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クサウオ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クサウオ科
Elassodiscus tremebundus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: カサゴ目 Scorpaeniformes
亜目 : カジカ亜目 Cottoidei
上科 : ダンゴウオ上科 Cyclopteroidea
: クサウオ科 Liparidae
英名
Snailfishes
下位分類
本文参照

クサウオ科学名Liparidae)は、カサゴ目に所属する魚類の分類群の一つ。クサウオサケビクニンなど、寒冷な海あるいは深海に生息する種類を中心に32属407種が記載される[1]。科名は科のタイプ属 Liparis に科を表す接尾辞「-idae」を付けたもの。属名 Liparis の由来は、ギリシア語の「λιπαρός」(liparos/脂っぽい、オイリーなどの意の形容詞)から[2]

分布・生態

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クサウオ科の魚類はすべて海水魚で、太平洋大西洋から北極海南極海にかけての海域に幅広く分布する[1][2]。地理的・環境的分布範囲は極めて広く、ごく浅い沿岸のタイドプールから8,000mを超える深海[3][4]に至るまで、その生息域は多岐にわたる[1]。本科は南氷洋北太平洋および北極海において、もっとも魚種の豊富なの一つとなっている[1]インド洋には比較的少なく、深海から数種が知られているのみである[1]

一般に底生性で、吸盤状に変形した腹鰭を使って海底に腹這いになっていることが多い。インキウオ属コンニャクウオ属の2属に本科魚類の約2/3にあたるが含まれ、その大半が水深1,000-2,000mの範囲から知られる深海魚である[5]

形態

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Acantholiparis 属の1種(A. opercularis)。細長い体と大きな胸鰭がクサウオ類の特徴で、によっては吸盤状の腹鰭を備える

クサウオ科の仲間は細長くやや側扁した体型をもち、最大種では全長80cmに達する[1]をもたず、皮膚はゼリー状で軟らかい[1]鼻孔は1対か、クサウオ属の多くでは2対である[1]

背鰭と臀鰭の基底は長く、それぞれ28-82本・24-76本の軟条で構成され、しばしば尾鰭と連続する[1]。近縁のダンゴウオ科と共通し、両側の腹鰭が互いに癒合し、吸盤状となっている種類も多い[6]。一方で、インキウオ属およびカンテンウオ属の多くは腹鰭をもたない[1]椎骨は38-86個[1]

分類

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クサウオ科にはNelson(2016)の体系において32属407種が認められているおり[1]FishBaseには32属425種(2亜種を含む)が記載される[2]

本科にはさまざまな亜科の設置が提案されているが、Nelson(2016)の体系ではいずれも支持するための情報が不足しているとして採用されていない[1]

コンニャクウオ属の1種(Careproctus ovigerum)。水深1,324mで撮影。本科魚類はその多くが深海性で、海底付近を漂泳して生活する
クサウオ属の1種(Liparis catharus)。大きな胸鰭はクサウオ類に共通する特徴であり、手指のように分岐した鰭条をもつことが多い[7]
クサウオ属の1種(Liparis fabricii)。体をU字型に折り曲げる姿勢は本属の特徴である[7]
クサウオ属の1種(Liparis marmoratus)。オホーツク海ベーリング海などの寒冷な海から知られる[2]
インキウオ属の1種(Paraliparis bathybius)。北大西洋の深海に生息し、4,000m以深からの捕獲例がある[2]
インキウオ属の1種(Paraliparis antarcticus)。南氷洋の水深300-782mから記録されている[2]

出典・脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 『Fishes of the World Fifth Edition』 p.495
  2. ^ a b c d e f Liparidae”. FishBase. 2024年4月14日閲覧。
  3. ^ 水深8336メートルで深海魚撮影、ギネス記録に認定”. 読売新聞オンライン (2023年4月13日). 2023年4月16日閲覧。
  4. ^ (日本語)『水深8336メートルの深海で泳ぐ魚の撮影に成功、記録更新 東京海洋大など』ロイター公式YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/watch?v=QTNd7uOoqzA2023年4月16日閲覧 
  5. ^ 『Deep-Sea Fishes』 p.70
  6. ^ 『日本の海水魚』 pp.244-245
  7. ^ a b 『深海調査船が観た深海生物』 pp.377-378
  8. ^ a b c d 日本産魚類の追加種リスト”. 日本魚類学会. 2012年4月30日閲覧。
  9. ^ Crystallichthys 属として分類されることもある(『日本の海水魚』 pp.244-245)。

参考文献

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外部リンク

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