サンベル・シャフラマニャン
サンベル・シャフラマニャン Սամվել Շահրամանյան | |
任期 | 2023年9月10日 – |
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任期 | 2023年8月31日 – 2023年9月18日 |
元首 | アライク・ハルチュニャン 自身 |
出生 | 1978年12月1日(45歳) ソビエト連邦 アゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国、ナゴルノ・カラバフ自治州ステパナケルト |
政党 | 無所属 |
サンベル・シャフラマニャン(アルメニア語: Սամվել Շահրամանյան、1978年12月1日 - )は、事実上独立したアルツァフ共和国(かつてはナゴルノ・カラバフとも呼ばれた)の政治家。同国第5代大統領。ナゴルノ・カラバフ国防軍少将を務めた。
来歴
[編集]エレバン国立大学国際経済学部卒業後、国家安全保障局に配属される。長らく、バコ・サハキャン大統領の側近でもあった[1]。1996年に国軍に入隊以降、アルメニア政府の青少年・スポーツ大臣を歴任。2020年5月29日には国軍少将に就任[2]。
2023年8月31日にアライク・ハルチュニャン大統領が辞任を表明。ハルチュニャンは最終法令でシャフラマニャンを国家大臣に任命することを発表。2023年9月6日にはアルメニア革命連盟やアルツァフ正義党などの野党や最大与党の自由なる祖国の支持を受けて[3]、2023年アルツァフ大統領選挙に出馬。9月9日に国民議会で選挙が行われ、賛成22、反対1、棄権10で大統領就任が承認された[4][5]。なお、欧州評議会やアゼルバイジャン、アメリカなどはこの大統領選挙は「分離主義者によって行われた選挙」であり、国際的に違法と見做している[6][7]。9月18日、アルツル・ハルチュニャンを国家大臣に任命した[8]。
2023年9月19日に開始されたアゼルバイジャンによる「対テロ作戦」での降伏を受けて、2023年9月28日、「2024年1月1日をもって、アルツァフ共和国のすべての国家機関を解散する」とした大統領令に署名し、「アルツァフ共和国の消滅が確定した」[9]と報じられたが、10月20日にシャフラマニャンは大統領令によるアルツァフ共和国の解散を否定する声明を発表した[10]。なお、この声明発表に先立つ10月4日までに10万632人のアルツァフ国民とともにシャフラマニャン自身もアルメニアへ脱出[注 1][11][12]し、アルツァフ共和国の政府機能はステパナケルトからエレバンにあるアルツァフ駐在官事務所(事実上の大使館)へ移転したと報じられている[13]。
10月28日に放送されたアルツァフ公共放送のインタビューでは、アルツァフ国民の帰還について議論していることを公表した。アルツァフの地位問題については時期尚早として言及を避けた[14]。9月28日の国家解体の大統領令について「対処する時間はまだある」と述べ、また同大統領令の結果多くの国民や元国防軍職員がアゼルバイジャン軍の検問所を安全に通過し、国外へ脱出できたことを強調した[15][16]。同年12月22日に開催された、アルツァフの政府機関のトップとの会談の中で、アルツァフの法的枠組みには国家機関の解体を想定した文書は存在しないと改めて表明し、2024年以降もアルツァフから強制退去させられた住民の問題について引き続き取り組む必要があると表明した[17]。2024年1月23日までにアルツル・ハルチュニャンを国家大臣より解任し、アラム・サルキシャンを後任に任命した[18]。
2024年3月27日に発刊されたフィガロ誌のインタビューでシャフラマニャンは「アルツァフ解散の大統領令は違法であったが、国民を救う唯一の手段であった」と述べ、フランス政府に対してアルメニア人捕虜の釈放のためアゼルバイジャンに圧力をかけるよう求めた。またエレバンで亡命政府として活動している事実を認めた[19][20]。3月28日、アルメニアのニコル・パシニャン首相は閣議で「アルメニアにはアルメニア共和国政府以外存在しない」とし、アルツァフ亡命政府を認めないと発表した[21]。またシャフラマニャンが在アルメニア・ロシア大使主催の上映会に出席したことを念頭に置いたうえで「外部勢力が特定の勢力を使ってアルメニアの安全を脅かさないよう、適切な措置を講じるべきである」と述べ、シャフラマニャンに警告した[22][23]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ アゼルバイジャン語版ウィキペディアでは政権が事実上崩壊した2023年10月4日をもってシャフラマニャンが大統領職を辞したことになっているほか、英語版などでは当初政府を解体するとしていた2024年1月1日を退任日としているが、後述するように以降も職務を継続していることを主張している。
出典
[編集]- ^ “Minister of State Samvel Shahramanyan is presidential candidate of 4 of 5 forces in Karabakh legislature” (英語). news.am (2023年9月7日). 2023年9月17日閲覧。
- ^ “Xankəndi separatçılarının yeni rəhbəri kimdir? - Dosye”. Axar.Az (31 avq 2023). 2023年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月31日閲覧。
- ^ Anna (2023年9月6日). “Three opposition factions of Artsakh nominate Samvel Shahramanyan as a presidential candidate” (英語). Alphanews. 2023年9月7日閲覧。
- ^ “Artsakh parliament elects Samvel Shahramanyan as president”. Arka. (9 September 2023) 9 September 2023閲覧。
- ^ “Սամվել Շահրամանյանն ընտրվել է ԱՀ նախագահ” (アルメニア語). Arka. (9 September 2023) 9 September 2023閲覧。
- ^ “Nagorno-Karabakh routes reopen in Lachin corridor deal, say Azeri and Armenian sides”. The Guardian. (10 September 2023). オリジナルの10 September 2023時点におけるアーカイブ。 11 September 2023閲覧. "Both Ukraine and Turkey condemned the election, and expressed support for Azerbaijan’s claim to Karabakh. The EU said it did not recognise the election, but that Karabakh residents should “consolidate around the de facto leadership” in talks with Armenia."
