モルモー
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モルモー(古希: Μορμώ, Mormō)、モルモリュケー(古希: Μορμολύκη, Mormolykē、「牝狼モルモー」の意)、あるいはモルモーン(古希: Μορμών, Mormōn)は、ギリシア神話に登場する女性の姿をした吸血鬼の一種[1][2]。冥界の住人で[3]、冥府の女神ヘカテーにエンプーサと共に仕えている[2]。ヘカテーに捧げられた祈祷文にもゴルゴーと共にその名が挙げられている[2]。アケローン川神の乳母であったとされる[1]。日本語では長母音を省略してモルモ[2]、モルモリュケ[4](モルモン)とも呼ばれる。また、変身の術に長けているといわれる[5]。
その性格は大人しく、親しみやすいお化けの様な存在とされる[2]。元々神話中ではラミアーやゲローと同類の女性の姿をした怪物とされており、元はライストリューゴーン族の女王で、己の子を失った悲しみのあまり他人の子を殺そうとするのだともいわれている[1]。しかし、民間においては母親が幼い子供に語って聞かせるお伽噺の中のお化けとして扱われた[5]。また、イソップ寓話の中には『狐とモルモーの面』という話があり、見た目だけで中身が無い人間を風刺する内容となっている[6]。
出典
[編集]- ^ a b c 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年2月25日、291頁。ISBN 4-00-080013-2。
- ^ a b c d e 森野たくみ『ヴァンパイア 吸血鬼伝説の系譜』新紀元社〈Truth in fantasy〉、1997年12月24日、115,185頁。ISBN 4-88317-296-1。
- ^ マシュー・バンソン著、松田和也訳『吸血鬼の事典』青土社、1994年12月30日、371頁。ISBN 4-7917-5350-X。
- ^ ジャン=クロード・ベルフィオール『ラルース ギリシア・ローマ神話大事典』大修館書店、2020年7月、841頁。ISBN 978-4-469-01289-7。
- ^ a b シブサワ・コウ『爆笑ヴァンパイア』光栄〈歴史人物笑史〉、1996年11月1日、42,44頁。ISBN 4-87719-424-X。
- ^ 中務哲郎 訳『イソップ寓話集』岩波書店〈ワイド版岩波文庫211〉、2002年6月14日、42頁。ISBN 4-00-007211-0。