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一畑電車7000系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
一畑電車7000系電車
一畑電車デハ7000系
(2024年3月16日 遙堪駅 - 高浜駅間)
基本情報
製造所 近畿車輛(構体・台車)
後藤工業艤装
製造数 4両
主要諸元
編成 両運転台付単行車(0.5M)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500 V(架空電車線方式
最高運転速度 85 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
車両定員 129人(座席64人)
車両重量 34.0 t
全長 20,800 mm
全幅 2,800 mm
全高 3,995 mm
車体 ステンレス
台車 軽量ボルスタレス台車
・KD-321(動力台車)
・KD-321A(付随台車)
主電動機 東洋電機製造
かご形三相誘導電動機
主電動機出力 270 kW
駆動方式 WNドライブ
歯車比 6.53
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置 東芝製 SVF079-E0
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
保安装置 ATS-S(点制御変周式)
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一畑電車7000系電車(いちばたでんしゃ7000けいでんしゃ)は、一畑電車2016年平成28年)より導入している、両運転台構造の直流形電車である。

概要

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一畑電車では老朽化した既存車両を置き換えるため、東急1000系電車を譲受する方針だった。しかし同系列は他社からも引き合いが多く、必要数を確保できないことが判明した。このため、不足分は既存車の延命および車両の新造で補うことになり、開発されたのが本形式である。

単行(1両)で運行可能な、デハニ50形以来86年ぶりとなる自社発注の新造車両であり[1]、また90系以来となる20m級車両である。

製造にはノックダウン方式が採られ、構体と台車の製作は近畿車輛に、艤装以降を西日本旅客鉄道(JR西日本)の関連会社・JR西日本テクノス子会社である後藤工業に発注した[2][3][4][5]

1両あたりの新造費用は2億1000万円で、費用の全額を国と沿線自治体が負担した(補助金[6]。JRの既存形式の車体と走行機器を組み合わせる設計を採用することで、コストを削減している。

2016年(平成28年)度と2017年(平成29年)度に各2両、合計4両が導入され[7]た。

車体

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車体は、JR四国7000系電車をベースとした軽量ステンレス構造である[6]。なお製造に際し、JR四国より設計情報の無償提供を受けている[8]。2016年(平成28年)秋に車体外装のラッピングデザインを公募で選定し、各車両に出雲大社宍道湖棚田三瓶山をイメージしたデザインが採用されている[10][11][12]

側扉には半自動ドアボタンが設置されており、始発駅ならびに途中駅での長時間停車時には側扉の半自動扱いを行う。

車内

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車内は、ハゼヤマ製の空気触媒「セルフィール」による抗菌・消臭・抗ウイルス処理が施工されている。座席配置はJR四国7000系電車と同様にロングシートとクロスシートの点対称配置となっており、車体の大型化と相まって座席定員は64人と在来車より大幅に増加している。中間に扉の準備工事をされている。車内案内表示器は日本語と英語の2か国語対応となり、車内照明はDoライト製の直管型LEDが採用されている。ドアチャイム都営地下鉄と同様のものが使用されている。

また、ドコモのmopera回線を利用した無料公衆無線LANサービスを提供している。

2018年3月より全車両に車内装飾が行われ、それぞれ外装に合わせたデザインの装飾と「しまねっこ」オブジェを配置している[13]

走行機器

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基本的にJR西日本225系電車と同一のものを装備[14]しており、一畑口寄りに電動台車、反対側に付随台車を配置する「0.5Mシステム」が採用されている。

主回路の制御装置VVVFインバータ制御装置)と補助電源の制御装置(SIV)は、「車両制御装置」として一体化されており、この装置は東芝が製造している。主回路部はIGBT素子による2レベル電圧形PWMインバータ1基で2基の電動機を制御する、1C2M構成のVVVFインバータを搭載し、速度センサレスベクトル制御に対応する。補助電源部もIGBT素子を用いた2レベル電圧形PWMインバータを用いており、CVCF制御することで三相交流440 V/60 Hzを出力し、定格容量75 kVAを得る。

主電動機は、1時間定格出力270 kW/1,100 V、定格回転数2,955 rpm(許容5,830 rpm)[15]の自己通風式かご形三相誘導電動機を1両あたり2基搭載する。

パンタグラフはシングルアーム式のものを松江しんじ湖温泉電鉄出雲市側に1基搭載する。電動空気圧縮機(CP)はナブテスコ製のレシプロ式空気圧縮機を搭載する。

運用

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第一号車のデハ7001は2016年(平成28年)12月11日に出発式を行い、翌12日より営業運転を開始した[16]。残る3両も2017年(平成29年)中に順次導入される[11]。2017年4月現在、運用は固定されており、2017年10月14日にはデハ7003が運行開始した[17][18]。また、2018年3月4日にはデハ7004も運行を開始し、計画していた4両の導入が完了した[19][20][21]

