙… 【父(おとこ)は背中で勝負する】 輿水泰弘 10.9%
第2話 2007年7月12日 父は泥棒!! たけしの涙 【罪と罰】 阿部雄一 8.4%
第3話 2007年7月19日 ビートたけしの作り方 【さきの本懐】 中山秀一 9.5%
第4話 2007年7月26日 ビートたけし10歳の夏休み 【踊る北野一家】 吉本昌弘 谷川功 9.8%
第5話 2007年8月2日 武が家出!? 母の愛・父の涙 【にっぽんの家族】 阿部雄一 9.6%
第6話 2007年8月9日 梅島~たけし家に不発弾!? 【戦争と平和】 輿水泰弘 池添博 9.6%
第7話 2007年8月16日 たけしが見た!! 涙の結婚式 【夫婦漫才】 中山秀一 8.6%
第8話 2007年8月23日 父を救え! 真夏の夜の奇跡 【菊次郎忘れな草】 吉本昌弘 谷川功 8.9%
第9話 2007年8月30日 母涙!! 父の引退~青年武編 【落陽】 輿水泰弘 阿部雄一 8.7%
第10話 2007年9月6日 映画が北野家にやってきた 【学問ノススメ】 中山秀一 8.8%
第11話 2007年9月13日 涙!! 花嫁の父と母 【花嫁の父と母】 阿部雄一 9.0%
平均視聴率 9.3%(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)
テレビ朝日 木曜ドラマ
前番組 番組名 次番組
動物のお医者さん
(2003.4.17 - 2003.6.26)
菊次郎とさき
(第1シリーズ)
(2003.7.3 - 2003.9.11)
トリック(第3シリーズ)
(2003.10.16 - 2003.12.18)
アタックNo.1
(2005.4.14 - 2005.6.23)
菊次郎とさき
(第2シリーズ)
(2005.7.21 - 2005.9.15)
熟年離婚
(2005.10.13 - 2005.12.8)
ホテリアー(日本版)
(2007.4.19 - 2007.6.14)
菊次郎とさき
(第3シリーズ)
(2007.7.5 - 2007.9.13)

舞台版

[編集]

2012年版

[編集]

2012年に東宝の製作で舞台化され、3月24日から5月27日にかけて東京・大阪・福岡・富山・名古屋の5都市で公演[5]。演出と主演はテレビドラマと同一の石橋冠と陣内孝則、室井滋で、原作にない登場人物もテレビドラマに準じており、著作権表記も原作のビートたけしと並んで、テレビドラマ版のテレビ朝日と5年D組が記されている[6]

キャスト

[編集]
北野家
谷川家
  • 谷川小五郎 - 梨本謙次郎
  • 谷川かつゑ - 濱田マリ
その他

スタッフ

[編集]

公演日程

[編集]

2015年版

[編集]

2015年、再び東宝製作により舞台化され、1月3日から2月28日にかけて全国15会場で公演される予定[7]

キャスト

[編集]
北野家
谷川家
  • 谷川小五郎 - 梨本謙次郎
  • 谷川かつゑ - 濱田マリ
その他

スタッフ

[編集]
  • 原作 - ビートたけし(『菊次郎とさき』)
  • 脚本 - 輿水泰弘
  • 演出 - 石橋冠、寺崎秀臣
  • 装置 - 中島正留
  • 照明 - 塚本悟
  • 音楽 - 八幡茂
  • 音響 - 山本能久
  • 衣裳 - 武内修
  • ヘアメイク - 福島久美子
  • アクション - 渥美博
  • 振付 - 田井中智子
  • 歌唱指導 - 上野まり子
  • 演出助手 - 渡邉さつき
  • 舞台監督 - 佐藤博
  • 企画 - 米久保宏
  • スーパーバイザー - 細川潤一
  • プロデューサー - 吉田訓和
  • 制作 - 佐藤由美子
  • 製作協力 - テレビ朝日
  • 協力 - オフィス北野
  • 製作 - 東宝
  • 著作権表記 - 「菊次郎とさき」/ビートたけし・テレビ朝日・5年D組

公演日程

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ a b 初回は15分拡大(21:00 - 22:09)。
  2. ^ 女性は結婚して家庭に入る事が幸せだと言われた事から。※当時(昭和30年代)は女性の大学進学率は低かった事や、女性はいずれ結婚して専業主婦になるという考えが根強い社会情勢であった
  3. ^ 息子の名前は劇中では言及されていない
  4. ^ ビートきよしの本名は「兼子二郎」(かねこ にろう)であるが、本編の登場人物は「金子二郎」(かねこ じろう)となっている。
  5. ^ 2012年「菊次郎とさき」公演スケジュール 東宝演劇公式サイト内
  6. ^ 菊次郎とさき 東宝演劇公式サイト内
  7. ^ 東宝公式サイト

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]