- ^ “World community does not recognise "elections" held by Karabakh separatists” (英語). Turan News Agency. オリジナルの11 September 2023時点におけるアーカイブ。 11 September 2023閲覧。
- ^ “Artur Harutyunyan appointed as Karabakh state minister”. News.am (2023年9月18日). 2023年9月21日閲覧。
- ^ “ナゴルノカラバフのアルメニア系行政府、来年1月1日に消滅へ”. ロイター. (2023年9月28日) 2023年9月28日閲覧。
- ^ “Որևէ փաստաթուղթ չի կարող լուծարել ժողովրդի ստեղծած պետությունը․ Արցախի նախագահ”. スプートニク. (2023年10月20日) 2023年10月20日閲覧。
- ^ “Արցախի նախագահ Սամվել Շահրամանյանն արդեն Հայաստանում է”. スプートニク. (2023年10月4日) 2023年10月20日閲覧。
- ^ “Number of forcibly displaced persons from NK stands at 100,632”. armenpress. (2023年10月4日) 2023年10月20日閲覧。
- ^ “Karabakh representative office in Armenia now houses Artsakh government, under President’s leadership”. News.am. (2023年10月16日) 2023年10月20日閲覧。
- ^ “Արցախ վերադառնալը մեր օրակարգում է. Սամվել Շահրամանյան”. スプートニク. (2023年10月28日) 2023年10月31日閲覧。
- ^ “Շահրամանյան. «Պետք է սկսենք զբաղվել այն հարցերով, որոնք թույլ կտան ամրագրել Արցախից տեղահանված մեր քաղաքացիների վերադարձը»”. ラジオ・フリー・ヨーロッパ. (2023年10月28日) 2023年10月31日閲覧。
- ^ “https://news.am/eng/news/789527.html”. Artsakh President: Russian side was in observer’s position. (2023年10月28日) 2023年10月31日閲覧。
- ^ “No document that would envisage dissolution of Artsakh’s state institutions – President”. Public Radio of Armenia. (2023年12月22日) 2023年12月24日閲覧。
- ^ “«Հրապարակ». Արցախի նախկին պետնախարարն արտագաղթո՞ւմ է”. News.am. (2024年1月23日) 2024年1月23日閲覧。
- ^ “Samvel Chakhramanian : «Je demande à la France de faire pression sur l'Azerbaïdjan pour libérer les prisonniers politiques arméniens»”. フィガロ. (2024年3月27日) 2024年4月30日閲覧。
- ^ “ԼՂՀ-ն «լուծարելու» փաստաթուղթը հայրենակիցներին փրկելու միակ միջոցն էր. Սամվել Շահրամանյան”. スプートニク. (2024年3月28日) 2024年4月30日閲覧。
- ^ “ՀՀ-ում չի կարող լինել վտարանդի կառավարություն. Փաշինյանը՝ Շահրամանյանին”. スプートニク. (2024年3月28日) 2024年4月30日閲覧。
- ^ “Pashinyan puts kibosh on Karabakh government-in-exile”. ユーラシアネット. (2024年4月3日) 2024年4月30日閲覧。
- ^ “Pashinyan Warns Karabakh Leaders after Shahramanyan Le Figaro Interview”. Mirror Spectator. (2024年4月2日) 2024年4月30日閲覧。
公職 | ||
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先代 アライク・ハルチュニャン デビッド・イシュカニャン(代行) |
アルツァフ共和国大統領 第5代:2023年9月10日 - |
次代 (現職) |
先代 グルゲン・S・ネルシシャン |
アルツァフ共和国国家大臣 第6代:2023年8月31日 - 2023年9月18日 |
次代 アルツル・ハルチュニャン |