平日は主に1両編成(一部2両編成)で全線の普通列車運用に就いている。休日は2両編成で普通列車の他に、電鉄出雲市~出雲大社前間の特急、出雲大社前→松江しんじ湖温泉の急行「出雲大社号」運用にも就いている。なお、2018年3月末から7月までの期間、3両編成で平日朝の特急「スーパーライナー」運用にも就いていた。

車歴

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車番 入線時期 運行開始日 モチーフ 備考
デハ7001 2016年8月23日 2016年12月11日 グレー 出雲大社本殿 定期運行は2016年12月12日より
デハ7002 2017年2月6日 2017年3月11日 宍道湖  
デハ7003 2017年9月3日 2017年10月14日 棚田  
デハ7004 2018年1月15日 2018年3月4日 三瓶山  

脚注

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  1. ^ “86年ぶりに新型車両導入 12月に営業運転開始へ 一畑電車”. 乗りものニュース. (2016年7月13日). https://trafficnews.jp/post/54755 2019年2月12日閲覧。 
  2. ^ 鉄道ファン (交友社): p76. (2015年10月号 No.666). 
  3. ^ “電車の一生を見守る地方中小民鉄の車両基地 一畑電車雲州平田検車庫・工場”. 鉄道ジャーナル . (2017年5月号(通巻607号)). [要ページ番号]
  4. ^ 上新大介 (2016年7月13日). “一畑電車"デハ7000系"新型車両の導入決定! 後藤工業が製造、年内デビューへ”. マイナビニュース (マイナビ). オリジナルの2018年3月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180302102049/https://news.mynavi.jp/article/20160713-a315/ 2018年3月2日閲覧。 
  5. ^ 一畑電車(株) デハ7000系新製”. 後藤工業株式会社. 2020年1月31日閲覧。
  6. ^ a b “「デハニ50形」以来86年ぶり…一畑電車、オリジナル車両投入”. 産経新聞. 産経ニュース (産経新聞社). (2016年7月13日). オリジナルの2016年7月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160713031101/http://www.sankei.com/west/news/160713/wst1607130016-n1.html 2018年3月2日閲覧。 
  7. ^ 佐々木康弘 (2016年9月1日). “一畑電車7000系の写真公開 - 86年ぶり新型車両、ラッピングデザイン募集も”. マイナビニュース (マイナビ). オリジナルの2018年3月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180302101708/https://news.mynavi.jp/article/20160901-a431/ 2018年3月2日閲覧。 
  8. ^ 「インタビュー JR四国が求めるもの」 - 鉄道ダイヤ情報 2020年5月号 35頁
  9. ^ 7000系車両の車内装飾施工計画について』(PDF)(プレスリリース)一畑電車、2017年12月12日。オリジナルの2018年3月2日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20180302103456/https://www.ichibata.co.jp/railway/newsrelease/201712121102.html2018年3月2日閲覧 
  10. ^ 20171211 7000系車内装飾(案)資料” (PDF). 一畑電車. 2018年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月2日閲覧。[9]
  11. ^ a b “86年ぶり新型車両、運行開始…島根・一畑電車”. 読売新聞 YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2016年12月12日). オリジナルの2016年12月13日時点におけるアーカイブ。. https://archive.today/2016.12.13-003748/http://www.yomiuri.co.jp/national/20161212-OYT1T50103.html 2018年3月2日閲覧。 
  12. ^ 一畑電車7000系のラッピングデザインが決定”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2016年11月9日). 2018年3月2日閲覧。
  13. ^ 一畑電車公式サイト【7004号営業運転開始!!7000系車内装飾完成!!】”. 2019年3月30日閲覧。
  14. ^ 車両図鑑|運行のご案内|ばたでん【いちばたでんしゃ】”. www.ichibata.co.jp. 2023年3月1日閲覧。
  15. ^ 『インバータ制御電車 開発の物語』レールアンドテック出版 p.161
  16. ^ 新型車両7000系の出発式を行いました。”. お知らせ. 一畑電車 (2016年12月14日). 2018年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月20日閲覧。
  17. ^ 新造車両7003号 営業運転開始!』(プレスリリース)一畑電車、2017年10月6日。オリジナルの2018年3月2日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20180302105812/https://www.ichibata.co.jp/railway/newsrelease/201710061542.html2018年3月2日閲覧 
  18. ^ 一畑電車,7003号車が10月14日から営業運転を開始”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2017年10月7日). 2018年3月2日閲覧。
  19. ^ 【新造車両7004号デビュー!!】』(プレスリリース)一畑電車、2018年2月26日。オリジナルの2018年3月2日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20180302040612/https://www.ichibata.co.jp/railway/newsrelease/201802261313.html2018年3月2日閲覧 
  20. ^ 一畑電車,7004号車が3月4日から営業運転を開始”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年2月28日). 2018年3月2日閲覧。
  21. ^ “一畑電車7004号3/4デビュー - 新型車両7000系、4両の導入完了へ”. マイナビニュース (マイナビ). (2018年2月27日). オリジナルの2018年3月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180302100601/https://news.mynavi.jp/article/20180227-590603/ 2018年3月2日閲覧。 

関連項目

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