ヘラシギ
ヘラシギ | |||||||||||||||||||||||||||
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ヘラシギ Calidris pygmaea
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Calidris pygmaea (Linnaeus, 1758)[2] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ヘラシギ[3][4][5] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Spoonbill sandpiper[1] Spoon-billed sandpiper[1][2][3][4][5] |
ヘラシギ(箆鷸[6]、Calidris pygmaea)は、鳥綱チドリ目シギ科オバシギ属に分類される鳥類。
分布
[編集]インド、タイ王国、大韓民国、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、日本、バングラデシュ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ロシア東部[1]
チュクチ半島からカムチャツカ半島にかけてのロシア北東部で繁殖する[1][3]。冬季になると主にタイ・中華人民共和国南部・バングラデシュ・ベトナム・ミャンマーなどへ南下し越冬するが、インドやスリランカ・広東省・福建省・広西チワン族自治区・マレー半島で越冬した例もある[1]。日本では渡りの途中に飛来するが(旅鳥)、沖縄島で越冬した例もある[3]。北海道では9月に渡りの途中の個体が観察される事が多い[7]。
形態
[編集]嘴(くちばし)は短く、先端が扁平で丸く広がり箆状になる[4]。この嘴が和名や英名(spoon-billed=スプーンのような嘴の)の由来になっている[6]。嘴や後肢の色彩は黒[4]。
夏羽は頭部から頸部・胸部にかけてが赤褐色で、黒褐色の縞模様が入る[4]。上面は褐色で、黒い斑紋が入る[4]。冬羽は頭部から背にかけては灰黒色、胸部から腹部にかけては白い[4]。
幼鳥は頭部が黒みがかる[4]。
分類
[編集]以前は本種のみでヘラシギ属Eurynorhynchusを構成する説もあったが、オバシギ属に含まれるとされる[2]。
生態
[編集]日本では砂浜干潟や砂浜海岸・河口で記録があり、渡りの際にはこれらの環境を利用していると考えられている[3]。日本では秋季ではトウネンの群れに混じって見られることもある[4]。
昆虫、甲殻類、種子などを食べる[3][4]。嘴を左右に振って泥や砂の中にいる獲物を捕らえる[3][4]。近縁のハマシギでは干潟表面のバイオフィルムもエサとして利用していると報告されている[8]。
繁殖様式は卵生。海岸のツンドラにある水場周辺の草地に、コケや地衣類を組み合わせた皿状の巣をつくる[4]。4個の卵を産む[4]。抱卵期間は18 - 20日[4]。主にオスが抱卵・育雛を行う[5]。
人間との関係
[編集]渡りの途中の飛来地や越冬地では干潟の農地や養殖地・レジャー開発などによる生息地の破壊、越冬地での鳥類用の網による混獲などにより生息数は減少している[1]。人間による攪乱、集落周辺の繁殖地でのイヌによる産卵巣の破壊、元々の捕食者であるキツネ類やトウゾクカモメ類、狩猟などによる影響も懸念されている[1]。日本では砂浜干潟の減少、砂浜海岸のレジャー利用などにより影響が出ていると考えられている[3]。ロシアでは卵を採取して、飼育下で孵化させ放鳥する試みが進められている[1]。日本では2017年に国内希少野生動植物種に指定されている[9]。1997年における生息数は少なくとも4,000羽と推定されている[5]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j BirdLife International. 2017. Calidris pygmaea. (amended version published in 2016) The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T22693452A110632822. doi:10.2305/IUCN.UK.2017-1.RLTS.T22693452A110632822.en. Downloaded on 30 November 2017.
- ^ a b c Buttonquail, plovers, seedsnipe & sandpipers, Gill F & D Donsker (Eds). 2017. IOC World Bird List (v 7.3). doi:10.14344/IOC.ML.7.3 (Retrieved 30 November 2017)
- ^ a b c d e f g h i j k 藤井幹 「ヘラシギ」『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物-2 鳥類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年、46-47頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 花輪伸一 「ヘラシギ」『日本動物大百科 3 鳥I』日高敏隆監修、平凡社、1996年、97頁。
- ^ a b c d e f 桑原和之 「ヘラシギ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 、講談社、2000年、195頁。
- ^ a b 安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、山と渓谷社、2008年、287頁。
- ^ 藤巻裕蔵、羽田恭子、北海道におけるヘラシギの記録 山階鳥類研究所研究報告 1976年 8巻 3号 p.276-281, doi:10.3312/jyio1952.8.276
- ^ 桑江朝比呂、三好英一、詳細 小型シギ類における未知の餌の探究を通じた干潟生態系の再生 土木学会論文集B2(海岸工学) 2012年 68巻 2号 p.I_1176-I_1180, doi:10.2208/kaigan.68.I_1176
- ^ 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」の閣議決定について(国内希少野生動植物種の指定及び解除)(平成29年8月29日発表)国内希少野生動植物種一覧 (環境省・2017年11月30日に利用)